松茸は、秋の味覚の代表格として知られていますよね。あっさりとしたクセのない味と深い香りで、子どもからお年寄りまで幅広い層から支持されています。
そんな人気の松茸ですが、アレルギーを引き起こす食品の1つでもあるのです。食品アレルギーというとエビやカニ、キウイフルーツ、ヤマイモなどの味の濃いものやクセのあるものが原因になるイメージが強いですが、松茸のようにあっさりとした味のものもアレルギー源となることがあるのです。松茸アレルギーの特徴や症状、他のキノコでも食品アレルギーを引き起こすことがあるのかについて見ていきましょう。
松茸アレルギーの特徴
2001年から厚生労働省では食品アレルギーを引き起こす可能性がある食品を含む加工食品については、そのアレルギーの原因となる食品名を表示しなくてはならないと定めました。特にアレルギーの症例数が多い小麦と乳・乳製品、卵と重篤な症状が出ることが多いそばとピーナッツにおいては、ごく微量だけ使用したとしても表示は義務化されています。
また、これらの5つの食品ほどではないものの、食品アレルギーの原因となることが多いあわび、イカ、イクラ、エビ、カニ、あわび、さけ、サバ、オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、モモ、リンゴ、牛肉、鶏肉、豚肉、大豆、ヤマイモ、ゼラチン、そして松茸についても、食品表示に食品名を記載することが奨励されています。24の代表的な食品アレルギー源の1つである松茸。アレルギーとしてはどのような特徴があるのでしょうか。
参考:厚生労働省「食物アレルギーとは」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
重篤な症状が出ることが多い
日本医科大学では、松茸アレルギーは症例数が少なく、摂取後15分~1時間でアナフィラキシー・ショックなどの重篤な症状が出ることや、摂取後に激しい運動をすることでアレルギー症状が出ることもあることなどを報告しています。症例数が少ないだけでなく、アレルギー症状が出ても軽微な症状の場合は病院に行かない人も多いと考えられますので、松茸アレルギーの全体像を捉えることは非常に難しいと言えるでしょう。
ですが、松茸を摂取して重篤な症状が出ることがあるのは事実ですので、今までに松茸を食べて違和感を覚えたことがある人や今まで一度も松茸を食べたことがない人は、初めは少量だけ食べるなどの工夫が必要になると言えるでしょう。
参考:日本医科大学皮膚科学教室「松茸アナフィラキシーの1例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/52/4/52_KJ00002640454/_pdf
松茸アレルギーがある人は他のキノコでもアレルギーを引き起こす?
松茸アレルギーを発症する人が、他のキノコにも同様のアレルギー反応を起こすという症例はほとんど報告されていません。ですが、松茸とマイタケなど、複数のキノコにアレルギーを持っている人はいると考えられますので、松茸を食べてアレルギー反応が出たことがある人は、他のキノコを食べるときには、量を調整するなどの工夫をすることが必要になります。
松茸以外のキノコの食品アレルギー
松茸以外にも、シイタケやマイタケ、しめじなどでアレルギー症状が出る人もいます。生で食べるときだけでなく、加熱した後でもアレルギー症状が出ることもありますし、干しシイタケを食べたり、干しシイタケで取っただしを使ったものを食べたりした後に、アレルギー症状が出ることもあります。
松茸味のものはOK!
松茸アレルギーは松茸に含まれる成分に対してアレルギーが出ていますので、人工的な松茸の香りや味だけではアレルギー反応は出ません。例えば、松茸風味のインスタントのお吸い物がありますが、食品表示にはアレルギー源となる食品は「小麦」と「大豆」だけが使われており、また、「エビ」と「カニ」を使う食品と同じ製造ラインで製造されていることだけが記されています。
参考:永谷園「松茸の味お吸いもの商品情報」
http://www.nagatanien.co.jp/product/detail/202/
松茸アレルギーの症状
では、松茸アレルギーがある人が松茸を摂取すると、どのようなアレルギー症状が出るのでしょうか。
皮膚や粘膜における症状
局部的あるいは全身にジンマシンが出たり、口の周りや身体の一部が赤みを帯びたり、口の中の粘膜や皮膚が腫れたりすることがあります。また、皮膚や口の中がかゆくなることもあります。
呼吸器や消化器における症状
気管支喘息が表れることもあります。特に今まで喘息にかかったことがある人は、松茸を食べることで喘息症状が出てしまいやすくなります。その他、お腹が痛くなったり、下痢、吐き気、嘔吐などの症状が出たりすることもあるでしょう。
症状が重篤化することも珍しくない
複数のアレルギー症状が同時に出たり、呼吸困難になったりする等、症状が重篤化してアナフィラキシー・ショック状態になることもあります。松茸を含むキノコはたくさん食べても満腹感を味わいにくい食べ物ですので、ついついたくさんの量を食べてしまい、重篤なアレルギー症状が出てしまうことがあるのです。
松茸アレルギーの予防方法
松茸アレルギーを予防することはできるのでしょうか。
今まで松茸アレルギーが出たことがある人
今まで松茸を食べてアレルギー症状が出たことがある人は、松茸を極力避けることでアレルギー症状が再発することを防ぎます。松茸そのものだけでなく、松茸から抽出された成分からアレルギー症状が引き起こされることもありますので、松茸ごはんや松茸のお吸い物などは松茸以外の食材も食べないようにしてください。
参考:東京都健康安全研究センター「食物アレルギーと上手につきあう12のかぎ」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/allergy/to_public/12nokagi25.pdf
初めて松茸を食べる人、アレルギーがあるかどうか分からない人
初めて松茸を食べる人や松茸アレルギーがあるのかどうか分からない人は、まずは少量から食べるようにしてください。加熱してもアレルギー症状が弱まることはありませんので、調理方法に関わらず量を減らすことから始めましょう。
松茸アレルギーの症状が出たとき
口内に腫れやしびれがあるとき、身体にかゆみや赤みが見られたときは、まずは安静にして症状が沈静化するのを待ちましょう。症状が出ているときは、当然のことですが、松茸を口にしないようにしてください。また、少しでも症状が出ている間に、運動したり入浴したりシャワーを浴びたりなどの血行が良くなる活動をすると、症状が悪化することもあります。かならず安静にするようにしてくださいね。
2つ以上の症状が見られたら病院へ
喘息とジンマシン、かゆみと下痢など、2つ以上の症状が見られるときは、さらなる症状の重篤化を予防するためにもすぐに病院に行くようにしてください。すぐに診察を受けられる場合は現在出ている症状に応じた診療科もしくは皮膚科、診察までに時間がかかりそうなときは救急に行くことが勧められます。
違和感を覚えたらすぐに病院へ!
キノコは味が薄いので、つい、たくさん食べてしまう素材です。また、関西圏など特定の地域では出汁を取る食材としても利用しますので、知らず知らずに体内に取り入れていることもあります。
キノコ類の中でも松茸は、食べられる時期が限られていますので、なかなか自分がアレルギーを持っていることに気付きにくい食品です。少しでも違和感があるときは摂取を避けたり、病院でアレルギー検査を受けたりするなどして、深刻なアレルギー症状を起こさないように対処していきましょう。