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日本人になじみの鯖によるアレルギー 注意すべき3つの原因

 青魚を食べてジンマシンが出た、あるいは、ジンマシンが出るから鯖が食べられないという話を耳にしたことはないでしょうか。鯖を食べることでアレルギー症状が出る「鯖アレルギー」とは何か、原因や症状についてまとめました。

鯖によるアレルギー

 食品によるアレルギーとは、特定の食品を口から摂取することで、体内の免疫機能が過剰な反応を示すことを指します。鯖を食べてアレルギー症状が出る場合は、原因食品としての鯖によるアレルギー「鯖アレルギー」と、寄生虫・アニサキスによるアレルギー「アニサキスアレルギー」の2種類が考えられます。

 また、鯖アレルギーではないけれども、サバを食べることでアレルギー症状に似た反応を示すことがあります。これは、鯖に含まれている成分によって引き起こされる食中毒「アレルギー様食中毒」だと考えられます。

鯖に含まれるたんぱく質が原因のアレルギー

 鯖そのものがアレルゲン、つまり原因物質となるアレルギーがあります。これを「鯖アレルギー」と言います。アレルゲンとなるのは、鯖の筋肉に含まれる「パルブアルブミン」と「コラーゲン」というたんぱく質です。

 パルブアルブミンは他の魚種にも含まれているため、鯖を食べてアレルギーを発症した場合は、鮭や鱈、鮪などの他の魚を食べたときにも同様のアレルギーを発症する可能性があります。

 一方、コラーゲンがアレルゲンになるケースは、パルブアルブミンがアレルゲンとなるケースほど多くはありません。ですが、こちらも他の魚種にも含まれるたんぱく質ですので、鯖以外の魚を食べたときにもアレルギー症状を発症することがあります。

鯖アレルギーの症状

 鯖アレルギーの代表的な症状は、ジンマシン、皮膚のかゆみやかぶれ、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などです。稀に、鯖アレルギーもアレルギー様食中毒同様、血圧低下や呼吸困難などの生命の危機にかかわる重篤な症状が現れることもありますので注意が必要です。

アニサキスによるアレルギー

 魚に寄生する「アニサキス」という寄生虫によるアレルギーもあります。特に、生で食した場合、アニサキスの幼虫が胃壁や腸壁に侵入し食中毒のような症状を引き起こします。

 アニサキスによるアレルギー症状は、食後数時間で、激しい胃痛、吐き気、嘔吐などが見られることが特徴です。特にアニサキスが腸に侵入した場合は、激しい下腹部痛や腹膜炎を引き起こすことがあります。 アニサキスによるアレルギーの場合は、血液検査により、他のアレルギーと判別することが可能です。

アニサキスの寄生場所

 アニサキスは、鯖などの魚介類の内臓部分に寄生する寄生虫です。宿主である魚が死ぬと内臓から筋肉に移動して寄生することもありますので、内臓を取りださないままで放置した魚を食べると、アニサキスアレルギーにかかってしまうことがあるのです。

アニサキスは人間を宿主としませんので、通常ならば人間の体内に入っても特に作用することなしに排泄されます。ですが、稀に人間の消化管に食い込み、腹痛や腹膜炎などの各種症状を引き起こしますので、アニサキスが含まれたものを食べないことがもっとも正確な予防法と言えるのです。

アニサキスが寄生しない魚類

アニサキスは特定の魚に寄生しているのではなく、種類に関係なく多くの魚類に寄生する寄生虫です。ただし、主に海の魚に寄生していることが分かっていますので、アニサキスアレルギーと判断された場合は、海で獲れた魚や海の水が混じる河口近郊で獲れた魚は食べない方が良いと言えます。川の上流付近で獲れた魚なら、アニサキスが入る不安も減ります。また、アニサキスは加熱によって死滅することは難しいですが、-20℃で24時間以上冷凍するとほぼ死滅することが分かっています。

