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とろろ(山芋)で発熱や腹痛!? とろろアレルギーの症状と原因

 山芋をすっていたら手がかゆくなったという経験をよく聞きます。また、とろろ(すりおろした山芋)が口の周りについたまま放置しておくと、かゆみが出てくることもあります。とろろは発熱や腹痛、嘔吐、あるいは呼吸困難などのアレルギー症状を引き起こすことがあり、注意が必要な素材と言うことができるのです。そんな「とろろアレルギー」について、症状や原因などをご紹介します。

とろろアレルギーの主な症状

 とろろアレルギーの症状は、大きく分けると、皮膚に表れる症状、消化器官に表れる症状、呼吸器官に表れる症状の3つに分類することができます。

皮膚に表れる症状

 皮膚に表れる症状としては、全身または体の一部にかゆみ、赤み、じんましん、ほてりなどを挙げることができます。直接、皮膚にとろろがつくことでかゆみや赤みが出ることもありますが、とろろが触れていない部分にかゆみや赤み、じんましんが出ることもあります。

 とろろアレルギーが口内炎やしびれの症状となって出る場合もあります。また、目の周囲やまぶたに腫れが見られる人もいます。

 ほとんどの場合は、とろろを食べるのを止めて安静にしていると症状が治まります。ですが、かゆみや赤み、ほてった感じなどが強く表れるときは、すぐにアレルギー科や皮膚科などの医療機関を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。

消化器官に表れる症状

 消化器官に表れる主な症状は、吐き気や嘔吐、胃痛、腹痛、下痢などです。症状が重篤化すると、発熱を伴うこともあります。

呼吸器官に表れる症状

 とろろアレルギーによって、気管支喘息を発症してしまうこともあります。気管支に炎症を起こすことで呼吸が苦しくなり、呼吸困難になることもあります。さらにアレルギー症状が強くなると、アナフィラキシーショックを起こして意識を失うこともありますので、早急な対応が必要です。

とろろアレルギーの原因となる成分

 では、山芋やすりおろしたとろろに含まれているどんな成分が、さまざまな形で表れるアレルギー反応を引き起こしているのでしょうか。

皮膚のかゆみを引き起こす成分

 山芋をするときに手にかゆみが出るのは、山芋に含まれる「シュウ酸カルシウム」という成分が作用するからです。シュウ酸カルシウムを顕微鏡で見ると針状の結晶になっており、この結晶が皮膚に触れたり付着したりすることで刺激となりかゆみなどの症状を引き起こすのです。

アレルギー症状を引き起こす成分

 山芋に含まれる「アセチルコリン」という成分も、アレルギー症状を引き起こします。アセチルコリンは、食物に含まれるアクとなる物質です。

 アレルギーは、アレルギーの原因となる成分に対して、体内にできたIgE抗体が過剰に働き、免疫機能が異常な状態になることで発症します。アセチルコリン自体は免疫機能とは関係がなく、組織に直接作用する仮性アレルゲンです。アセチルコリンが含まれる食材を触ったり食べたりすることで、アレルギーと同様の症状を引き起こすのです。

山芋の種類

 山芋といってもさまざまな種類があります。いずれの山芋もアレルギーを引き起こす可能性がありますので、とろろアレルギーがある人にとっては注意が必要になります。

長芋

 一般にスーパーなどで売られているものは、長芋と呼ばれます。直径が5センチ~8センチほど、長さは20センチ~50センチほどのものが売られていることが多いです。長芋は山芋の中でも粘り気が少なく、水分が多めであるという特徴があります。畑で栽培されて収穫しますので、天然物であることはほとんどありません。

 また、他の山芋と比べるとアクが少ないので、すりおろして食べる以外にも、皮をむいて薄く切ってそのまま味をつけて食べることもあります。水にさらすとアクは少々抜けますが、粘り気も減ってしまいますので、水にさらさずにそのまま食べることを好む人も多いです。

自然薯

 天然物が多く、粘り気が強く旨みが濃いことから山菜の王ともいわれる自然薯。栄養価も高く、滋養強壮目的で食べる人もいます。畑で育てていないことが多いため、太さや長さもあまり共通性がありません。一般的には太さが均一かつまっすぐで、長さが長いものが高級とされています。生育条件が良いと1メートルを超す長さのものが育つこともあります。

