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エビやカニのアレルギーに関して。その原因、症状、治療方法とは?

エビやカニは甲殻類という種類に属します。この甲殻類に対してアレルギーを起こす人がいます。卵や牛乳が乳幼児期にアレルギーを起こしやすいのに対し、甲殻類のアレルギーを起こす人は乳幼児期には少なく、小学生以上くらいになってから徐々に増えてきます。

成人が起こす食物アレルギーの中では、甲殻類アレルギーはもっともメジャーなアレルギーとも言われており、1.5%くらいの人に何らかのアレルギー症状が見られるとされています。甲殻類アレルギーとは一体どのようなものなのか、注意すべき点、対処法などについて解説していきます。

エビ、カニアレルギーの原因

エビ、カニなどの甲殻類アレルギーの原因となるのは「トロポミオシン」と呼ばれるタンパク質の一種です。トロポミオシンは、甲殻類であるエビ、カニ、シャコのほか、甲殻類ではないイカやタコ、貝類にも含まれています。そのため、甲殻類に対してアレルギー症状が出る人は、エビやカニなどの甲殻類にだけ注意をするのではなく、トロポミオシンが含まれるイカやタコ、貝類などのシーフードにも注意が必要になります。

トロポミオシンに類似する成分を持つダニにも注意

アレルギー症状を起こす人は、アレルギーの原因となる物質を避けるだけでなく、アレルギーの原因物質の類似物質も避けなくてはなりません。例えば、ダニには、甲殻類アレルギーの原因となるトロポミオシンに似た構造を持つタンパク質が含まれています。つまり、甲殻類アレルギーを持つ人がハウスダストに含まれているダニの死骸を吸い込むなら、甲殻類を食べたときと同じようなアレルギー反応を示す可能性が充分に考えられるのです。

一般的に、甲殻類アレルギーは、強いアレルギー反応が出やすいアレルギーとも言われています。ダニの死骸によって深刻な症状が出ないためにも、こまめにベッド回りを掃除したり、枕カバーを頻繁に交換したりする等の努力が必要となるでしょう。

エビ、カニアレルギーで出やすい症状

エビ、カニアレルギーの症状は摂取後1時間以内くらいに出ることがもっとも多いため、何がアレルギー症状の原因になったのかを特定しやすいという特徴があります。

アレルギーの原因となる物質・食品によっては、数時間後~数日後に症状が出ることもあります。そのような遅発性のアレルギーの場合は、原因がなかなか特定できず、対処が遅れてしまうことが少なくありません。ですが、エビ・カニアレルギーのように症状が早く出やすいアレルギーの場合は、原因を特定しやすく、対処も早めに行いやすいのです。

原因を特定しやすいと言っても、症状が出れば不快な思いをしなくてはならないだけでなく、一定期間の治療が必要になることや、場合によっては生命に関わることもあります。甲殻類アレルギーで見られる症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

皮膚と粘膜に見られる症状

皮膚にアレルギー症状が出る場合は、エビやカニを触れた手や食べた口の周りがかゆくなることが多いです。かゆみだけでなく、ブツブツと赤い発疹状の蕁麻疹(じんましん)が現れることもあります。

外から見える皮膚にだけ症状が出ることもありますが、口内の粘膜にもかゆみや発疹が現れることもあります。ただれたように口内の粘膜がめくれることもあり、なかなか元に戻らず、不快感が長く続くこともあるでしょう。

消化器に見られる症状

胃もたれや腹痛を感じることもあります。また、吐き気や嘔吐、下痢などが続くこともあるでしょう。

呼吸器に見られる症状

場合によっては、呼吸器にアレルギー症状が現れることもあります。喘息が出たり呼吸困難になったりすることもあります。さらに深刻な状況へと進むと、複数の症状が同時に見られたり、アナフィラキシーショックが現れたりすることも珍しくありません。

エビ、カニアレルギーは治る?

エビ、カニアレルギーは耐性を獲得しにくいことで知られています。つまり、一度かかってしまうと一生治らないことが多いため、生涯を通じて注意をしていく必要があります。

エビ、カニアレルギーの注意点

エビ、カニアレルギーでは次のようなことに要注意です。

1.食べた後に運動をするとアレルギー反応を起こすことがある

普段エビ、カニを食べても特にアレルギーが出るわけではないのに、エビなどの甲殻類を食べてから数時間以内に運動をするとアレルギー反応を起こすことがあります。これを「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」と呼びますが、エビ、カニなどの甲殻類は、小麦に次いで、この特殊なアレルギー反応を起こしやすいとされています。

2.接触性じんましんを起こすことが多い

エビやカニを食べなくても、調理や飲食の際に殻に触れることで皮膚がかゆくなったり、蕁麻疹を起こしたりすることがあります。これを「接触性じんましん」と呼びますが、この接触性じんましんは、甲殻類を食べてもアレルギーを起こさない人にでも起こることがあります。

エビ、カニアレルギーへの対処法

症状がひどくなると、生命を脅かす可能性もある甲殻類アレルギー。甲殻類アレルギーを引き起こさないためには、次のことを実践する必要があります。

1.アレルゲンを避ける

エビ、カニアレルギーの対処法は、他の食物アレルギーと同様、アレルゲンとなるものをなるべく避ける、ということが最も確実な方法です。ちょっとかゆくなるだけだから・・と甘く見て食べ続けていると、だんだんとアレルギー症状がひどくなってしまう危険性があります。

かゆみだけ、あるいは発疹だけの症状しか出たことがない人でも、軽く見て甲殻類を食べ続けてしまうと、ある日突然アナフィラキシーを起こすということも充分に有り得るのです。少しでもアレルギー症状を起こしたことがある人は、極力食べないようにすることをおすすめします。

2.加工食品に注意する

エビやカニは様々な形で加工食品に使用されています。甲殻類はアナフィラキシーを起こしやすいことから、加工食品には特定原材料としての表示が義務付けられていますので、購入する際はよく食品表示を確認しましょう。

また、加工食品でなくても、しらすやちりめんじゃこに小さなエビ、カニが混入していたりすることがありますので注意が必要です。エビ、カニアレルギーがあっても、えびせんなどは問題なく食べられる人も多いですが、重度のアレルギーを持っている人は反応を起こすこともあります。

3.同じ製造ラインで製造されたものも避ける

エビやカニを使って製造される食品と同じラインで製造された食品は、例え食品の中にエビやカニが含まれていなくても、甲殻類アレルギーを引き起こすことがあります。原材料に甲殻類が入っていないものでも、「エビやカニを使用する食品と同じ工場で製造されています」と表示されている食品は、食べないようにしてくださいね。

4.家の中のハウスダストに注意する

エビ、カニアレルギーのある人はダニに対しても反応することがあります。エビやカニは食品ですので避けやすいですが、ダニやダニの死骸は小さく、ほこりの中に混じっていることもありますので、完全に避けることは困難になります。家の中を清潔にし、こまめに換気して乾燥させ、ダニを繁殖させないようにすることが大切です。

5.ひどいアレルギー反応が出た場合は携帯用エピペンを使用する

アナフィラキシーを起こした場合、アレルギー反応を落ち着かせる自己注射薬、携帯用エピペンを使う手があります。危険性の高い人は医師に処方してもらうことができますので相談してみましょう。

まとめ

エビ、カニアレルギーは、エビやカニを好んで食べる人に発症しやすいアレルギーとも言われています。これらの食材が好きな人にとって、食べないということは辛いかもしれませんが、「ちょっとくらいなら・・」などと思わず、命の危険から身を守るためにも極力食べないようにしてくださいね。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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