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豚肉を食べてアレルギーになる!? 豚肉アレルギーの症状と対策は?

食卓に登場する頻度が高い豚肉ですが、豚肉を食べることでアレルギー症状を発症する人がいます。鶏肉や牛肉に比べ、比較的発生しにくいアレルギーですが、状態によっては重篤化することもあるので注意が必要です。

豚肉は日常的に摂取することが多い素材ですので、豚肉アレルギーになってしまうと、食べられない料理が増え、ストレスを感じることが多くなります。豚肉によるアレルギーについて、その症状や対策などをご紹介します。

豚肉アレルギーとは…

豚肉アレルギーは、食物アレルギーの中でも、豚肉をアレルゲン(アレルギーの原因)とするアレルギーです。豚肉の赤身部分に多く含まれるある種のタンパク質が、豚肉アレルギーの原因になっています。

アレルギーの発生が遅発性であることが多い

食品によるアレルギーの多くは、食べて1時間以内と比較的短時間で症状がでます。ですが、豚肉アレルギーの場合はそうではありません。一般的には、豚肉を食べてから3~8時間ほどしてからアレルギー症状が現れるようになりますので、かゆみや吐き気などの原因が何であるか特定しにくいという特徴があります。

何度かアレルギー症状が出てから、「そういえば、いつも気分が悪くなるときは、数時間前に豚肉を食べていることが多い」ということに気付くケースが多いです。そのために豚肉をアレルゲンとして特定するまでに時間がかかってしまい、豚肉を避ける等の対策も取りにくくなってしまいます。

加熱すると症状が出ないこともある

豚肉アレルギーの原因となるタンパク質は、熱によって構造が変化しますので、加熱するとアレルギー症状が出なくなることもあります。一般的に豚肉は加熱してから食べるものですので、豚肉アレルギーがあっても、問題なく生活できている人も少なくありません。

豚肉アレルギーの主な症状

豚肉アレルギーの症状は、主にジンマシンや、吐き気・下痢・腹痛などの消化器に表れる症状です。豚肉アレルギーへの対策が遅れてしまうことで、アレルギー反応の1つである湿疹が繰り返して現れることがあります。湿疹が繰り返して出ると、湿疹の程度が重症化するだけでなく、治癒までの期間が長期化することもあります。そのため、食品アレルギー由来の湿疹ではなく、慢性化したアトピー性皮膚炎のように判断されてしまうこともあります。

重症化するとアナフィラキシーショック状態に

重篤化した場合は、アナフィラキシーショックを起こすこともありますので注意が必要です。喉や気道の腫れにより気道が狭くなり、呼吸困難などの症状が出ることもあります。また、血圧が急激に低下したり、意識を失ったりすることもあります。

ダニとアレルギーの意外な関連

ある種のダニの唾液には豚肉と同じ成分の糖質が含まれており、この糖質が体内に入ると抗体が生成され、豚肉アレルギーと同様のアレルギーを発症する例があることがわかっています。

マダニとは?

この豚肉と同じ成分の糖質が含まれるダニは、屋内に生息していることが多いイエダニやコナバニではありません。屋外に住んでいることが多いマダニの仲間です。イエダニやコナバニなどとは異なり、人を刺して血を吸うことがあります。

マダニはイエダニとは異なり、吸血によって栄養を確保します。動物を宿主として生息しており、住居や布団、カーペットなどに生息しているということはほとんどありません。また、イエダニは全長1ミリメートル以下ですので肉眼では分かりにくいですが、マダニは3~5ミリメートルほどありますので、肉眼でもはっきりと分かります。

マダニに刺されることで豚肉アレルギーに?

