一般的には健康に良いイメージのフルーツですが、いくつかのフルーツはアレルギーを引き起こす可能性がありますので、赤ちゃんや幼児に初めて食べさせるときには注意が必要となります。特にキウイフルーツは、アレルギーを引き起こす恐れがあるフルーツの中でも症例数が多いフルーツとして知られています。キウイフルーツアレルギーの特徴や症状、治療法などについて探っていきましょう。
キウイフルーツアレルギーの特徴
キウイフルーツアレルギーは、他の食品アレルギーと比べるとどのような特徴のあるアレルギーでしょうか。
少量の摂取でもアレルギーを引き起こすことがある
キウイフルーツアレルギーは、キウイフルーツに対するアレルギーを持っている人がキウイフルーツを大量に食べることで発症するアレルギーではありません。キウイフルーツアレルギーの原因となる物質は「アクチニジン」と呼ばれるタンパク質とされていますが、このアクチニジンは少量の摂取でもアレルギー症状を引き起こす恐れがあるのです。そのため、一口食べただけでアレルギー症状が出ることや、ショートケーキなどキウイフルーツの横に置かれたフルーツやキウイフルーツの下にあったクリームを食べただけでアレルギー症状が出ることもあります。
児童や成人になってからアレルギー症状を発症することが多い
食品アレルギーは、通常、消化機能がまだ完全には発達していない乳幼児がかかることが多いです。日本においては乳児の約5~10%、幼児の約5%が何らかの食品アレルギーを有しているとされていますが、学童期に入ると1.5~3%と食品アレルギーを持っている割合が減少します。
食品アレルギーの中でも特に症例数が多い鶏卵や牛乳も、年齢が高くなるほどアレルギー症状が出る人は減っていきます。ですが、キウイフルーツなどのフルーツが原因となる食品アレルギーは異なります。乳幼児で発症しなかった人でも、学童期・成人期になってからアレルギー症状を発する可能性があるのです。厚生労働省の調査でも、アレルギーを持っている人の中でフルーツに対するアレルギーを有する割合が、小学1年生より小学5年生、小学5年生より中学2年生の方が高いことが報告されています。
参考:食物アレルギー診療ガイドライン2012ダイジェスト版「疫学」
http://www.jspaci.jp/jpgfa2012/chap02.html
厚生労働省「食物アレルギーとは」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
キウイフルーツアレルギーの症状
キウイフルーツアレルギーとは、どのような症状となって表れるのでしょうか。
口腔内や口の周りの不快感
キウイフルーツアレルギーのもっとも一般的な症状が、口腔内や口の周りの不快感です。口の中にかゆみを覚えたり、唇が腫れたり、唇や舌などがしびれるように感じたりすることがあります。風邪の初期症状のような喉のイガイガ感を感じる人もいます。
呼吸器や消化器に症状が出ることも
気管支喘息や吐き気、腹痛等の呼吸器や消化器関連の症状が出ることもあります。ヒトによっては、もしくは体調によっては、むかつきがひどく、嘔吐を繰り返すことにもなるでしょう。症状が重篤になると呼吸困難や全身のしびれ等のアナフィラキシー・ショック状態になることもあります。
キウイフルーツアレルギーの予防方法
キウイフルーツを食べてアレルギー症状が出た人や今までにキウイフルーツを食べたことがなくてアレルギーを持っているのかどうか分からない人は、次の方法でアレルギー症状が出ることを防ぐことができます。
参考:東京都健康安全研究センター「食物アレルギーと上手につきあう12のかぎ」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/allergy/to_public/12nokagi25.pdf
キウイフルーツアレルギーを持っている人
今までにキウイフルーツを食べて口内にかゆみや腫れ、呼吸器・消化器の異常などが見られたことがある人は、次のようにアレルギー症状の再発を防止します。
キウイフルーツを避ける
食品アレルギーがある人は、そのアレルギー源となる食品を避けることで、アレルギー症状が出ることを避けることができます。フルーツとしてそのまま食べるときには避けやすいですが、お菓子やシリアル等に入っているときは意外と気付かないこともあります。食品表示をしっかりと見て、キウイフルーツが入っていないことを確認してから食べるようにしましょう。
キウイフルーツが触れたものを避ける
キウイフルーツそのものではなくても、キウイフルーツに触れたものを食べるだけで、キウイフルーツアレルギーの症状が出てしまうことがあります。ケーキやゼリーなどにキウイフルーツが使われているときは、調理の過程でどのようにキウイフルーツと他の成分が関わっているかが分かりませんので、局部的に避けるのではなく全体を避けるようにしてください。
また、キウイフルーツを用いたお菓子やシリアルなどを製造している工場では、他の食品にキウイフルーツの粉末や果汁などが調理過程で入ってしまうことも想定されます。食品表示をしっかりと見て、製造過程でキウイフルーツと接触していないか確認して下さい。
キウイフルーツに対してアレルギーがあるか分からない人
今までキウイフルーツを食べたことがない人や乳幼児などは、次のようにキウイフルーツを食べ始めることができます。
少量ずつ食べさせる
キウイフルーツアレルギーを引き起こす原因物質は、加熱しても効力が変わりません。そのため、焼き菓子の中に使用したりコンポートとして調理したりしてもキウイフルーツアレルギーを引き起こしてしまいます。
加熱によってアレルギーを引き起こす能力を下げることはできませんので、まずは少量ずつ食べることが勧められます。様子を見て、問題が起こらないようなら、徐々に食べる量を増やしていきましょう。
食後5分間はしっかりと観察する
食品アレルギーは、アレルギー源となる食品を食べてから1~2時間後に症状が出ることが多いです。ですが、キウイフルーツやリンゴ、モモなどのフルーツに対してアレルギー症状が出るときは、食べて5分以内にかゆみや腫れなどの症状が出ることが多いです。食べてから5分間はしっかりと観察し、口内に腫れがないか、喉に違和感がないかを確認して下さい。
食後4時間は激しい運動をしない
キウイフルーツだけに限ったことではありませんが、食品アレルギーは運動によってアレルギー症状が誘発されることがあります。特に、アレルギーの原因となる食品を食べて4時間以内に激しい運動をすると、アナフィラキシー・ショックなどの重篤な症状が出る可能性が高まります。キウイフルーツに対して食品アレルギーがあるかどうか分からないときは、食後4時間は安静にしておく方が良いでしょう。
アレルギー症状が出たとき
キウイフルーツを食べて口内や唇の腫れといった軽いアレルギー症状が出た場合は、キウイフルーツを食べることを止めて、少し安静にすることで症状を鎮静化することができます。症状が長引くときや呼吸器・消化器などに症状が出るときは、症状に対応する診療科や皮膚科、アレルギー科で治療を受けましょう。
アレルギーテストを実施する
キウイフルーツだけでなくいくつかの食品を同時に摂取したときは、何がアレルギー源かはっきりと分からなくなってしまいます。そのようなときは、アレルギー科や皮膚科を受診し、アレルギーの原因となる食品を突き止めておくこともできるでしょう。