こどもが風邪をひいて咳が長引いたり、呼吸をするたびにヒューヒュー音がする、ということを経験したことのある人もいるのではないでしょうか。ところが、このようなことを風邪をひくたびに起こすうちに、風邪をひいているわけでもないのにヒューヒュー音がしたりちょっと運動すると咳が出て苦しくなることがあります。このような場合は喘息になってしまっている可能性があります。こどもの喘息は自然によくなることが多いのですが、早いうちに治療を始めることで早く治ることがわかっています。そのためには親御さんがこどもの喘息についてよく知っておくことが大切です。小児喘息がどのようなものなのかを見ていきましょう。
小児喘息とは
喘息とは空気が通る気管支が収縮してしまい、発作性に呼吸が苦しくなることを繰り返す病気です。こどもの喘息を小児喘息といいますが、全体の7割が3歳までに発症、9割が5歳までに発症すると言われており、4〜5歳頃がピークとされています。小児喘息は大人の喘息とは違って、成長に伴ってよくなることも多く、7割は思春期までに治ってしまうと言われています。しかし、症状があるからといって放っておいてよいというわけではありません。
喘息の発作を放置することで、気管支の炎症が持続、悪化してちょっとした刺激に過敏になり、ますます発作を起こしやすくなったり、大人になっても治らなくなることがあります。発作がひどいと呼吸困難に陥って命に関わる場合もあります。そのため発作をなるべく起こさないように予防的な治療を継続して受けることが大切です。
小児喘息の症状の特徴
小児喘息の症状には次のような特徴が見られます。
1.喘鳴(ぜんめい)
呼吸をする時に、ヒューヒューと笛を吹くような音やゼーゼーというような音が聞こえます。
2.夜間や明け方に起こりやすい
喘鳴は昼間には比較的症状が軽く、夜間や明け方にひどくなる傾向があります。
3.風邪をひいたり運動すると現れやすい
風邪や運動がきっかけで喘息発作が起こりやすくなります。
4.軽い咳でも要注意
喘鳴がはっきり聞こえず、軽い咳でも喘息発作が起きている場合があります。
小児喘息の原因
小児喘息はアレルギーが原因になっている場合が9割以上で、両親がアレルギー体質であるとかかりやすい傾向があります。アレルギーを起こす原因物質は人によって異なりますが、一番よく見られるのはハウスダストで、ダニやほこり、動物の毛やフケ、カビなどがそれに含まれます。また花粉や食べ物が原因で起こることもあります。
小児喘息を発症させるきっかけ
小児喘息の発作はアレルギー反応によるものがほとんどですが、次のようなものも発作を引き起こすきっかけとなります。
- 風邪
- 運動
- タバコ
- 季節の変わり目
- 大気汚染
- ストレスや疲労
小児喘息の治療法
小児喘息の治療法は、アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)を避けること、そして薬による治療となります。
1.アレルゲンを避ける
主な原因であるハウスダストやダニを少なくするよう、こまめな掃除、じゅうたんを使用しない、ぬいぐるみや布団は洗濯や日干しをする、などに気をつけましょう。
2.薬による治療
■喘息発作が起きた場合
発作が起こってしまった場合には、収縮して狭くなった気管支を広げてあげる必要があります。症状が改善すれば使用を中止します。
<使用される薬>
・β2(ベータ・ツー)刺激薬・・・吸入薬 、内服薬、貼付薬
・テオフィリン製剤・・・内服薬
■喘息発作を予防する
喘息発作は気管支の炎症が原因となっているため、長期間にわたって薬を使用し、炎症を落ち着かせ、発作を予防します。アレルギー反応を起こさないように抗アレルギー薬を使うこともあります。
<使用される薬>
・吸入ステロイド薬
・抗アレルギー薬・・・吸入薬、内服薬
まとめ
小児喘息は日本では増加しており、4〜6%の子供がかかっていると言われています。男の子に多い傾向があり、低年齢化してきて1歳くらいでもかかることがあります。お子さんの呼吸がおかしいと思ったら早めに小児科やアレルギー科を受診することが大切ですが、喘息発作は夜中や運動後に起こることが多いため、診察中に起こっているとは限らず、診察してうまく診断がつけられない場合もあります。そのため、親御さんがお子さんの状態を注意深く観察し、いつ、どのような時にどんな症状があったのかを記録しておくとよいでしょう。