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「大豆アレルギー」豆腐や豆乳が食べられない? その特徴と症状

 かつて、「卵・牛乳・大豆」が3大アレルギーと言われていました。現在は「大豆」に変わり「小麦」となりましたが、今でも大豆はアレルギーの原因となる可能性が高い食材として認識されています。大豆アレルギーの特徴と症状などについてまとめました。

大豆アレルギーの特徴

 大豆アレルギーとは、異物の侵入から体を守ろうとする免疫システムが、大豆に含まれているたんぱく質に対して過敏に働いたときに起こるアレルギー反応のことです。大豆アレルギーを発症した乳幼児の約8割が、3歳頃までには自然に治ると言われています。

 大豆は16種類ものアレルゲンがありますので、どのアレルゲンに反応するかによって、食べられない食品が違ってきます。例えば、豆腐を食べても何の症状も出ないのに、豆乳を摂取するとアレルギー症状が出る人もいます。また、大豆アレルギーを持つ人も、多くの場合、小豆やそら豆、白いんげん豆などの大豆以外の他の豆類は食べることができます。

大豆食品は多いので避けるのも大変

 大豆を使った食品は、豆乳のほか、豆腐や醤油、味噌、油揚げ、きな粉、ダイズ油、おからなど種類がたくさんあります。特に日本食には多くの大豆食品が使われますので、大豆アレルギーを持っている人には食べられないものが多く存在することになります。そのため、それらすべてを避けることはなかなか困難なうえ、大豆を意識的に避けると植物性たんぱく質の摂取量が少なくなり、成長に影響を与えかねませんので注意が必要です。

 また、ダイズ油を使用するときは、他の大豆食品を食べるときよりも注意が必要になります。ダイズ油自体はたんぱく質ではありませんが、加熱すると酸化しますのでたんぱく質と結合しやすくなり、アレルギー症状を引き起こしやすい状態になってしまうのです。特に酸化が進んだ古い油はアレルギー症状を引き起こしやすいですので、なるべく避けるようにしてください。ダイズ油で揚げものをするときは、1回の揚げもので油を使い切るようにし、油の使い回しをしないようにしたいものですね。

大豆アレルギーの症状

 大豆アレルギーによって引き起こされる主な症状は、じんましんや湿疹、咳、くしゃみ、嘔吐、下痢、腹痛などです。鼻水や目の痒みなど、花粉症に見られる症状が出る人もいます。また、アナフィラキシーを起こすまでに重症化することは稀ですが、万が一アナフィラキシーショックが出てしまうと、呼吸困難や意識低下などの命の危険を脅かす症状を引き起こすことがあります。

じんましん

 大豆や大豆加工食品を食べることで、じんましんが出ることがあります。身体全体ではなく一部のみに赤いブツブツが見られ、数時間以内に跡形もなく消えてしまうことが多いです。また、ブツブツが細かいことが多いです。

喘息

 じんましんだけでなく、喘息が同時に現れることもあります。喘息症状が出るときは、じんましんが全身に出ることも少なくありません。ほとんどの場合は症状が出てから数時間以内にじんましんが治まり、同時に喘息症状も治まっていきます。胸が苦しいほどの咳が出るときは、すぐに病院に行って診てもらうようにしましょう。

湿疹

 じんましんとしてアレルギー症状が現れるときは、かゆみがないことが多く、すぐにブツブツも消えてしまいます。ですが、湿疹がアレルギー症状として現れるときは、かゆみを伴うことが多く、ブツブツが1週間前後続くこともあります。かゆみを伴いますので、ひっかいてしまいやすく、跡が残ってしまったりブツブツが広がったりすることもあります。

