アレルギーの疑いがある人は、何に反応してしまうのか、自分が疑っているアレルゲンの他にも原因はあるのだろうかなどの心配があると思います。それらをはっきりさせるためには、テストを受けることも重要です。アレルギー検査でわかること、アレルギー検査の種類などをご紹介します。
アレルギー検査でわかること
アレルギーには、さまざまなタイプがあります。多くは、IgE(免疫グロブリンE)というタンパク質が関わる反応ですが、このIgEの量を数値化した検査や、アレルゲンの除去あるいは負荷の検査になります。
アレルギー検査を受けることでわかるのは、①アレルギー体質であるかどうか、②特異的IgE抗体を有しているかどうか、③アレルギーの原因となるアレルゲンは何か、④血中IgE濃度などです。また、肺活量などの身体の機能も知ることができます。
特異的IgEとは?
人の体は、異物が侵入すると、その異物を攻撃して排除しようとする仕組みになっています。これが「免疫」と呼ばれるわけですが、その仕組みが過剰に反応し、自分自身の体を傷付けてしまうことをアレルギー反応と呼びます。アレルギーの原因となる物質をアレルゲンと言いますが、アレルゲンとなる物質を排除しようとする抗体が産出されます。それが特異的IgE抗体です。IgEはたんぱく質ですが、この特異IgE抗体ができると、再度アレルゲンが侵入した場合、アレルギー反応を起こしてしまいます。
アレルギーの原因となる物質
アレルギー反応を引き起こす物質は、下記のものが代表的です。
- ダニ(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニなど)…アトピー性皮膚炎などの原因となります。家の中に生息するダニが、ハウスダストにも含まれてアレルギーを引き起こします。
- カビ(黒カビ)…梅雨など湿気の多い時期に発生します。黒カビが空気中に胞子をばらまくことで、アレルギー反応が起こります。
- 花粉…スギやブタクサなどの花粉です。花粉は窓から家の中に入ったり、布団を屋外に干すことで付着したりします。また、外出時にも衣服や髪に付着して、そのまま家の中に持ち込まれることもあります。
- 細菌…風邪やインフルエンザなどの細菌のほか、ハウスダストの中にも細菌が大量に含まれています。
- 食物(タマゴ・乳製品・小麦・そば・落花生・エビ・カニなど)…特定の食品に反応します。例にあげた食品の他にも、キウイフルーツやオレンジ、やまいも、カシューナッツ、豚肉等多数原因と考えられる食品が存在します。
よく見られるアレルギー反応
アレルギー反応と一口に言っても、人によって、また、体調やアレルゲンによってさまざまです。よく見られるアレルギー反応には次のようなものがあります。
発疹
皮膚の特定の部位や不特定の部位に赤みが生じることがあります。ぶつぶつした突起状の発疹ができることもあれば、水泡状のものが見られることもあります。
かゆみ
発疹が出た部分に炎症が発生し、かゆみを引き起こすことがあります。引っ掻くことでかゆみが強まったり、かゆい部分が広がったりすることがあります。
喘息
咳が止まらなくなったり、呼吸をする度にぜいぜいと音が出たりすることもあります。かゆい部分や炎症部分が気管支まで広がり、不快感にさいなまれることもあります。アレルギー症状が強く出る場合は、呼吸困難になったり、呼吸ができなくなったりすることもあるでしょう。
アナフィラキシーショック
アレルギー症状が2つ以上同時に出たり、呼吸困難や意識障害などの命に関わる重篤な反応が出たりすることもあります。このような状態をアナフィラキシーショック状態と呼びます。アレルギー症状を起こしやすい人が特定のものを食べたりしたとき、もしくは、いつもとは明らかに異なる異常が見られたときは、時間を置かずに救急車を呼ぶなどの対処を行うことが必要です。
アレルギー検査の種類
血液検査
特定のアレルゲンに対するIgEを調べる検査を「特異IgE検査(RAST)」と言い、不特定のIgEについて調べる検査を「非特異IgE検査(RIST)」と呼びます。
採血を行い、血清中のIgEの量を検査する方法です。IgEの量によりアレルギーがあるかないかを調べます。
皮膚検査
スクラッチテスト
アレルゲンを、わずかに引っ掻いて傷つけた皮膚に塗布します。引っ掻くことを英語でスクラッチ(scratch)と言いますので、スクラッチテストと呼ばれています。少し時間を置いて塗布した箇所の反応を観察し、赤くなったり腫れたりしている反応が見られるなら陽性と判定します。
プリックテスト
スクラッチテストと同様に、アレルゲンを塗布した皮膚に専用の針で突いて反応を見ます。先端のとがったもので刺すことや小さな穴をあけることを英語でプリック(prick)と言いますので、このような手法によるテストをプリックテストと呼びます。
スクラッチテストと同じく、少し時間を置いてからの反応を観察します。アレルゲンを塗布した部分が赤くなったり腫れていたりするときは、アレルゲンに対するアレルギー反応は陽性であると判断します。
皮内反応テスト
アレルギーの原因と考えられるアレルゲンを腕に皮下注射して、その反応により判定します。注射をした部分が腫れたり赤みを帯びたりしているときは、アレルゲンがアレルギー反応を引き起こしていると判断します。注射をしますので医療機関で実施することは当然ですが、アレルゲンの注入量の調整などもありますので、かならず医師の監督の下でテストを行うようにしましょう。
パッチテスト
アレルゲンを垂らした専用のパッチを皮膚に貼り付け、2~3日間置きます。貼り付けた箇所が赤くなるかどうかの反応により判定します。アレルゲンによるアレルギー反応が激しく、パッチ部分の皮膚が強い赤みを帯びているときやパッチの外からも分かるような強い腫れが見られるときは、すぐにパッチを外して、必要な処置を実施します。
食物除去検査・負荷検査
食物除去試験
アレルギーの原因と疑われる食品を、一定期間(2~4週間)完全に摂取しないようにして、アレルギー症状が改善するかどうかを観察します。アレルギーの原因と考えられる物質を、できるだけ厳密に除去する必要があります。
また、場合によっては、一定期間完全にアレルゲンと予想される物質を除去した後で、アレルゲンと予想される物質を食べたり触れたりさせることもあります。除去していた間と明らかに異なる反応が見られるときは、アレルゲンと判断しやすくなります。ただし今まで除去していたものを突然投与することで身体が通常よりも過敏に反応してしまうこともあるでしょう。適切な投与量を決定し、過剰な反応が出たときにすぐに対応することが大切ですので、必ず医師の監督の下で検査を行うようにしてください。
食物負荷試験
アレルギーの原因と考えられる食品を敢えて摂取することでアレルギー反応が出るかどうか確かめる方法です。少量食べることから始め、一定時間間隔を空けて繰り返し食べます。この方法は、原因と疑われる食品を口にしますので、アレルギー反応が強く出る場合は重篤な症状を引き起こす可能性もあります。アレルゲンと予想される物質の摂取量を調整し、また、緊急の対応が取れるようにするためにも、医師のもとでよく相談しながら行わなくてはなりません。
医師との相談のもと行うことが大切
アレルギーの検査には、皮膚検査や食物負荷検査のように、身体に負荷のかかる方法もありますので、担当医とよく相談をしてから検査を受けることが大切です。食品や物質によるアレルギーがあるかどうかを調べるだけでなく、原因となる物質を特定する検査もありますので、アレルギー症状が出やすい方やアレルギー反応が不安な方は、医師に相談して適切な検査を受けるようにしましょう。