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小麦のアレルギーとは?患者数の多い小麦アレルギーの症状と対処法

日本における食品アレルギーを引き起こす3大食材は、卵と牛乳、そして小麦です。いずれも乳幼児の頃からアレルギーを発症することがあり、食品アレルギーを持つ0〜3歳の7~8%は、小麦が原因となってかゆみや発疹などのアレルギー反応を起こしています。特に近年では、輸入小麦や農薬を使用している小麦が増えていることもあり、小麦アレルギーを発症する子供が増加していると言われています。

食物アレルギーは主に子供に起こることが多いのですが、大人になってからいきなり発症してしまうこともあります。小麦も例外ではありません。年齢に関わらず食物アレルギー全体の8%は、小麦が原因となっています。小麦アレルギーとは一体どのようなものなのかを見ていきましょう。

小麦アレルギーの原因

小麦アレルギーの原因は、小麦に含まれるタンパク質です。アレルギーの原因となるタンパク質は複数の種類があり、不溶性のグルテンと水・塩に溶ける可溶性の成分とに分けることができます。不溶性のタンパク質も水溶性のタンパク質も、それぞれがアレルギーを起こす原因になり得ます。

小麦アレルギーと交差反応

また、小麦だけでなく、ライ麦、大麦、オート麦などの他の麦類にも反応してアレルギーを起こすこともあります。このように厳密には違う種類でも、アレルギーを引き起こす原因となるタンパク質の構造が似ているためにアレルギーを引き起こしてしまうことを「交差反応」と呼びます。

小麦と他の麦類(大麦、ライ麦、オート麦など)の交差反応によるアレルギー誘発の危険性は20%程度と言われています。つまり、小麦アレルギーの人の5人に1人は他の麦類でもアレルギー反応を起こすことがあるのです。麦類を食べるときは慎重になる必要があるでしょう。

小麦が含まれる食品

そばやゼラチンなどの他の食品アレルギーの原因となる食材と比べると、小麦を原材料にした食品は非常に多くあります。うどんやスパゲッティ、つなぎとして小麦を用いたそばなどの麺類は、小麦の使用量も多く、ぜひとも避けるべき食品です。食べる機会が多いパンも、基本的には小麦粉主体で作られていますので、避けなくてはなりません。

また、ケーキやドーナツ、クッキーなどの洋菓子類にも小麦はたくさん含まれています。最近は小麦アレルギーに対応した米粉を主成分とするクッキーやドーナツも販売されていることがありますので、小麦アレルギーを持つお子さんがいる家庭では利用してみるのも良いでしょう。

主食やお菓子は小麦粉が主役となっていますので避けやすいですが、小麦粉が脇役的に使用されている食品は、慣れていないうちは避けることが難しいかもしれません。例えば市販のカレールウやシチュールウには小麦粉が含まれていますし、ドリアやグラタンに使用されるホワイトソースも小麦粉を使って作るものです。また、スープや料理のとろみとして小麦が利用されることもあります。

その他にも、麦から作った味噌「麦みそ」がブレンドされている味噌も、スーパーなどではたくさん売られています。味噌を購入するときも、原材料をチェックして麦類が含まれていないか調べるようにしましょう。

加熱してもアレルギー性は変わらない

小麦と同様、アレルギーを引き起こす人が多い卵。卵は加熱するとアレルギーの原因となるタンパク質の構造が変化し、卵アレルギーの人が食べてもアレルギー反応が出ないこともあります。

ですが、小麦の場合は、加熱してもタンパク質の構造が変わらないため、そのまま口にするのと同じようなアレルギー反応が出てしまうことが多いです。加熱した食品だからと安心することはできませんので、小麦アレルギーの人は調理法に関係なく、小麦が含まれている食品すべてを避けるようにしましょう。

小麦アレルギーは治る?

