ハウスダスト、つまりホコリがまったくない環境というものはありませんので、ハウスダストアレルギーは誰でも罹る可能性のある疾患だと言えます。反面、ハウスダストはある程度避けることもできますので、予防ができるアレルギーともいえます。患者数も多いハウスダストアレルギーの症状や対策をご紹介します。
アレルギーの原因・ハウスダストの正体
ハウスダストとは、衣服などから出る繊維くずや食べ物のくず、人間の髪の毛やフケ、ペットの毛などの細かなホコリや線維状のものを指します。また、カビや細菌、ダニの死骸、花粉、タバコの煙などさまざまな目に見えにくいものも含まれます。
ハウスダストは微細であるため空気中に舞い上がりやすく、人が動いたり風が吹いたりするだけでもハウスダストは動いてしまいます。舞い上がったハウスダストを口や鼻から吸い込むことで、アレルギー症状を発することもあるのです。
家の中でハウスダストが潜む場所
家の中にはさまざまなハウスダストアレルギーを引き起こすものがあり、また、布団やカーペットなどの布類、壁や家具など至るところに潜んでいます。特に、ダニは高温多湿の環境を好み、ホコリをエサとして繁殖しますので、思った以上に大量のダニが潜んでいることもあるのです。
ダニが潜む布団・カーペット
布団や枕には人の毛やフケなどのダニのエサとなるものがたくさん付着しますので、ダニにとって潜みやすい場所になります。カーペットも、人の毛やペットの抜け毛、食べ物のくずが落ちやすい場所に敷かれるだけでなく、長い繊維に絡んでそれらの毛やくずが取れにくくなりますので、ダニのエサが大量にあることになり、ダニの繁殖しやすい場所と言えます。このように、ダニが好む条件が揃った布団やカーペットには、多くのダニの死骸やフンがハウスダストとして潜むのです。
また、花粉の時期は、布団を花粉の舞う屋外で干したり窓を開けたりすることで、家の中に花粉が入り込みやすくなります。屋外に出かけていた人の洋服や髪の毛などに花粉が付着し、そのまま家に持ち込まれることもあります。このようにして家の中に花粉が入り込み、アレルギーの原因となることもあります。
家具の上、天井など
リビングの床は、掃除機やモップなどでこまめに掃除をしている人が多いでしょう。ですが、天井や照明器具、家具の上、家具の間の隙間、壁、カーテンなど、普段あまり掃除をしない部分にも多くのハウスダストが溜まります。日常の掃除のときにそれらの場所もこまめに掃除するのが一番ですが、毎日掃除することが難しい場合は、月曜日は照明器具、火曜日は壁などと曜日ごとのタスクを決めてこまめに掃除をするよう心がけましょう。
洗面所
衣類を着脱する洗面所も、ハウスダストが溜まりやすい場所です。また、水回りなので湿気が多く、カビが繁殖する場所でもあります。特にマンションなどの場合、洗面所に窓がないことも多く、換気が充分に出来ずに常にじめじめとしけってしまうこともあります。お風呂場など洗面所から続く場所のドアを1日に1回は開けたり、浴室乾燥機などを利用したりして、定期的に空気を乾燥させるようにしましょう。
ハウスダスト・ダニが好む環境
アレルギーの原因となるダニは、高温多湿の環境を好みます。梅雨から夏にかけて増えますので、除湿機などを用いて部屋をこまめに乾燥させるようにしましょう。もちろん、注意が必要なのは梅雨から夏にかけてだけではありません。ダニは春から夏に繁殖しますので、秋になるとダニの死骸が家中に拡散されます。ダニの死骸によってハウスダストアレルギーになる人は少なくありません。また、冬も暖房によって部屋が高温多湿になりやすいですので、ダニは繫殖していきます。
つまり、ハウスダストであるダニ、あるいはダニの死骸、フンは一年中家の中にあるということになります。ダニは季節に関わらず一年中いますので、一年中ダニ対策を行う必要があるのです。また、最近は気密性の高い住宅が増えているため、換気が充分に行われず、ダニにとっても繁殖しやすい環境が多いことも、ハウスダストアレルギーの増加の一端を担っています。
