気管支喘息と言うと子供がなる病気のイメージがありますが、大人の中でも気管支喘息を患っている人は少なくありません。大人の気管支喘息(成人気管支喘息)にはどのような特徴があるのか、アレルギーと関連はあるのか、また、具体的な治療法についても見て行きましょう。
成人気管支喘息とは
成人気管支喘息とは、成人に見られる気管支喘息です。子供の頃に気管支喘息だった人が、大人になってから再発することもありますが、ほとんどの成人気管支喘息は成人してから気管支喘息が発症するタイプです。成人になってから気管支喘息を初めて発症した人は、成人気管支喘息患者全体の70~80%を占め、特に40歳以上の成人気管支喘息患者に限ってみると90%以上が成人になってから初めて罹患しています。
成人気管支喘息の診断基準
次のような症状が見られるときは、成人気管支喘息と診断されることが多いです。特に1~3の症状すべてが同時に見られることが診断の決め手となります。1~3の症状に加えて4~6の症状が観測されると、より成人気管支喘息である可能性が高いと判断されます。
1.発作性の呼吸困難、喘鳴
夜間や早朝に喘息発作が見られること。また、喉の奥でゼイゼイ、ヒューヒューという音が聞こえることがあること。
2.喘息発作が繰り返して起こること
発作が1度だけではなく何度も起こること。発作症状が出なくなってから、無症状の時期を挟んで再度発作が起こること。
3.他の心肺疾患によらない喘息症状であること
胸部レントゲンを撮影し、心臓や肺に特定の疾患がないことが確認されていること。もしくは、特定の疾患がある場合でも、その疾患と喘息症状の相関が発見されないこと。
4.他の要因によって喘息症状が出やすくなること
運動した後に喘息発作が出やすくなること。また、天候の変化や月経、アレルギーの原因となる物質に触れること、精神的なストレスが強くなること等によって、喘息症状が出やすくなること。
5.アトピーの素因があること
血清特異的IgE抗体の数値が高い等のアトピーの素因が見られること。あるいは、アトピー症状を長く患っていること。
6.気道に炎症が見られること
喀痰の細胞や末梢血白血球において好酸球が増加している等、気道に炎症が起こっていることを示す数値が表れること。
アレルギーと成人気管支喘息の関係
喘息は、主にアレルギー性の炎症によって気管支が狭くなり、咳や喘鳴などの症状が現れる病気です。そのため、喘息が疑われると何らかのアレルギーを保有しているのではないか検査を実施することも多いです。
しかしながら、成人気管支喘息は、アレルギーを引き起こす原因(アレルゲン)を特定することが難しいという特徴があり、アトピー素因やダニ・ハウスダストなどに対するアレルギー反応がなくても、喘息症状を発症してしまうことが少なくありません。
風邪やストレス、過労が気管支喘息を引き起こすことも多い
アレルゲンを特定することが難しいため、日常生活において何かを除去したり制限したりすることは成人気管支喘息の治療にはあまり結びつきません。それよりも、風邪の症状が長引いて喘息を引き起こしたり、ストレスや過労が喘息症状となって表出していたりする可能性が高いのです。
成人気管支喘息の治療方法
病院では、炎症緩和のために、吸入ステロイド薬による治療を基本的に実施します。喘息症状の重症度によって以下のような治療が実施されます。
レベル1:軽症間欠型
週に1回ほど軽度の発作が表れる場合、また、夜間の発作が月に2回未満の場合は、「軽症間欠型」の成人気管支喘息と診断されます。この場合は、低用量の吸入ステロイド薬を主に適用し、状況に応じて抗アレルギー薬を追加します。
レベル2:軽症持続型
毎日ではないけれども週に1回以上の発作が表れる場合、また、夜間の発作が月に2回程度の場合は、「軽症持続型」の成人気管支喘息と診断されます。低~中用量の吸入ステロイド薬を主に適用し、状況に応じて抗アレルギー薬を追加します。
レベル3:中等症持続型
毎日喘息発作が観察され、週に1回以上は夜間にも発作が起こり、日常生活にも不都合が起こってくる程度になると、「中等症持続型」の成人気管支喘息と診断されます。中~高用量の吸入ステロイド薬とLABA、テオフィリン徐放製剤等の医薬品を併用し、場合によっては抗アレルギー薬も追加します。
レベル4:重症持続型
毎日喘息発作が観察され、夜間もしばしば発作が起こるときは「重症持続型」の成人気管支喘息と診断されます。高用量の吸入ステロイド薬とLABA、テオフィリン徐放製剤、経口ステロイド薬等の薬剤を複数使用します。場合によっては抗アレルギー薬も追加します。
症状が表れたときは早めに病院で治療を!
気道の炎症が悪化すると、症状がひどくなるだけでなく長引くこともあります。症状が見られたら重症化する前に早めに病院で治療を受けるようにしてください。
参考サイト)