大豆アレルギー症状が見られるタイミング

 大豆アレルギーは、大豆を体内に摂取してすぐに見られるわけではありません。体調や年齢、その他の因子によって、アレルギー症状が現れるタイミングが変わってきます。

即時型アレルギー

 アレルギーの原因食品を摂取してすぐに症状が出るアレルギーを、「即時型アレルギー」と呼びます。即時型アレルギーの場合は、数分後から約2時間以内に症状が表れます。大豆によって即時型アレルギーが現れるのは、アレルギーの原因となる成分に対して耐性ができていない乳幼児が多いです。

非即時型アレルギー

 アレルギーの原因食品を摂取して、数時間から約48時間経過後にアレルギー症状が表れることを「非即時型アレルギー」と呼びます。非即時型アレルギーは、乳幼児よりもおとなに多く見られる反応です。

大豆アレルギーの原因となる可能性のある大豆食品

 大豆加工食品の中でも、大豆たんぱく質の吸収率が高い豆乳や調整豆乳、豆乳飲料などは、他の大豆加工食品でアレルギー反応が出ない人でも、アレルギー症状が表れることがあります。

 また、味噌や醤油、納豆などに含まれるたんぱく質には、大豆アレルギーの元となる16のアレルゲンが含まれていません。そのため、大豆アレルギーがある人でも、アレルギーを発症せずに味噌や醤油、納豆などの大豆加工食品を食べることができる確率が高くなります。

豆乳などがアレルギーを発症する原因

 先述したように、味噌や醤油によって大豆アレルギーを発症することは稀なことです。これは、製造過程の「発酵」の段階でアレルゲンとなる大豆たんぱくが分解されるためです。

 一方、豆乳や大豆飲料がアレルギーを発症する可能性が高いのは、発酵段階を経ないためにアレルゲンとなる大豆たんぱくが分解されていないからです。また、大豆アレルギーと花粉症には交差反応性があり、特定の花粉に対してアレルギーを持っている人が、大豆に対してもアレルギー症状を引き起こすことがあるためとも言われています。近年、ハンノキやシラカンバなどによりカバノキ科花粉症に罹った人が、大豆たんぱく質の吸収率が高い豆乳などを摂取することで、「口腔アレルギー症候群」を発症するケースが増えています。

口腔アレルギー症候群

 カバノキ科花粉症に罹った人の約半数が、口腔アレルギー症候群を発症しています。また、カバノキ科花粉症のアレルギーがある人の中で大豆アレルギーの症状が出てしまった人も、多くが口腔アレルギー症候群の症状を見せています。

 口腔アレルギー症候群とは、特定の食品を食べると口の周りや舌、喉の中などに痒みや違和感などの症状が出ることを指します。他にも、じんましんや鼻水、吐き気、腹痛、下痢などの症状が現れる人もいます。また、稀にアナフィラキシー症状が出ることもり、喘息や呼吸困難などの重症に至ることもあります。

 口腔アレルギー症候群は、カバノキ科の植物だけによって引き起こされるのではありません。リンゴやモモなどのバラ科の果物、メロンやスイカなどのウリ科の野菜、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類なども原因となります。大豆も原因食品の一つと考えられ、複数の原因食品を持つ人も多いようです。

自己判断は危険

 大豆を加工した食品の中でも、豆腐や納豆を食べてもアレルギー反応は出ない人もいれば、豆乳を飲むとアレルギー症状が出てしまうという人もいます。大豆アレルギーといっても、人によりアレルギー反応を起こす原因となるものが異なりますので、大豆食品は全部ダメだと自己判断をするのではなく、専門医に相談して検査を受け、食べられるものと食べられないものをしっかりと把握しましょう。

 特に、乳幼児の場合は、食べられるものが少ないと栄養が偏り栄養障害になってしまうことがあります。大豆や大豆食品に対してアレルギー症状が出るときは、まずは医師や栄養士などの専門家に相談し、食事指導を受けることをおすすめします。

 また、大豆アレルギーでアナフィラキシーショックを引き起こすケースは少ないと言われていますが、少ないだけであって先例がないわけではありません。大豆アレルギーの可能性が疑われるときは、的確な対応ができるように必ず医療機関を受診するようにしましょう。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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