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イクラやタラコなどの魚卵のアレルギーの症状と対処法とは?

 魚卵(イクラ、タラコなど)はアレルギーを起こす原因になることがあります。特にイクラは生で食べることが多いことから、アレルギー反応を起こしやすく、重症なアレルギー反応を起こすことが少なくありません。また微量でも注意が必要で、魚卵1つを口にしただけでアナフィラキシーを起こすこともあります。魚卵アレルギーにはどのような特徴があるのか、注意すべき点などについて解説していきます。

魚卵のアレルギーと卵アレルギーとは別物

 魚卵は魚の卵です。鶏卵は硬い卵殻の中に薄い卵膜、そして卵膜内部に卵黄と卵白がありますが、魚卵は卵殻も卵白もなく、卵膜に卵黄が覆われているだけのシンプルな構造でできています。

 このように同じ「卵」といっても構造がまったく異なるために、両者において交差反応が起こることはなく、卵アレルギーがあるからといって魚卵アレルギーがあるとは言えません。同様に魚卵アレルギーがあるからといって、卵(鶏卵)に対してもアレルギーがあると言うこともできません。それぞれまったく異なるものですので、アレルギー反応があるかどうかも別個に見るのです。

 特にイクラのように生で食べることの多いものは、消化機能がしっかりしていない乳幼児にはアレルギー反応を起こしやすい素材と言えます。魚卵アレルギーがあるかどうかに関わらず、なるべく与えない方が良いとされています。

魚卵アレルギーの人はどんなものに注意するべきか?

 日本人の食生活における魚卵と言えば、イクラやたらこを思い浮かべるのではないでしょうか。ですが、それ以外にも多くの魚卵が食用として使われています。もし現段階でイクラでしかアレルギーが起こっていない状態だとしても、魚卵同士は構造が似ているますので、交差反応が起こって他の魚卵でアレルギーが起こる可能性が高いと言えます。何か1つでも魚卵でアレルギーが起こったことがある人は、他の魚卵を食べる際にも十分に注意するようにしましょう。

 日本でよく食べられる魚卵には次のようなものがあります。魚卵アレルギーの人は気をつけましょう。

  • イクラ(サケまたはマスの成熟した卵)
  • タラコ(スケトウダラの卵)
  • 明太子(スケトウダラの卵に調味料で色と辛みをつけたもの)
  • 筋子(サケの未熟な卵巣)
  • カラスミ(ボラの卵巣)
  • キャビア(チョウザメの卵)
  • 数の子(ニシンの卵巣)
  • 子持ち昆布(ニシンが昆布に卵を産みつけたもの)
  • シシャモ(メスの場合はお腹に卵を持っているものを一般的に販売している)
  • うるか(アユの卵の塩辛)
  • べに子(ベニザケの卵巣)
  • マス子(カラフトマスの卵巣)
  • トビ子(トビウオの卵)
  • ブリ子(ハタハタの卵)
  • タイ子(マダイの卵巣)

魚卵アレルギーで起こりやすい症状

 魚卵アレルギーによるアレルギー反応としては、じんましん、唇や口の中の腫れや違和感、激しい吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などが見られます。もし、魚卵を食べた後に軽い程度の症状しか起こらなかったとしても、食べる度に何かしらのアレルギー反応が見られるときは、アレルギー科を受診し詳しく検査を受ける方が良いでしょう。

 症状が重篤になると、喘息が見られたり呼吸困難になったりすることがあります。血圧が急低下し、生命に影響を与えかねないアナフィラキシーショック状態に陥ることもあります。

 また、稀に症状が落ち着いてきてから再び気管が腫れて呼吸困難になったり、ショック状態になったりすることもあります。本当に症状が治まったのか見た目では分かりにくいこともありますから、特に抵抗力が弱い幼い子どもは早めに病院に連れて行くようにしましょう。

誤って魚卵を食べてしまったときは?

