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びわを食べると口の中が腫れる!? びわアレルギーかも!症状と原因は?

 春から初夏の時期、食べ頃を迎えるびわですが、食べた後、口の周りや口の中が腫れてかゆみが出た、あるいはピリピリしてきたなどのアレルギー症状がでることがあります。びわアレルギーがなぜ起こるのか、その原因や症状をまとめました。赤ちゃんや幼児に食べさせるときの注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

びわアレルギーの症状

びわアレルギーの初期症状

 びわアレルギーの初期症状は口や喉などに表れることが多いです。びわアレルギーを持つ人がびわを食べると、通常15分以内に口の中のピリピリ感や知覚過敏、浮腫、腫れ、水ぶくれ、さらに喉が締め付けられたような感覚などの症状が出ます。場合によっては、唇の腫れや舌の腫れ、舌の違和感、喉のかゆみやイガイガ感などを感じる場合もあります。

 このような口腔内に起きるアレルギー症状を、「口腔アレルギー症候群(OAS)」と言います。アレルギー症状を引き起こす原因となる一部の果物や野菜などが、口の中の粘膜に触れることで発症するアレルギー症状です。

アナフィラキシー・ショックも!

 口腔内症状に引き続いて、鼻症状が表れることもあります。くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状です。

 また、口の中や口・鼻の周り以外にも症状が見られるようになることもあります。顔が腫れたり、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器官の症状、目のかゆみや腫れなど、さまざまな症状となって表れたりします。

 悪化してくると全身や局部的にジンマシンが出たり、喉が腫れて呼吸が苦しくなったり、さらに重篤化すると呼吸困難や意識障害などのアナフィラキシー・ショックを引き起こすことがあるので注意が必要です。

口腔アレルギー症候群が起こる原因

 びわをはじめ、リンゴやナシ、モモ、イチゴ、サクランボなどはバラ科の果物です。バラ科の植物はシラカバなどの花粉と交差抗原性があるため、シラカバ花粉症の人はバラ科の果物を食べたときにアレルギー症状を引き起こしやすくなるのです。

交差抗原性とは

 この交差抗原性とは、ある種のたんぱく質に対してアレルギーがある場合、たんぱく構造が近い別の種類のたんぱく質に対しても、同様に反応してアレルギーを発症することです。シラカバ花粉症の人がアレルギー反応を引き起こす原因となるタンパク質は、バラ科の食物にも含まれています。そのため、シラカバ花粉症やシラカバアレルギーを有する人が、バラ科の食物であるびわを食べることでアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。

 近年、スギ花粉症がなくシラカバ花粉症の多い北海道において、口腔内アレルギー症候群(OAS)と思われる症状で受診する人が増加しているとのことです。シラカバ花粉症の増加とともに、シラカバ花粉症と交差抗原性のあるバラ科の果物や野菜に反応する口腔内アレルギー症候群を合併している人が増えているのです。

 交差抗原性がある植物や食物は、シラカバとバラ科だけではありません。例えば、ブタクサアレルギー症状を引き起こす原因物質の構造は、ウリ類の食物のタンパク質構造と似ています。そのため、ブタクサ花粉症の人は、スイカやメロンなどのウリ類に対してアレルギー症状を引き起こす可能性が高くなってしまうのです。

 その他にも、交差抗原性のある食品や植物の組み合わせはたくさんあります。例えば、卵白アレルギーを引き起こす原因となるタンパク質の構造は、ウズラ卵の卵白に存在するタンパク質の構造と似ています。そのため、鶏卵の卵白に対してアレルギー症状を引き起こしたことがある人は、ウズラの卵白に対しても同様の反応を示す可能性があります。

びわアレルギーを予防するには

 びわが原因のアレルギーを起こしたなら、まずはびわを食べないようにすることです。いくつかの食品を同時に摂取し、びわがアレルギーを引き起こした原因なのかはっきりしない場合は、念のために一度に多くのびわを食べることは避ける方が良いでしょう。

 また、今までにシラカバ花粉症を発症したことがある人や、花粉症の症状を起こしたことはあるけれどもどの花粉によってアレルギー症状が起こっているのか判別していない人も、シラカバのアレルゲンとなるタンパク質に近い構造を持つびわをはじめとしたバラ科の果物は避けるほうが無難です。

びわアレルギーが不安な人は

 今までに食品によるアレルギーや花粉・ハウスダスト等によるアレルギーを引き起こしたことがない人の中には、何らかのアレルギーを持っているかもしれないと不安に感じている人もいるでしょう。そのような人は、普段、あまり日常的に食べていないものを食べるときやびわなどのアレルギーを引き起こす可能性があるものを食べるときは、用心することが必要です。

 例えば、初めてびわを食べるときは、いきなり大量を食べるのではなく、少量を口に含んで時間を置いてみましょう。この段階で、舌や口腔内のピリピリ感やかゆみを感じる場合は、びわアレルギーの疑いがあります。すぐに口の中のびわを出しうがいをしてください。

 また、口の中に入れても特別な反応が見られない場合でも、時間が経ってから何らかのアレルギー症状が出てくる可能性があります。飲み込んでから数時間は、身体に異変が生じないか確認するようにしてください。

びわアレルギーを発症したら

 もしも、びわアレルギーを発症してしまったとき、残念ですが、自分で対処できる効果的な方法はありません。かゆみがあるときや身体のごく一部分にジンマシンが出るときなどの症状が軽い場合は、身体をあまり動かさずに横になって安静にしていると、時間が経過するとともに症状が軽減されていきます。

 アレルギー症状が軽いときは敢えて病院で診察を受けるなどの処置を講じる必要はありませんが、症状が重いときは早急に医療機関を受診しましょう。医療機関において、抗アレルギー薬やステロイド薬を処方してもらったり、必要な場合は注射などの即効性が高い方法で対処したりすることになります。

乳幼児には加熱したものを!

 赤ちゃんや幼児に果物のひとつとしてびわを与える場合は、生で食べるのを避けたほうがいいでしょう。加熱することでアレルギーの原因となる酵素が分解されますので、コンポートにするなど調理を工夫して見ましょう。

 ただし、加熱したからといって、必ずしもアレルギー症状が起こらないということではありません。加熱するとアレルギーを起こしにくくはなりますが、人によっては、また、体調によっては、加熱しても敏感に反応してアレルギー反応が生じてしまうこともあります。赤ちゃんや幼児に食べさせるときは缶詰や加熱したびわを少しずつ与え、慣れてきてから量を増やしたり、生のびわも食べさせてみたりするようにしてください。

 びわ以外にも注意をすべき果物は多数あります。例えば、厚生労働省でアレルギーが起こる可能性があると特に注意を喚起している27種類の食品の中にも、キウイフルーツやりんご、オレンジ、もも、バナナなどの果物があります。これらのフルーツに、びわなどの交差抗原性のある果物を加えると、かなり多くの種類の果物に注意しなくてはならないことになります。

 だからといって、神経質になって果物を食生活から遠ざけていると、赤ちゃんや幼児が果物嫌いになってしまうかもしれません。アレルギーを引き起こしやすい体質なのかを見分けることも大切ですが、まずは加熱したものを少量ずつ、そして、生のフルーツを少量ずつ、慣れてきたら量を増やしていくと言う風に段階的に食べられるものを増やしていくことも大切です。

 食べられないものよりも食べられるものが多い方が豊かな食生活を楽しめますし、何よりも栄養のバランスも向上しますので、健康な生活を送りやすくなります。赤ちゃんや子どもも果物の美味しさを知ることができるように、親は工夫をしていきましょう。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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