ハウスダストアレルギーの主な症状
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜に炎症を起こし、くしゃみや粘度のない鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます。花粉による鼻炎は季節によって起こる一時的なアレルギー症状ですが、ダニなどによって起こる鼻炎は一年を通して起こるアレルギー症状と言えます。
アトピー性皮膚炎
乳幼児の場合、ハウスダストによって顔や頭、耳、首などにじくじくとした水分の多い湿疹ができ、強いかゆみも伴って赤く腫れることがあります。症状が改善されずに長引いてしまうと、皮膚が硬くなってかゆみなどが慢性化することもあります。
アレルギー性結膜炎
結膜に炎症を起こし、強いかゆみ、目の充血、目ヤニなどの症状が出ます。また、目に異物感を伴うこともあります。
アレルギー性気管支炎
気管支に炎症を起こすことで気道が腫れ、呼吸が苦しくなりコホコホと乾いた咳をすることがあります。症状が進行してくると、ゴホゴホと湿り気を帯びた咳に変化していきます。
ハウスダストアレルギーを予防する方法
掃除機の前に拭き掃除を!
ハウスダストアレルギーを予防する方法は、掃除をこまめに行うことが一番です。ハウスダスト(ホコリ)を掃除するとアレルギーの原因となるアレルゲンが少なくなりますので、アレルギーの発症を抑えることができます。
時間をなるべく捻出して毎日掃除機もしくはモップをかけるようにしましょう。ほうきを使って掃除をするのも良いのですが、ほうきはほこりを舞い立たせることになりますので、ハウスダストアレルギーの人が家にいる場合はあまりおすすめの掃除方法ではありません。
また、カーペットはダニが繫殖しやすいので、フローリングの方がハウスダストアレルギーの人には良いように思えるかもしれません。ですが、フローリングは風や人の動きでホコリが舞いやすいという難点がありますので、どちらが良いかは簡単に断じることができないのです。フローリングのホコリが舞い立ちやすいという難点を解消するには、掃除機の前に雑巾やハンディモップでの拭き掃除をすることができます。ホコリを雑巾で拭き取ってから掃除機をかけることで、ホコリの舞い上がりを抑えて効果的にホコリの除去を行うことができるのです。
家具や隙間も掃除を!
掃除をするときは、家具の上や家具の隙間なども掃除しましょう。隙間用のノズルやスティック部分が長いスリムなモップなどを活用してホコリを除去します。ホコリを舞い立たせないためにも、家具の上を掃除する時も、一旦、雑巾やモップなどで拭き掃除をしてから、掃除機でホコリを吸い取りましょう。
布団や枕にも軽く掃除機をかける
布団や枕には、ダニの死骸がたくさん潜んでいます。こまめに洗濯することでアレルゲンとなるダニの死骸を取り除くこともできますが、毎日は大変ですので、掃除機を軽くかけることで対処することもできます。
布団や枕をパンパンと勢いよく叩くと、ダニの死骸が布団や枕の中に入り込んでしまうことがあります。そうなるとなかなか簡単には取れなくなってしまいますので、勢いよく叩くのではなく、軽くはたいたり、掃除機をかけたりすることでダニの死骸を取り除いていきましょう。
ハウスダストアレルギーは、微細なホコリがアレルゲンとなることで発症します。ハウスダストアレルギーを予防するには、こまめな掃除が決め手です。掃除も床を拭き取った後に掃除機をかけると、微細なホコリを減らすことができます。特に、お子さんにハウスダストアレルギーが見られるようなら、毎日掃除をし、寝具やカーペットなど家の中をキレイに保つことをおすすめします。