アレルギー体質のこどもの多くが経験する病気の一つにアレルギー性結膜炎があります。かつては小学生もしくは小学生よりも上のこどもに多かった病気ですが、最近では幼児に見られることも多くなってきました。お子さんがしきりに目をかゆがってゴシゴシこすっている場合、それはもしかするとアレルギー性結膜炎かもしれません。放置していると目の周りの皮膚だけでなく目自体をひどく傷めてしまうことにもなります。そうならないよう、親御さんがアレルギー性結膜炎の症状や原因、治療法、対策などについて是非、知っていただきたいことをまとめてみました。
アレルギー性結膜炎とは
アレルギー性結膜炎とは、ハウスダスト(住まいの中のホコリ)や花粉が原因で起こる目のアレルギー症状のことです。結膜(白目の部分)はいつも濡れており、露出しているため、アレルギーを起こす物質がくっつきやすく、アレルギー症状を起こしやすいのです。あくまでもアレルギーですので、いわゆる「はやり目」のようなウイルス性の結膜炎とは異なり、一緒に生活したとしても他人にうつったりすることはありません。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎にかかると次のような症状が現れます。
- 目のかゆみ、痛み
- 目の充血
- まぶたの腫れ
- 目の異物感(ゴロゴロする)
- 涙が出る
- 目やにが出る
- 白目の部分がゼリー状に腫れる
- 目の周囲の皮膚が赤くなる
ひどくなるとこすり過ぎによって眼球を傷つけたり眼筋がゆるんだりしてしまい、視力に障害が出てしまうこともあります。症状がひどくなる前に、病院で適切な処置を行ってもらうようにしましょう。
こんな仕草や症状を発見したらアレルギー性結膜炎の可能性が
小さなお子さんがアレルギー性結膜炎を起こしている場合、症状を言葉でうまく表現できませんので、親もつい見逃してしまいがちです。次のような仕草や症状を見つけたら注意してみてあげてください。
■目をしきりにこする
目をやたらとこすっている場合は目にかゆみがある可能性があります。すぐに病院に連れて行くことも大切ですが、目をこすったときに汚れや細菌が目の中に入らないように手をキレイにいつも表せることも大切です。また、不用意に目や目の周りを傷つけることがないように、爪をいつも短く整えておくことも大切です。
■まばたきが多い
目の違和感やかゆみにより、まばたきの回数が増えます。頻繁にパチパチと目をしばたいているときは、目にゴミが入っていないか確認し、炎症や違和感を覚えたときはすぐに病院に連れて行くようにしましょう。
■涙を流していることがある
気が付いたら涙を流していることもあります。これは異物に対する自然な身体の反応ですが、理由なく涙を流していることが増えたら、アレルギー性結膜炎を疑い、病院に連れて行くこともできます。
■目やにが増えた
目やにが増えることもあります。症状が重症化する時は、粘着性の高い目やにが出ることもあります。目やにがついた状態で目をこすると眼球を傷つけてしまうことにもなりますので、目やにをすぐに清潔なティッシュなどで取るだけでなく、病院に連れて行って専門的な診断を受けることも大切です。
■まぶたが腫れぼったい
寝起きのようにまぶたが腫れぼったい状態が続くこともあります。目の印象がいつもと違う時や明らかにまぶたが熱を持っているときは、アレルギー性結膜炎を疑って見ても良いかもしれません。
■角膜周辺が赤紫色になっている
本来ならば透明のはずの角膜や角膜周辺が、赤黒くなっているときがあります。この状態を放置しておくとかゆみが強くなったり目やにが大量に出たりすることにもなりますので、なるべく早く病院に連れて行き、適切な処置を受けるようにしましょう。人によっては角膜周辺が赤紫に見えることや濃い赤に見えることもあります。
アレルギー性結膜炎の種類と原因
原因物質によって通年性アレルギー性結膜炎と季節性アレルギー性結膜炎に分けられます。
■通年性アレルギー性結膜炎
家の中のホコリやダニ(ハウスダスト)が原因で起こるもので、1年中症状が続きます。最近の住宅は気密性が高くなっており、ダニが繁殖しやすい環境になっているのもアレルギーが増えている原因の一つになっています。
■季節性アレルギー性結膜炎
花粉が原因で起こるもので、原因の植物の開花時期にアレルギー症状が現れます。スギやヒノキ、ブタクサ、カモガヤ、ヨモギなどがアレルギーを起こしやすいことで知られています。
これに加え、春季カタルと呼ばれる重症のアレルギー性結膜炎があります。
<春季カタル>
春季カタルとはアレルギー性結膜炎の慢性重症型で、90%以上がダニ過敏症によって起こるとされています。春に悪化することからこの名前がついています。上まぶたの裏側にブツブツができ、強いかゆみを伴って放置すると視力が悪くなったり、角膜(黒目の部分の前にある膜)が剥がれ落ちてしまったりすることもあります。角膜の周囲の結膜が大きく腫れることもあります。5歳~10歳くらいまでの男の子に多く見られる病気ですが、大人になると自然に治ることがほとんどです。
アレルギー性結膜炎の治療法・対処法
アレルギー性結膜炎の治療法や対処法には次のようなものがあります。
1.抗原除去方法
原因となるアレルゲンとの接触を避ける方法で、花粉症の場合はゴーグル状の目を覆うタイプのメガネをかけることができます。また、手で目を触らない、外出先から帰ったらすぐに顔や手を洗う、洗眼液や生理食塩水で目をよく洗う、空気清浄機をつける、洗濯物や布団を外に干さない、などの方法でアレルゲンとの接触を減らすことができます。どうしても洗濯物や布団を外に干す場合は、家の中に取り入れる前に軽くはたくことも良いでしょう。
ハウスダストが原因の場合には、部屋の掃除をこまめにする、布団は天日干しにする、換気をして部屋の湿度が高くならないようにする、ということに気をつけましょう。特に窓や玄関口などはホコリがたまりやすくなります。濡れた雑巾でこまめに拭くなどして、ホコリがたまらないように、また、外部から入ってこないようにすることができるでしょう。
2.目を冷たいタオルなどで冷やす
症状がそれほどひどくない場合にはよく冷やしたタオル、タオルで包んだ保冷剤などで目を冷やすだけでもかゆみを緩和することができます。かゆいと子どもが訴えたら放置しておくのではなく、すぐに冷やすことで、引っ掻いたり視力低下を引き起こしたりすることをある程度避けることができるでしょう。
3.薬物療法
抗アレルギー点眼薬を使うのが最も一般的です。重症の場合にはステロイドの点眼薬が出されたり、抗アレルギー薬の飲み薬が処方されたりすることもあります。
4.生活習慣を改善する
身体の調子が良くないときは、アレルギー症状が出やすいだけでなくアレルギー症状が重篤化することもあります。身体の調子を整えるためにも、規則正しく生活することや栄養バランスに気をつけて食事をすること、早寝早起きの習慣を付けることも大切です。また、食品添加物が多い食品や加工食品を習慣的に摂ると、アレルギー反応が出やすくなることもあります。どのようなものを子どもが食べているのか一度見直してみるのも良いでしょう。
まとめ
お子さんがアレルギー性結膜炎かもしれないと思ったら、まずは小児科や眼科でアレルギー検査を受けてアレルギーの原因を突き止めることが大切です。そしてその原因に合った対処法・治療法を行うことで症状を軽くすることができ、お子さんの苦しみを和らげることができます。お子さんの症状を見て、「アレルギー性結膜炎かな?」と思われる人は、一度子どもを連れて眼科に行き、医師に相談してみましょう。