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ゼラチンを原因とする「ゼラチンアレルギー」その症状と対処法

特定の食品を摂取すると食品アレルギーを発症する人がいます。ゼラチンを摂取することが原因となり発症するアレルギーが、「ゼラチンアレルギー」です。ゼラチンアレルギーの症状や対処法などをご紹介します。

ゼラチンアレルギーとは…ゼラチンのたんぱく質に反応

ゼラチンは豚や牛などの動物のたんぱく質を主成分としたものです。ゼラチンは、ゼリーなどの食品に使用されることも多いですが、医薬品の原料となることもあります。

ゼラチンアレルギーは、他の食物アレルギーと同様、ゼラチンに含まれるたんぱく質が体内に入ることで、そのたんぱく質を異物(抗原)として反応した免疫機能が過剰な働きをすることで表れる反応です。つまり、ゼラチンアレルギーとは、ゼラチンのたんぱく質がアレルゲンとなるアレルギーのことだと言うことができます。

他の食物アレルギーと比べると重症化することは少ない

食物として摂取したゼラチンは胃の中でアレルゲン性が低下するため、ゼラチンアレルギーのアレルギー症状が重症化することは稀です。ですが、注射液の安定剤などに含有されるゼラチンは、胃に送られるわけではありませんので、アレルゲン性が低下せず、アレルギー症状が重症化する可能性が少なくありません。

ワクチン注射にゼラチンが含まれることが減ってきた

かつて、乳幼児が接種するワクチン(3種混合ワクチン)に、安定剤としてゼラチンが含まれていた時期があります。ワクチン中のゼラチンによってアレルギー反応が出てしまうケースが少なからずあったため、徐々にワクチンにゼラチンを添加させることはなくなりました。現在では、ゼラチンアレルギーのお子さんも、ほとんどの場合は安心してワクチン注射を受けることができます。

ゼラチンの成分

豚や牛などの動物の皮・骨などの繊維状の組織であるたんぱく質がコラーゲンです。コラーゲンは溶けにくい性質をもつため、熱処理をしてゾル化・ゲル化したものを「ゼラチン」と呼んでいます。豚や牛だけでなく、魚由来のゼラチンもあります。

一般的に、ゼラチンアレルギーを発症する人は、ゼラチンが何で作られたものかに関わらずアレルギー症状を表します。そのため、豚由来のゼラチンでアレルギーを示したことがある人は、豚由来のゼラチンだけでなく、牛や魚由来のゼラチンも避ける必要があります。

日本人に多く見られるゼラチンアレルギー

牛乳やナッツ類、ごまなどは海外でもアレルギー症状が引き起こされやすい食物として知られています。原材料の欄にミルクやナッツ、ごまなどが含まれていないかについて明記する義務がある国も少なくありません。

ですが、ゼラチンを、アレルギー症状を引き起こす食材として原材料の欄に記している国はあまりありません。これは、日本のゼラチンが特殊だからというわけではなく、日本人にゼラチンアレルギー体質の人が多いからです。海外ではゼラチンに対してアレルギーを起こす人は、日本ほど多くはいないのです。

つまり、海外の食品には、ゼラチンが使用されているかが明記されていないことが多いと言えます。ゼラチンアレルギーのある人は、海外の食品や食材を食べるときは、普段よりも慎重になる必要があるでしょう。ほとんどの商品にゼラチンが使用されていると考えられるグミやソーセージ、ゼリー、マシュマロなどは、海外のものもなるべく食べないように避けておく方がよいでしょう。

ゼラチンアレルギーの症状

ゼラチンアレルギーの症状としては、ゼラチンを摂取した後、全身にジンマシンが出たり、口の周りに赤い腫れや湿疹が出たりすることが多いです。また、顔の腫れや鼻水、下痢などの症状も見られたりすることもあります。