小麦アレルギーは乳幼児期に発症する例が最も多く、その中でも離乳食を始める前の頃から持っていることが多いとされています。このような乳児期に発症した小麦アレルギーは、成長して胃腸がしっかりと機能してくるにつれ、小麦アレルギーの原因となるタンパク質を分解できるようになり、早い段階で耐性を獲得して治ってしまうことが多いです。

ですが、乳幼児期でなく、学童期に入ってから、もしくは成人以降に小麦アレルギーになってしまうと、問題は複雑になります。学童期以降に小麦アレルギーになった場合は、消化できないことが問題ではないため、耐性を獲得することが難しくなり、根治も困難になってしまうのです。そのため、生涯をかけて小麦アレルギーと付き合っていかなくてはならなくなることが多いのです。

小麦アレルギーの症状

小麦アレルギーは他の食物アレルギーと同様な次のような症状を起こします。

  • 皮膚
    皮膚の赤み、かゆみ、蕁麻疹
  • 口、のど
    唇、舌、口、のどの違和感やかゆみ・腫れ、口内炎、声の枯れ
  • 消化器
    腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、血便

  • 眼の充血、かゆみ、涙、まぶたの腫れ
  • 呼吸器
    鼻水、くしゃみ、鼻づまり、咳、喘鳴(ゼーゼーいうこと)、呼吸困難
  • 全身(アナフィラキシー)
    上の症状が同時多発的に起こり、ときにショック状態(血圧の急激な低下、頻脈、意識障害、失禁)

小麦アレルギーはこのような典型的なアレルギー症状に加え、「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」や「経皮感作による小麦アレルギー」というような、ちょっと変わった出方でアレルギーが出ることがあります。

小麦アレルギーの特殊なアレルギー反応

1.食物依存性運動誘発性アナフィラキシー

小麦は食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの原因となることでもよく知られています。食物依存性運動誘発性アナフィラキシーとは、アレルギーの原因となる食品を食べただけでは症状が出ないのに、特定の食物を食べた後に運動をすると強いアレルギー反応が起こることです。症状としては全身に蕁麻疹が現れ、ひどくなると血圧低下、呼吸困難などが起こり、危険な状態になることもあります。主に中学生以上になってから見られます。

2.大人になってから経皮感作を起こすことがある

小麦アレルギーは大人になってから突然かかることもあります。その原因として多いのが、皮膚から石鹸や化粧品などに含まれる小麦の成分を吸収してしまう「経皮感作」と呼ばれるものです。

3.小麦製品でも食べられるものと食べられないものがある

例えばうどんは食べられるのに、パスタやパンなどでアレルギー症状が出る、ということがあります。なぜそのような反応が出るのかに対しては、まだ解明されていません。

小麦アレルギーの対処法・治療法

小麦アレルギーの症状を起こさないためには、まず小麦の摂取を制限することが大切になると言えます。呼吸困難や腫れなどの重篤な症状が見られる場合は小麦を完全に除去し、ちょっとしたかゆみや皮膚の赤み程度なら、量や回数に制限を設けて小麦を摂取することができるでしょう。

食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの場合は、小麦を食べるだけではアレルギー症状が出るわけではありません。食べた後4時間ほどは運動しない、もしくは運動するならその前に小麦製品を取らない、ということに気をつける必要があるでしょう。

アレルギー症状が起こってしまったら、必要に応じて抗アレルギー薬、ステロイド、アドレナリンの自己注射などを使用することで危険な状況から身を守ることができます。ただし、いずれも応急処置ですので、自己処置をした後に必ず医療機関を訪れる必要があります。

まとめ

小麦アレルギーの人はご飯やジャガイモを主食とした食事をすることで小麦を避けることが可能です。ただし、加工食品や様々な料理の「つなぎ」や「とろみ付け」などに小麦が使用されていることも多いため、どんな食品に小麦粉が使われているのかを自分でしっかりと把握して小麦をなるべく避けることが大切です。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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