アレルギーを持っている人は増加の一途をたどっており、こどもの2人に1人は何らかのアレルギーを持っていると言われています。アレルギー疾患にはアトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息、蕁麻疹・・といろいろありますが、ときにアナフィラキシーという危険な状態を引き起こすことがあります。この言葉を耳にしたことのある人は多いと思いますが、このアナフィラキシー、いつ、誰にでも起こる可能性のあるものです。また、こどもに起こりやすいアナフィラキシーというのもあります。いざというときに慌てないためにもアナフィラキシーについてよく知っておくことが大切です。
アナフィラキシーとは
アナフィラキシーとはアレルギー反応が限られた場所だけでなく、突然、短時間で全身に起こるアレルギー反応のことです。きっかけとしては、アレルギーの原因となるものを食べたり飲んだり、皮膚に接触させたり、注射などにより体内に取り込むことなどが挙げられます。
アナフィラキシーによって急激に血圧が下がったり、呼吸困難が起こったり、意識がなくなって命が危険な状態になることもあります。早い場合には症状が起こってから5分で心臓が止まってしまうこともあります。このような命に関わるような状態をアナフィラキシーショックといいます。特に乳幼児では食べ物によるアレルギーでアナフィラキシーが起こしやすいため注意が必要です。
こんな症状があったらアナフィラキシーの可能性が
アナフィラキシーでは多数の臓器に反応が現れます。例えば次のような症状で、このような症状が急に複数同時に現れる場合にはアナフィラキシーを起こしている可能性がありますのですぐに医療機関に連れて行くか、ひどい場合には救急車を呼びましょう。
■皮膚症状(アナフィラキシーの9割に出現)
・皮膚の赤み
・皮膚のかゆみ
・じんましん
■呼吸器症状
・喘鳴(ぜんめい);ヒューヒュー、ゼーゼー音がする
・咳
・息切れ
・呼吸困難
■粘膜症状
・まぶたの腫れ
・目のかゆみ
・唇の腫れ
・口の中の腫れ
・咽喉の腫れ
・声がれ
■消化器症状
・嘔吐
・下痢
・腹痛
■循環器症状
・血圧の低下
■ショック症状
・意識障害
・ぐったり
・失禁
アナフィラキシーはどんなものが原因になる?
アナフィラキシーを起こすものとしては食べ物が最も多く、他にも薬、ハチの毒、ラテックスゴムなどがありますが、クラゲに刺されたりダニに咬まれて引き起こされることもあります。
■子供に多いのは食べ物によるアナフィラキシー
食べ物でアナフィラキシーを起こしやすいのは特に乳幼児で、牛乳、卵、小麦が最もアナフィラキシーを起こしやすい食べ物です。そのほかにもそば、ピーナッツ、果物、えび、かになどが原因となることが多いようです。特定の食べ物にアレルギーがある場合には、加工された食品などの原材料にもよく注意を払うことが必要です。
アナフィラキシーになってしまった時の対処法・治療法
アレルギー体質の人は、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)を極力避けるようにする必要があります。食物アレルギーのある人はアレルゲンを摂取しないように十分気をつけていることだと思いますが、十分に気をつけているつもりでも、うっかり原因物質が含まれている食品を口にしてしまったりしてアナフィラキシーを起こしてしまうことがあります。
そのため、アレルギー体質の人は特にアナフィラキシーになった場合の対処法を知っておくとよいでしょう。
■アナフィラキシーになった場合の対処法
1.すぐに医師、または救急センターに連絡を
アナフィラキシーをおこすと短時間で症状が重症化することがあります。そのため、異常な症状が見られたらできるだけ早く医師または救急センターに電話をし、指示を仰ぎましょう。
2.アレルゲンと思われる物質をすぐに取り除く
食べ物の場合はすぐに出して口をよくゆすいでください。アレルゲンが皮膚についた場合はよく水で洗い流しましょう。また、ハチに刺された場合、毒針が皮膚の中に残ってしまっている場合があります。この毒針は取り除く必要があるため、ただちに医療機関を受診し、取ってもらいましょう。
■アナフィラキシーの治療法
1.抗ヒスタミン薬
軽めの皮膚症状や粘膜症状の場合に使用します。
2.気管支拡張薬
呼吸器の症状が出た場合に使用します。
3.ステロイド薬
症状が重症化してくる場合に内服薬として使用します。
4.アドレナリン自己注射薬(商品名;エピペン)
アナフィラキシーショックを起こして危険な状態になった場合には速やかにアドレナリンの筋肉注射を行います。過去にアナフィラキシーショックを起こしたことのある人や、危険性の高い人はアドレナリン自己注射薬を医師から処方してもらうことができますので常に携帯しておくことをお勧めします。
まとめ
アナフィラキシーはそれまで何ともなかったもので急に起こることがあります。アナフィラキシーはとにかく、急激に重篤な状態になってしまうことが多いため、早急な対処が欠かせません。そのため特に食物アレルギーのあるお子さんをお持ちの人は、かかりつけの医師にもしもの場合の対処法についてよく相談しておくとよいでしょう。