アレルギーのあるお子さんのいる家庭では、日常生活においてどのようなケアが必要なのでしょうか。アレルギーの原因となるものを避けるための、家庭でできるセルフケアをまとめてみました。
子どものアレルギー
子どものアレルギーは、もともとアレルギー体質の素因があったところに、さまざまな刺激により発症すると考えられます。
アレルギーマーチ
アレルギーを発症する子どもは、アレルギー性の疾患を次々と発症することがあります。これを、「アレルギーマーチ(アレルギーの行進)」と呼びます。
例えば、乳児期に卵や牛乳などによる食物アレルギー、またはアトピー性皮膚炎を発症し、幼児期になり気管支喘息を発症するという場合があります。小学校に就学する7、8歳頃に気管支喘息が治まることもありますが、多くは15歳頃になって症状が軽くなる場合が多いようです。人によっては、成人になっても残り、アレルギー性鼻炎などの合併症に悩まされる場合もあります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食物の摂取によりジンマシンや皮膚のかゆみ、腹痛や吐き気などの症状がみられる疾患です。重篤になると咳や呼吸困難などの症状が表れる場合もあります。
乳幼児期のアレルゲンは、主に卵や牛乳などの乳製品、小麦などで、就学する頃からは、エビやカニなどの甲殻類、小麦、ソバ、落花生なども原因に加わります。また、メロンやリンゴ、キウイ、バナナなど、さまざまな果物がアレルギーの原因となる可能性もあります。
食物アレルギーのケア
アレルギー症状がある場合は、飲み薬として「抗ヒスタミン薬」を服用します。
アレルギーを防ぐにはアレルゲンとなる食品を避けることが重要ですが、栄養バランスを崩さないよう、医師や栄養士のもと正しい栄養指導を受けるようにしましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみや湿疹などの症状が出ますが、乳児の頃は顔や手足などにジュクジュクした紅斑ができます。幼児期になると、首、ひざやひじの裏側などがカサカサしてきます。
アトピー性皮膚炎のケア
皮膚がカサカサするので保湿を心がけましょう。湿疹などの炎症があるようでしたら「ステロイド外用薬」、かゆみがある場合は「抗ヒスタミン剤」などが処方されます。
気管支喘息
気管支喘息は、アレルゲンを吸い込むことで気道が腫れ狭くなるために、咳やゼーゼーという喘鳴を繰り返します。
気管支喘息のケア
気管支喘息の治療には、副作用の少ない「吸入ステロイド薬」が中心に使われます。発作が起こった時は「吸入β2刺激薬」が処方されます。
日常生活において呼吸機能に支障のないように保つことが大切です。「吸入ステロイド薬」の治療をきちんと続けて、発作を起こさないようにすることが重要になります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、原因物質を吸い込むことにより、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が表れます。
アレルギー性鼻炎のケア
症状を軽減する「抗ヒスタミン薬」を服用するほか、鼻に噴霧する点鼻薬などで治療します。
子どものいる家庭でできるアレルギーのセルフケア
アレルギーは、原因となる物質から子どもを守ることがポイントです。
住環境を清潔に
アレルゲンとなるハウスダストを減らすようこまめに掃除機をかけ、1畳あたり30秒以上かけるようにします。できることなら、カーペットや畳は避けましょう。シーツや布団カバーは、週1回以上洗濯するようにします。タバコは、アレルギーにとってリスクが大きいので、家族の禁煙を心がけましょう。
花粉の対策
マスクやメガネで花粉を避けるようにします。外出後は、家の中に入る前に花粉を払い、洗顔やうがいをして花粉を除去します。
子どもの皮膚は清潔に
アレルギーを持つ子どもは、皮膚の清潔と保湿が大切になります。刺激の少ない石鹸を使って汚れを洗い流し、入浴後は保湿をします。衣服は、刺激の少ない綿素材がいいでしょう。爪も短く切り、患部を掻いて湿疹を悪化させないようにします。
バランスの良い食事を
アレルギーの原因となる食品を除去するときは自己判断せず、必ず医師の指導のもとに行うようにします。成長期の子どもには栄養のバランスが大事です。アレルゲンに注意しながらバランスの良い食事を心がけましょう。
子どもに薬を服用させるときの注意
子どもが薬を嫌がるときは飲ませ方にも工夫が必要です。粉薬の苦手な子どもには、少量の水で溶いて頬の内側に塗布します。ゼリーなどに混ぜてもいいですが、牛乳アレルギーの子どもにはアイスクリームなど乳製品は避けてください。シロップ剤は、少しずつ口の奥に入れてあげます。哺乳瓶の乳首を利用して飲ませてもいいですね。
子どもに薬を飲ませるときは褒めてあげよう
薬の服用が苦手な子どももいますが、薬を飲むことができた後は褒めてあげるなどして、苦手なイメージを払拭してあげましょう。アレルギーの原因となる食事の除去も自己判断せずに、医師に相談をしながら行うことが大切です。