マダニに刺されることで、アレルギーを誘発する場合があります。マダニに刺された際にマダニの唾液成分が入りこみ、人体に抗体を生成します。その後、マダニの唾液成分と同じ成分を持つ豚肉を食べると、かゆみや発疹等のアレルギー反応を示すようになるのです。

通常では人間の生活とはあまり接点がない種類のダニですが、ペットとして犬や猫などの小動物を飼っている場合には、ペットを経由して人を刺すことがあります。豚肉アレルギーを発症している人の多くがマダニに刺された経験があるとも言われていますので、ペットを飼っている人は、ペットと飼い主の健康のためにもダニ予防をするようにしましょう。

豚肉アレルギーが疑われるときは…

豚肉を食べる度に皮膚のかゆみや湿疹などのアレルギー症状が出る、ひょっとしてアレルギーかもと疑いを持つ場合は、医療機関の検査を受けてください。他の食物アレルギーと同様に、血液検査や皮膚テストなどによりアレルゲンを特定します。

●血液検査

血液検査は、アレルギーの原因となるアレルゲンを特定します。どの食物に対してアレルギーを引き起こすのかを調べていきます。血液とアレルゲンを混ぜることでヒスタミンが作られるかどうかの検査です。

すべてのアレルゲンと考えられる項目に対して検査をすることもありますが、いくつかのアレルゲンを候補として挙げ、どの対象に対してアレルギーを起こすかを検査することもあります。豚肉アレルギーかどうかが疑われる場合は、豚肉を検査対象に入れてもらうように医師に伝えましょう。

●皮膚テスト

血液検査の場合のように採血する必要もなく、痛みも少ない方法が皮膚テスト法です。血液検査の場合は専門の機関に提出してからアレルゲンを特定しますので、結果が分かるまでに数日ほど時間がかかってしまいますが、皮膚テストはその場で検査結果が分かることも多いので、急いでアレルゲンを特定したい場合にも用いられます。

ただし、皮膚に直接アレルゲンを触れさせますので、体質や体調によってはアレルギー反応が強く出てしまうこともあります。症状が重篤になると呼吸困難を起こすことや、かゆみや腫れが長期化することもありますので、注意と一定時間以上の観察が必要になります。

プリックテスト

アレルゲン液を1滴皮膚にたらし、専用の針で皮膚を軽く刺します。15分経過した後、刺した箇所が赤く腫れているようであれば陽性となります。痛みが少ないですので、小児の検査にも向いています。

スクラッチテスト

プリックテストと同様、アレルゲン液を1滴皮膚にたらし、専用の針で皮膚に小さな引っ掻き傷をつけます。15分経過した後、傷をつけた箇所が赤く腫れているようであれば陽性となります。プリックテスト同様、痛みの少ない検査です。

●食物除去試験

豚肉がアレルゲンと疑われる場合、豚肉を2~4週間、完全に食事から除去し、アレルギー症状が出ないかどうかをみる検査方法です。この場合は、アレルゲンと疑われる食品以外は、通常通り食べることが必要になります。例えば、豚肉がアレルゲンかどうかを知りたいのに、豚肉と同時にピーナッツも食べないようにしてしまうなら、食物除去試験終了後にアレルギー症状が出なかったとしても、どちらがアレルゲンだったのか判断することが難しくなってしまうでしょう。

●食物経口負荷試験

アレルギーが疑われる食物、つまり豚肉を一定間隔食べてみて症状を観察する検査方法です。アレルゲンを特定し、食べられるようになるかどうかを診断します。食物除去試験よりも短期間でアレルゲンを特定することができますが、体調や体質によっては強いアレルギー反応が出ることもありますので、専門医の指導のもとで検査をすることが大切です。

豚肉アレルギーまとめ

豚肉アレルギーを発症する人はあまり多くはありません。しかも、豚肉は加熱して食する素材なので、発症が抑えられることもあります。しかし、豚肉アレルギーかなと感じたら、専門医の検査を受けるようにしましょう。豚肉がアレルゲンとわかったときは、原因となる豚肉の摂取を避けなければなりません。ただし、栄養不足や成長の妨げにならないよう、医師と相談のうえ、対策をとるようにしましょう。

著者情報

EARTH CHILD アースチャイルド


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