子どもがアレルギーを発症した場合、初めての発作や、まだ対処に慣れていないときの発作は、すっかり慌ててしまうことでしょう。そんな緊急のときは、対処法を把握していると少し落ち着いた対応ができます。少しでも症状を緩和できるように、緊急時の対応方法をまとめましたので参考にしてください。
アレルギーの症状
アレルギー疾患では、気持ちが悪くなった、息が苦しい、お腹が痛い、湿疹のような症状が表れます。アレルギーの原因は、アレルゲンとなる特定の食物の摂取、原因物質への接触などさまざま考えられます。
アレルギーと考えられる症状
全身に表れる症状
- 意識がもうろうとしている、意識がない
- ぐったりしている
- 唇や爪が青白い
呼吸器系の症状
- 咳
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と聞こえる咳
- 犬が吠えるような「ケンケン」と聞こえる咳
- のどや胸が苦しい
- 息が苦しい
消化器系の症状
- お腹が痛い
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
皮膚に表れる症状
- かゆみ
- 紅斑
- ジンマシン
その他の症状
- 顔面が腫れる
- 目やまぶたがかゆい、充血
- 鼻水、鼻づまり
- 唇の腫れ、口の中の違和感やしびれ
緊急性を判断
アレルギーと疑われる症状が表れたときは、まず、緊急性の高い症状かどうかを早急に判断することが大切になります。できることなら5分以内に判断するようにしましょう。また、子どもから目を離さないことも重要です。
緊急性のチェック項目
以下のチェック項目に、一つでも当てはまる場合は、緊急性が高いと判断します。
全身に表れる症状
- 意識がもうろうとしている、意識がない
- ぐったりしている
- 尿や便を漏らす
- 脈が弱い、あるいは不規則
- 唇や爪が青白い
呼吸器系の症状
- のどや胸が締め付けられるように苦しい
- 声がかすれる
- 犬が吠えるような「ケンケン」と聞こえる咳
- 息がしにくい
- 持続する強い咳き込み
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と聞こえる咳
消化器系の症状
- 持続する我慢できないくらいの強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
緊急と判断したら…
●「エピペン®」を直ちに注射
アドレナリン自己注射製剤「エピペン®」を自宅に保管している場合は、直ちに使用する必要があります。「エピペン®」とは、アナフィラキシーショックのようなアレルギー症状を引き起こす可能性のある患者に、症状を緩和させるために使う緊急補助治療薬です。アナフィラキシーショックを引き起こす可能性のある人に、医療機関で処方します。また、学校などにも準備されています。
「エピペン®」の打ち方
- エピペン®を打ちやすい態勢をとります。子どもを仰向けに寝かせ、打つ人は患者の脇に座ります。
- ケースに入ったエピペン®を取り出します。利き手をグーにして、オレンジ色のニードルカバーを下向きに握ります。
- 青い安全キャップを外します。
- エピペン®は衣類の上から打つことができます。太ももの付け根と膝の半ば辺りの、真ん中よりやや外側に注射します。
- エピペン®を打った部分をマッサージします。
●救急車を要請
「エピペン®」を注射すると同時に、119番通報して救急車を要請します。「エピペン®」はあくまでも、医療機関を受診するまでの一時的な対策です。
救急車要請の際のポイント
救急車を要請するときは、状況を正確に伝えることが大切です。まず、救急であることを伝えます。次に、住所などの情報と子どもの症状を伝え、最後に、自分の名前、電話番号などを伝えます。
●安静にすること!
救急車が到着するまで、安静にしなければなりません。意識を失っている場合は、タオルや座布団などで足を15~30cm程度高くします。また、嘔吐がある場合は、嘔吐物で窒息しないように、顔と体を横向きにさせましょう。呼吸が苦しく横になれない場合は、上半身を起こして座らせ、後ろに寄りかかれる態勢にしてください。
早急に判断することが重要
アレルギー症状が表れたら、緊急性のある症状か否かを早急に判断することが肝心になります。アナフィラキシー症状が出たときは、迷わず救急車を要請しましょう。救急車を待つ間は、歩かせるなどせずに安静にさせるように努めてください。