気管支喘息やアレルギー性鼻炎など、アレルギー性の疾患に苦しんでいる患者さんは多くいます。ですが、治療法となると、アレルギー症状を抑える医薬品を服用するなどの対処療法が一般的で、根本的に疾患そのものを改善していないことが多いです。
「アレルギー症状を根本から改善して、医薬品を飲まなくても症状そのものが出ないようにしたい」と考えている人は、「舌下免疫療法」を検討してみるのはいかがでしょうか。舌下免疫療法とは何か、また、どのような効果が得られるのか、そして、副作用のリスクについても解説いたします。
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法とは、「アレルゲン免疫療法」の1つです。アレルゲン免疫療法とは、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与し、徐々に適応量を増やしていくアレルギー疾患の治療法です。
通常は、アレルギー性疾患がある患者はアレルゲンを極力生活から排除しますが、アレルゲン免疫療法では故意に体内に投与して、身体を慣れさせて行くのです。もちろん、深刻なアレルギー症状が出てしまうことも想定されますので、アレルギーを持つ人は自己流でアレルゲン免疫療法を実施するのではなく、医師の監督の下、慎重に実施するようにしてください。
皮下免疫療法との違い
アレルゲン免疫療法は、アレルゲンの投与方法によって「舌下免疫療法」と「皮下免疫療法」の2つに分けることができます。舌下免疫療法は、その名のとおり、アレルゲンを舌の下に投与して体内に取り込みます。最初は診断を受けたり投与方法に関する説明を受けたりしなくてはいけませんので病院で実施しますが、2回目以降は、患者は自宅で実施することが可能です。ただし、舌下投与する薬品は通常2週間分しか処方できませんので、自宅で治療を実施はしますが、2週間に1度程度は病院に通院することが必要となります。
一方、皮下免疫療法は、注射器を使ってアレルゲンを投与する方法です。注射器を使用しますので、病院やクリニックなどの医療機関で実施します。病院やクリニックで実施しますので、万が一、血圧の急激な低下や意識障害などの重篤なアレルギー症状が出たときも、すぐに対応できるというメリットがあります。また、治療を病院で実施しますので、皮下免疫療法よりは継続しやすいというメリットもあります。
舌下免疫療法の効果
舌下免疫療法を継続し、アレルゲン受容量が日常生活に支障が出ない程度にまで増えると、アレルギーを完全に克服することが可能です。例えば花粉症のシーズンになっても鼻水やくしゃみ、目の違和感といった花粉症特有のアレルギー症状が出なくなりますし、シーズン前にアレルギー症状を抑える注射を受けたり、内服薬を飲み続けたりする必要もなくなります。
効果が弱く表れる人もいる
ただし、すべての人が、舌下免疫療法によってアレルギーを完全に克服できるわけではありません。長期間続けてもアレルギー症状が改善しない人もいますし、アレルギー対処薬の服用量は減ったけれども、まったく服用しないと以前と同じように強いアレルギー症状が出てしまう人もいるのです。
舌下免疫療法で起こり得る副作用
舌下免疫療法を実施中、アレルギー症状が強く出てしまうことがあります。特に、アレルゲンを直接舌の下に置きますので、口内に腫れやかゆみ、かぶれなどの症状が出やすいです。症状が深刻なときは、気道が腫れて、呼吸困難を覚えることもあるでしょう。
意志が弱いと継続できない!
副作用ではありませんが、舌下免疫療法は皮下免疫療法と比べると治療を継続することが困難であるという特徴があります。皮下免疫療法は医師が医療機関で実施しますので、治療を途中で止めようという気持ちにはなりにくいのですが、舌下免疫療法は自宅で患者自身が実施しますので、つい面倒になって途中で止めてしまうこともあるのです。
また、治療効果が目に見えて表れにくいという点も、舌下免疫療法を途中で投げ出してしまう一因となっています。例えば花粉症の人は、花粉症のシーズン以外は特に不快感なく生活ができますよね。ですが、舌下投与してもすぐにはアレルギー症状が緩和されませんが、舌下投与する度に口内に炎症が起こったりかゆみが起こったりすることもありますので、「治療をしない方が不快感なく生活できるのに・・・」と、治療を途中で放置してしまうことにもなりかねないのです。
こまめに医師に相談しよう!
舌下免疫療法では、約2週間に1度、病院やクリニックで診察を受けつつ、自宅で舌下投与を継続します。不快な症状が続くときは、診察の際に医師にかならず相談するようにしてください。また、症状の程度が深刻なときは、予約日でなくても病院に行って医師に相談するようにしましょう。治療は何年も継続する必要がありますので、最後までやり遂げるためには強い意志が必要なのです。
参考サイト:
アレルゲン免疫療法を知ろう
アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法)(舌下免疫療法)
舌下免疫療法、皮下免疫療法 アレルゲン免疫療法(減感作療法)