アレルギーの治療には、飲み薬や噴霧するタイプなどさまざまな薬を使用しますが、薬によっては集中力や判断力が低下するという影響が出る場合があります。薬を使用する前に、医師や薬剤師と相談しながら使用することが重要です。薬による治療法や薬が脳に与える影響などをご紹介します。
アレルギーの対処法
食物アレルギーの対処法
食物アレルギーは、特定の食物を摂取することでジンマシンやかゆみなどの症状、または腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が表れます。呼吸困難などの強い症状を引き起こす場合もあります。アレルギーを起こす原因として、タマゴ、牛乳、小麦、そば、落花生が5大アレルゲンと言われています。
食物アレルギーの対処法としては、アレルギーの原因となる食物を避けることが必要ですが、栄養バランスにも配慮しなければなりません。そのため、医師や栄養士などの正しい栄養指導を受けるようにしましょう。
食物アレルギーの薬による治療
治療として、アレルギーを予防するための薬を服用します。また、アレルギーの症状が出てしまったときは、「抗ヒスタミン薬」を服用し、アナフィラキシー症状を引き起こした場合は「アドレナリン自己注射薬」で対処します。
アトピー性皮膚炎の対処法
アトピー性皮膚炎は、発症時期によって症状が違います。乳児期には赤い湿疹や、ジュクジュクした湿疹ができ、幼小児期は首やひじ・ひざの裏側が乾燥してザラザラとしてきます。さらに年齢が上がると、皮膚がゴワゴワとなり赤くなる、または黒ずむという症状になります。
アトピー性皮膚炎の薬による治療
皮膚が乾燥しているようでしたら、保湿を心がけます。湿疹が出たときは、「ステロイド外用薬」などを塗布します。また、かゆみを抑えるためには「抗ヒスタミン薬」を服用します。
気管支ぜんそくの対処法
気管支ぜんそくは、空気中のアレルゲンとなる物質を吸い込むことで発症します。アレルゲンが気管支を通ることで炎症を起こし気道を狭くしてしまい、呼吸が苦しい、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音が出るなどの症状になります。アレルゲンは、ダニや花粉、カビ、ホコリ、ペットの毛、タバコや花火の煙などです。
気管支ぜんそくの薬による治療
気管支ぜんそくの発作を予防するために、「吸入ステロイド薬」の服用や、「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」を吸入するなどのケアを毎日続けることが大切になります。
発作が出てしまった場合、それを鎮めるために「吸入β2刺激薬」や「ステロイド薬」を使用します。
アレルギー性鼻炎の対処法
アレルギー性鼻炎は、空気中のアレルゲンとなる刺激物質を吸い込むことで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が表れます。スギやヒノキ、シラカバ、ブタクサなどの花粉をアレルゲンとする「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」と、ダニやホコリ、カビ、細菌などをアレルゲンとする「通年性アレルギー性鼻炎」があります。
アレルギー性鼻炎の薬による治療
くしゃみや鼻水などの症状を軽減するために服用する「抗ヒスタミン薬」が一般的です。錠剤や粉薬だけでなく、水なしで口の中で溶かすことができる口腔内崩壊錠もあり、子どもも服用しやすくなっています。
また、鼻炎には、鼻の中に噴霧する点鼻薬があります。症状によって、「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」や「鼻噴霧用ステロイド薬」が処方されます。
アレルギーの飲み薬の脳への影響
アレルギーを発症したときに処方される飲み薬「抗ヒスタミン薬」の中にはアレルギーに有効ですが、集中力や判断力が低下するなど脳に影響を与えることがあります。
一部の「抗ヒスタミン薬」は服用すると脳に移行するものがあり、日中でも眠気を感じたり、集中力や判断力が低下することがあります。それにより、作業能力の低下(インペアード・パフォーマンス)をきたす場合があるので注意が必要です。
医師に相談しながら対処することが大事!
今は、先述の副作用を改善した「抗ヒスタミン薬」もあります。アレルギー症状に効果的で、脳には移行しにくくなっているので、眠気や集中力の低下が認められる場合は、医師や薬剤師に相談して適切な薬を処方してもらいましょう。
日頃のセルフケアと、医師への相談が大事
薬を服用することで重症化することを防ぐことができますが、日頃から生活環境を清潔にすることがアレルギーを予防することになります。掃除機はまめにかけ、衣類や寝具、カーテンなどの洗濯を心がける、家具は拭き掃除するなど、室内のホコリやダニを除去するようにします。薬による治療のときは子どもの様子を観察し、医師や栄養士に相談しながら服用させることが大切です。