健康的なイメージのあるバナナ。柔らかく消化が良いので、赤ちゃんの離乳食やおやつに使われることもあります。ですが、人によってはバナナでアレルギー症状が出てしまうこともあります。バナナアレルギーとは何なのか、また、どのように予防や治療をすることができるのかについて見てまいりましょう。
バナナアレルギーとは
バナナでアレルギー症状が出てしまうことは、決して珍しいことではありません。バナナは、厚生労働省が定める24種類の食品表示が必要なアレルギー源となる食品のうちの1つでもあるのです。
参考:厚生労働省「食物アレルギーとは」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
バナナアレルギーの特徴
鶏卵や乳、乳製品に対する食品アレルギーは乳幼児のときに発症することが多く、その後、年齢が進むにつれて症状が治まっていきます。0歳で食品アレルギーに発症しても約半数が1歳児の間に症状が見られないようになり、3歳になると約8割の子どもに食品アレルギー特有の症状が見られないようになっていくのです。
ですが、バナナなどのフルーツによる食品アレルギーは少し異なります。乳幼児の頃は特にアレルギー症状が見られなかったのに、年齢が進むにつれてアレルギー症状が表出するケースが増えていきます。このように子どもよりも大人の方がアレルギー症状を表すことが多い食品には、次のものがあります。
大人によく見られる食物アレルギーの原因となる食品
- フルーツ類:バナナやリンゴ、キウイフルーツ、モモなど
- 甲殻類:カニ、エビ
- 小麦
- そば
参考: 食物アレルギー診療ガイドライン2012ダイジェスト版「疫学」
http://www.jspaci.jp/jpgfa2012/chap02.html
東京都健康安全研究センター「食物アレルギーと上手につきあう12のかぎ」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/allergy/to_public/12nokagi25.pdf
バナナアレルギーの症状
バナナアレルギーのある人がバナナを食べると、口やのどにかゆみが表れたり、ヒリヒリとしびれたような感覚が唇に残ったりすることがあります。口内や口の周りの症状がほとんどですが、まれに全身にジンマシンが出たり、嘔吐、発熱などの症状が出たりすることもあります。食後5分以内の比較的短時間にアレルギー症状が出ることが多いです。
バナナアレルギーの予防方法
バナナアレルギーが出たことがある人は、どのようにアレルギー症状の再発を防ぐことができるでしょうか。また、まだバナナを食べさせたことがない赤ちゃんや子供にバナナを与えるときは、どんなことに注意する必要があるでしょうか。
アレルギーが出たことがある人は極力バナナを避ける
今までに一度でもバナナを食べてアレルギー症状が出たことがある人は、バナナを極力避けることでアレルギー症状の再発を回避することができます。生のバナナだけでなく、ケーキやマドレーヌなどの焼き菓子に入ったバナナも避けましょう。また、ミックスジュースなど複数のフルーツを使用したジュースは、甘みを出すためにもバナナが入っている可能性が高いです。原材料名をかならず確認し、バナナが入っている飲み物もしっかりとさけてください。
屋台やジューススタンドにも注意!
屋台などの露店では水が豊富に使用できませんので、どれか1つの食品にバナナが含まれていると、バナナが接触したミキサーやまな板に他のフルーツなどの食材を乗せている可能性があります。例えバナナ以外の食品を注文するのだとしても、バナナを使った食品を提供する屋台の利用は避ける方が良いでしょう。
ジューススタンドも同じです。もちろん、1回ごとにミキサーやジューサーを洗っていると予想されますが、バナナを使ったジュースを作ったジューサーで他のフルーツジュースを作らないとは言い切れません。また、フルーツを切るまな板を、フルーツの種類ごとに替えているジューススタンドも多いとは言えないでしょう。アレルギー症状の再発を避けたいなら、ジューススタンドの利用も避ける方が良いと言えます。
バナナアレルギーの恐れがある人は少量ずつ慣れていく
初めてバナナを食べさせるときや、今までバナナアレルギーは出たことがないけれど何となく不安なときは、まずは少量からバナナに慣れていくことができます。バナナを加熱することでアレルギー症状が出にくくなりますが、過熱をしたから絶対にアレルギー症状が出ないということではありませんので、とにかく少量ずつ食べていくようにしてください。
しっかりと観察しよう
バナナアレルギーなどのフルーツ由来のアレルギーは、食べてから5分以内の短時間にアレルギー症状が出ることが多いです。乳幼児に食べさせるときは、5分間は目を離さずに観察するようにしてください。口の周りや口腔内に異変が見られるときは、食べさせるのを止め、体調が悪化しないかさらに観察を続けましょう。
激しい運動でアレルギー症状が出やすくなることもある
小麦やエビ、イカなどは、食べてから4時間以内に激しい運動をすると、重篤なアレルギー症状が出ることもあります。バナナアレルギーの症状も激しい運動によって誘発される恐れが想定されますので、初めて食べるときは特に、食後は激しい運動をしないようにしてください。
アレルギー検査でチェックしよう
アレルギーを起こす可能性がある他の食品と同時にバナナを食べたときは、どの食物がアレルギー症状の原因物質になっているのか分かりにくいですよね。このようなケースでは、病院で詳しくアレルギー検査をすることで、アレルギー源を特定することも可能です。食品アレルギーをチェックする際に利用される検査をいくつか紹介します。
血液検査
原因物質に対するIgE抗体の量を調べることで、特定の食品や物質に対してアレルギーがあるのかどうかを検査します。ただし、IgE抗体の数が多いとアレルギー症状が出やすいとは言えますが、かならずアレルギー症状が出るとも断定できません。そのため、血液検査を実施してアレルギー症状が出やすいかどうかの傾向を知り、他の検査によってアレルギーの有無を確定します。
皮膚検査
皮膚を引っ掻いたり小さな傷を付けたりしてから、その部分に原因物質と思われる食べ物を直接触れさせるあるいは食べ物からの抽出成分を触れさせることで、アレルギー症状が出るのかどうか検査します。ただし、この皮膚検査も血液検査と同様、補助的な位置づけですので、他の検査を実施することでアレルギーの有無を確定します。
食物負荷検査・食物除去検査
原因物質と予想される食物を敢えて食べさせて反応を見る検査を「食物負荷検査」と言います。食物アレルギー検査の中ではもっとも信頼性の高い検査ですが、重篤な症状が出てしまうこともありますので、かならず医師の監督の下で実施しなくてはいけません。
反対に原因物質と思われる食物を食事から完全に除去することで、反応を見る検査法もあります。この検査法を「食物除去検査」と言います。除去食を1~2週間続ける必要がありますので、時間がかかることが難点です。
いつもと違う反応があるときはすぐに病院へ行こう
バナナを食べて口腔内や口の周りに赤みや湿疹が見られたら、まずはバナナを食べることを止め、安静にしてください。気分の変化や体調の変化などのいつもとは明らかに異なる変化が見られるときは、自己診断して自宅で安静にするのではなく、すぐに病院で適切な治療を受けるようにしましょう。迅速に病院に行くことで、症状が重篤化するのを防げることもありますよ。