 過去に一度でも魚卵を食べることでアレルギー反応が出たことがある人は、日常の生活から魚卵を排除することでアレルギー反応の再発を防止することができます。ですが、会食しているときなど、どうしても誤って口にしてしまうこともありますよね。また、幼い子どもが自分に魚卵アレルギーがあることを理解していないために、親が見ていない瞬間に魚卵を口にしてしまうこともあるでしょう。

 そのようにアレルギーがあると分かっている人、もしくは口に一部が残っている状態でアレルギー反応が出てきた人は、直ちに口の中や気管に残っている魚卵を吐き出すようにしましょう。どうしても吐き出すことができないときは、水を多めに摂取し、少しでも魚卵の成分が薄まるようにしましょう。また、何度もぶくぶくとうがいをして口の中をゆすいだり、がらがらとうがいして喉の奥をゆすいだりするようにしてください。

小さい子どもが誤って食べたとき

 子どもに吐き出すように言っても、なかなか上手にはできませんよね。また、幼い子どもの場合は、うがいも上手にできない可能性もあります。

 そのような場合は、大人が手を清潔に洗浄し、自宅に薄いゴムやナイロンの素材でできた使い捨ての手袋があるときは装着して、子どもの口内を清潔なガーゼ等で拭うようにしてください。また、喉を傷つけないように刺激することで、吐き気を催し、体内の魚卵を吐き出せることもあります。その後に、コップに1杯~2杯の水を飲ませ、身体に入ってしまった魚卵の成分が少しでも薄まるようにしてください。

 すでにアレルギー科を受診している場合は、アレルギー反応を低減させる内服薬を処方されているかもしれません。速やかに服用し、アレルギー症状が出ないように、もしくはアレルギー症状が重篤にならないようにしましょう。

人工イクラでもアレルギーは起こる?

 本物のイクラにそっくりな「人工イクラ」も出回っています。スーパーマーケットや回転すしの店舗などで見かけることがあるかもしれません。この人工イクラはサラダ油と海藻などの魚卵とは関係のない材料から作られていますので、魚卵アレルギーを持っている人が食べてもアレルギー反応が起こることはありません。

 ただし、魚卵アレルギー以外のアレルギーを持っている人は、人工イクラに使用されている素材や着色料などによってアレルギー反応を示すことがあるかもしれません。食品でアレルギーを起こしたことがある人は、含まれている成分をしっかりとチェックしてから飲食するようにしてください。

魚卵アレルギーへの対処法

 魚卵アレルギーが出ないためにも、どのような対策を取ることができるでしょうか。

1.小さい子どもにはなるべく与えない

 一度魚卵アレルギー反応が出ると、治癒することが難しく、完治の可能性は低くなってしまいます。そのため、食品や特定の成分に敏感に反応しやすい乳幼児期は、アレルギーを引き起こすことが考えられる素材をなるべく摂取しないようにすることが大切です。

 特に生の状態で口にすると、アレルギー以外にも細菌などによる感染が心配されます。過熱が必要なものは加熱するなど、乳幼児の身体に配慮した食材選びと調理法が必要になると言えるでしょう。

2.加熱して食べる

 魚卵の中では生で食べるいくらが最もアレルギーを起こしやすいと言われ、いくらに対してアレルギー反応が出る場合には同じ魚卵であるタラコにも注意が必要です。

 しかし、たらこの場合、加熱することでアレルギー反応を起こしにくくなるとされています。どうしてもたらこを与えなくてはならない状況のときは、しっかりと内部まで加熱することを心がけましょう。ただし、過熱をすると絶対にアレルギー反応が出ないというわけではありません。子どもが幼いときはなるべく避けるだけでなく、魚卵アレルギーの反応が出たことがある人もなるべく避けるようにしましょう。

3.重篤な症状が出たらすぐに医療機関へ

 魚卵アレルギーはショック症状になることも多く、入院治療が必要になるケースも多い食品アレルギーの1つです。嘔吐やじんましんなどのアレルギー症状が複数出ているときや、単独症状であっても悪化しているときは、早めに医療機関を受診するようにしましょう。また、非梅雨なときは救急車を呼び、迅速に治療が受けられるようにしましょう。

まとめ

 魚卵はとても美味しいものですが、栄養面から言うと、魚卵を食べなければ摂取できない栄養素があるわけではありません。また、世界的に見ると魚卵なしには生活が成り立たない地域もありますが、日本国内において考えるなら、魚卵がなくても栄養が不足してしまうということでもありません。

 そのような位置付けの素材ですので、お子さんへ魚卵を与えるのは慎重になった方が良いでしょう。特に生のものはアレルギー反応が強く出ることが多いだけでなく、腹痛などを引き起こす細菌に感染する可能性が高く、危険度が高いと判断できます。刺身と同様、一般的には少なくとも3歳を過ぎてから食べさせることが望ましいということも是非覚えておいてくださいね。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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