重症化すると、気道の腫れや呼吸困難などの気管系に症状が見られることとなります。ただし、先述した通り、ゼラチンは胃の中でアレルゲン性が低下しますので、ゼラチンアレルギーが重症化してしまうことは稀です。しかし、抵抗力が低い乳幼児にゼラチンアレルギーが発症した場合、症状が重篤化してしまうことが少なくありません。アレルギー症状が出たりぐったりして元気がなかったりするときは、早急に医療機関を受診するようにしてください。

ゼラチンを含有する食品

ゼラチンを含んでいる食品は、ゼリーだけではありません。グミやマシュマロ、ヨーグルト、ババロア、コーヒーゼリーなどの粘り気のある商品の多くにゼラチンが含まれています。

また、粘り気のある食感のためだけでなく、製品を安定させる安定剤、あるいは粘性を高めるために添加させる増粘剤として、ゼラチンを含有する食品もあります。例えば、ベーコンやハム、ソーセージ、クリームチーズ、焼肉などのタレなどにもゼラチンは含まれています。

カプセル剤にも注意が必要

食品以外のものとして、薬のカプセル剤にゼラチンが使用されていることがあります。病院で処方してもらう場合には、かならずゼラチンアレルギーであることを告げ、カプセル剤以外の剤形で処方してもらうようにしましょう。ドラッグストアなどで医薬品を購入する場合には、カプセルの成分をチェックするか、カプセル以外の粒状の薬や散薬などを選ぶようにしましょう。

食品やカプセル剤の成分表示をしっかりとチェック

アレルギー食品の表示ルールにより、ゼラチンは加工食品への表示が奨励されている食材となっています。過去に一度でもゼラチンによるアレルギーを発症している人は、成分表示を確認するようにしましょう。

ゼラチンアレルギーの検査方法

子どもがゼリーなどを食べて、ジンマシンや湿疹、鼻水などのアレルギー反応のような症状が表れたら、医師にすぐに相談しましょう。症状が重篤な場合は適切な処置を早めに行うことで、身体への負担を減らすことが可能です。「ちょっと変だな」と思ったら、迷わず医療機関を受診するようにしてください。

そのうえで、血液検査などのアレルギー検査を受け、ゼラチンアレルギーであるかどうかを確認します。代表的な検査方法は、採血による血液検査です。ゼラチンをアレルゲンとする特異的抗体の量を測定し、ゼラチンアレルギーか否かの診断をします。

ゼラチンアレルギーとわかったときの注意点

ゼリーやグミキャンディを食べて、ジンマシンが出た、顔が腫れたなどというアレルギーが疑われる症状が表れたら注意が必要です。特に、子どもの好きなグミキャンディは、ゼラチンの濃度が比較的濃い食品ですので、少しでもゼラチンアレルギーの症状が見られる場合は避けるようにしましょう。

また、予防接種などの注射にも注意が必要です。3種混合ワクチンによるゼラチンアレルギーの発症が問題になり、かつてと比べるとゼラチンを使用するケースは減りましたが、すべての注射液に安定剤としてゼラチンが含有されていないというわけではありません。インフルエンザなどの予防接種を受けるときは、必ず、医師へゼラチンアレルギーであることを伝えましょう。場合によっては、予防接種でも避ける必要があるかもしれません。

ゼラチンアレルギーとわかったら

ゼラチンアレルギーが疑われたら、きちんと医療機関を受診し、検査を受けてアレルギーの有無を確認しておきましょう。そのうえで、食品の成分表示を確認し、ゼラチンを含む食品を避けます。医療機関で注射をするときは、医師にゼラチンアレルギーであることを伝え、アレルギー症状の発生をおさえましょう。

また、日頃から偏った食生活にならないようにし、バランスの良い食生活を送ることを心がけましょう。ゼラチンは増粘剤や安定剤として多くの食品に使用されています。ゼラチンを避けるために多くの食材を使用できなくなってしまい、結果的に食生活が偏ってしまうこともあるのです。意識的に食材の種類を豊富にし、加工食品や工場生産のお菓子に頼らない食事を摂るようにしてくださいね。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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