アレルギー様食中毒

 鯖に含まれる成分にヒスチジンというアミノ酸があります。ヒスチジンは、ヒスタミン産生菌という細菌により「ヒスタミン」に変えられます。このヒスタミンを大量に摂取した場合、アレルギー症状と似たアレルギー様食中毒を引き起こすことがあります。

 ヒスタミンは熱に強い構造をしていますので、加熱調理しても消滅しません。魚が水揚げされてから時間が経過するにしたがって、体内(主に内蔵)に含まれるヒスタミンは増殖していきます。少しでもヒスタミンの摂取を減らすためには、水揚げ後すぐに内蔵除去処理をした鯖を購入するか、1匹丸ごと購入したときは、そのままに放置するのではなくすぐに内臓除去の処理をすることが大切になります。

アレルギー様食中毒の症状

 ヒスタミンを大量に含む鯖を食べると、摂取してから比較的早くアレルギー反応に似た症状が表れます。数分後から2時間ほどの短い時間に、吐き気や嘔吐、腹痛、頭痛、ジンマシン、顔や舌の腫れなどの症状が見られるようになります。また、症状が現れるのも早いですが、治るのも比較的早いです。症状が見られてから1日ほど経過すると、ジンマシンや腫れなどがすっと引いていき、痛みや吐き気なども快方に向かうことも少なくありません。

 しかし、人によっては重い症状が出てしまうこともあります。気管支が腫れて呼吸困難になったり、意識障害などになったり等の症状が見られることもあります。アレルギー様食中毒の症状が出た場合、病院に行って抗ヒスタミン剤を処方してもらいます。鯖アレルギーによって症状が出たわけではありませんので、鮮度に注意すれば再び鯖を食べることは可能です。

アレルギー様食中毒の対策

 アレルギー様食中毒を発症しないようにする方法は、ヒスタミンの生成を抑えることに尽きます。水揚げした後すぐに内蔵除去などの処理することが大切ですが、スーパーなどの小売店で販売されている場合は、すぐに処理がされたものか分かりませんよね。

 小売店で購入するときは、冷蔵庫や冷凍庫で保管されているもの、そして、なるべく鮮度の高いものを選ぶようにしましょう。常温のケースに入れられているものや日光の当たる場所に置かれているもの、いつ水揚げされたか分からないものは避けることが望ましいと言えます。冷蔵保存することで細菌の増殖を抑え、ヒスタミンの生成を抑制することは可能です。一度ヒスタミンが生成されてしまうと加熱処理しても完全に分解・除去することができませんので、購入する時には充分に注意して下さいね。

 また、注意しなくてはいけないのは、生の鯖だけではありません。一夜干しなどの干物からヒスタミンが検出されることがあります。低温のところで保管されていたものを選ぶなどの工夫をするようにしてください。

 加工工場や小売店での保存状態も大切ですが、購入した後、家庭でどのように保管するかも大切です。鯖を購入した後は常温での保存は避けて、なるべく早く冷蔵庫や冷凍庫で保管するようにしてください。冷凍した後の解凍は、なるべく短時間かつ低温で解凍し、冷凍と解凍を何度も繰り返さないようにします。

 特に、ヒスタミン産生菌は鯖のエラや消化器官などの内臓に多くみられるため、購入後は早急にエラや内臓を除去するようにしましょう。もちろん、エラや内臓を早期に除去したものであっても、鮮度の落ちた鯖を食べることは避けてください。

鯖アレルギーのまとめ

 鯖アレルギーは、鯖のたんぱく質によるアレルギーと、寄生虫・アニサキスによるアレルギーがありますが、いずれも血液検査により判別することが可能です。また、アレルギーと似たような症状がみられるアレルギー様食中毒もあります。

 アニサキスによるアレルギーは胃や腹部に激痛などの症状があるのでわかりやすいかもしれませんが、鯖アレルギーとアレルギー様食中毒の症状は似ているので、判断がつきにくいかもしれません。いずれにしろ、重症になると呼吸困難や意識障害などの症状になることもあるので、自己判断で終わらせず、医療機関を受診することをおすすめします。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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