 アクが強めですので、そのまま食べることはあまりありません。すりおろしてとろろとして食べたり、皮をむいて一口大に切ったものをてんぷらにして揚げて食べたりすることが多いです。また、粘り気が強いために、とろろにして食べるときもそのままでは食べにくいと感じる人が多いです。すりおろすときに少しずつ出汁を加えていき、3分の2~2分の1に薄めてから食するようにします。

大和芋

 形が棒状ではなくごつごつとしていることが特徴の大和芋。味が濃厚で粘り気も充分にあることから、つくね芋と呼ばれることもあります。地域によってはその形からイチョウ芋や仏掌芋(ぶっしょういも)と呼ぶこともあります。味が濃く、粘り気の強い大和芋は、土質を選びますので、栽培される場所が限定されていることも特徴です。

 また、大和芋は、奈良県では伝統野菜である「大和野菜」の1つに指定されています。ですが、奈良県以外で売られている大和芋と奈良県で伝統野菜として指定されている大和芋は、名前は同じでも品種が異なることもあります。奈良県の伝統野菜でもある大和芋は、黒くてごつごつとした形状です。ちょっと見たところでは、じゃがいものように思えるかもしれません。

むかご

 山芋は他のイモ類と同じく、地上には葉と茎の一部が出、地中にイモが実ります。つまり、食用にするのは地中の部分に育つものだけなのですが、地上の葉の付け根に小さなイモ状のものがつき、それを食べることもあります。この小さなイモ状のものを「むかご」や「ぬかご」と呼びます。漢字で零余子と書くこともあります。

 むかごは、山芋とほぼ同じ成分でできていますが、日光に当たって成長していますので場合によっては山芋よりも栄養価が高いことがあります。皮をむかずにそのままゆでて味付けして食べることや、炊き込みご飯にしたり、素揚げしたりして食べることもあります。

とろろアレルギーを避けるには…

 とろろアレルギーを避けるためには、何をすることができるでしょうか。

山芋を生で食べることを避ける

 山芋は、特に生の状態、つまり、とろろや山芋の短冊切りを食するとアレルギーを発症しやすくなります。山芋の磯部揚げや山芋のステーキなどのように、中までしっかりと加熱処理した料理を食べるようにしましょう。

 ただし、加熱処理した山芋でも、人によってはアレルギー症状が出るケースもあります。今までに一度でもとろろアレルギーを発症したことがある人は、加熱処理した料理や加工食品にも注意を払ってください。

山芋を離乳食に使うときの注意点

 9ヶ月を過ぎた赤ちゃんなら、離乳食として山芋を口にしてもいいといわれていますが、山芋を離乳食に使うときはアレルギー症状が起こらないように注意が必要です。アレルギーを発症しにくくするように必ず加熱処理をし、むかごなどの小さな山芋であっても皮をむくなどの処理をするようにしましょう。

 また、加熱処理をした山芋であっても、口の周りに付着するとかゆくなったり、赤くなったりすることがあります。口の周りには付着しないように細心の注意をすること、食事の後には硬く絞ったガーゼやウェットティッシュなどで口周りを拭くなどをしてください。

とろろアレルギーを発症してしまったら…

 皮膚にかゆみや赤く腫れるなどの症状が出たら、極力掻かないことが大切です。掻くとさらにかゆみが広がったり、ほてりを感じたりすることもあります。どうしてもかゆみを我慢できないときは、氷水や冷水で冷やしてください。通常はそのまま安静にしていると治りますが、なかなか改善が見られないときは、皮膚科などの医療機関で診てもらいましょう。

 嘔吐や下痢などの消化器官に症状が出る場合や呼吸困難などの呼吸器官に症状が出る場合は、アレルギー反応が強く出ていると考えられます。様子見をするのではなく、なるべく早く内科やアレルギー科などの医療機関を受診するようにしてください。

 とろろアレルギーは、免疫機能の異常から起こるアレルギーではありませんが、アレルギーと同様の症状が見られます。アレルギーを発症したことのある人や乳幼児が口にするときは、特に配慮が必要といえます。

まとめ

 山芋は栄養価が高く、特に天然に自生する物は栄養を補給する食材として珍重されています。また、加工しやすいと言う特徴がありますので、練り物や料理に入っていることもあります。ですが、人によってはアレルギー反応が見られることもありますので、注意するようにしてくださいね。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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