こどもがかかることの多い溶連菌感染症、症状がひどくなることが多く、お世話をする親御さんも我が子が苦しむ姿を見るのは辛いことですし、クタクタになってしまうことでしょう。できればなるべくかかって欲しくない病気の一つですが、残念ながら水疱瘡のように一度かかったらもう二度とかからないというものではなく、何度もかかることの多いのがこの病気の厄介なところです。溶連菌とは一体どんなもので、どうやって感染するのか、なぜ何度もかかってしまうのか、など溶連菌感染症の原因を中心に解説していきます。
溶連菌とはどんなもの?
「溶連菌というものからどうやったら身を守れるんだろう?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、溶連菌というのは実は私たちの体の中に住んでいたり、身の回りにありふれた細菌なのです。つまり、いつ、誰でも溶連菌感染症になる可能性があります。
溶連菌は正確にはA群溶血性レンサ球菌と呼ばれるもので、その菌を構成しているタンパク質の種類などにより数十種類ほどに分類されています。健康な人のノドに住み着いているタイプの溶連菌もあります。溶連菌が侵入する場所によっていろいろな症状を引き起こしてきます。ノドの場合は咽頭炎、その他にも扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、とびひ、肺炎、リウマチ熱、腎炎などです。
溶連菌の種類、感染を受けた人の体力や年齢、免疫力の程度によって、起こってくる症状やその強さが変わってきます。感染する場所で圧倒的に多いのはノドの部分、つまり咽頭や扁桃腺あたりであるため、一般的に「溶連菌感染症」と呼ぶ場合、溶連菌感染によって起こった咽頭炎や扁桃腺炎のことであると思って間違いないでしょう。
溶連菌感染症はどんな人がかかりやすい?
溶連菌感染症にかかりやすいのは幼児期です。溶連菌は私たちの身の回りにいくらでもいますが、体内に入ってきても免疫力があれば症状を出すことはありません。溶連菌感染症が流行している時には多くの人が感染してしまいますが、皆が症状を出すわけではなく、免疫力の弱い幼児は溶連菌感染症を発症しやすいのです。また、大人でも体調が悪い時や妊娠中は免疫力が落ちますので要注意です。また、家族などの身近な人の中に溶連菌を常に体内に持っている人(保菌者)がいると、その人が感染の原因となり、家族間で菌を共有しあって、何度もかかることがあります。
溶連菌の感染経路
溶連菌は感染力が強く、飛沫感染と経口感染が主な感染経路となります。
飛沫感染
咳やクシャミなどによって飛んだ唾液を吸うことで感染します。
経口感染
手や食べ物に付いた菌が口から体の中に入ることで感染します。
保育園や幼稚園、小学校などで子供から子供に感染していくことがほとんどです。また、兄弟がいる場合には兄弟間での感染は非常に多くなります。親も子供経由でもらってしまうことがありますので注意しましょう。潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は2日〜5日ほどです。家族で一人がかかったら数日後に他の人にも症状が現れる可能性があります。
なぜ何度もかかる人とあまりかからない人がいる?
溶連菌は数十種類存在し、日本においては5種類くらいあると言われています。そのため、5回ほどは溶連菌感染症にかかってしまう可能性があります。
また、頻繁にこの病気にかかってしまう他の原因として、抗生剤をきちんと飲まずに、菌が体内に残ってしまい、残った菌がまた増殖してきた、という場合があります。他にも菌が「耐性菌」化してしまって抗生剤が効かなくなっている場合も考えられます。そして、家族や友達で溶連菌を保有している人(保有していても症状が出ない場合もある)がいて、その人から菌をもらっていることもあります。しかし、たいていは成長するにつれ免疫がついてくるため、成長とともにかかりにくくなっていきます。
まとめ
溶連菌は体の中に住んでいて、とくにノドのあたりに常に持っている人(保菌者)は多いものです。ただ持っているからといって症状を現すわけではありません。疲れがたまったりすると免疫力が落ちて溶連菌が異常に増え、トラブルを起こしてきます。小さなお子さんは免疫力が十分でないので病気にかかってしまいやすいのです。溶連菌感染症はきちんと治療を受けることで早期に症状を改善できます。ノドの痛みと高熱の症状が現れたら早めに医療機関を受診しましょう。