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溶連菌はほっておいても大丈夫?自然治癒に関して。

 溶連菌感染症は高熱、強い喉の痛みや腫れ、全身に出る発疹、イチゴ舌(舌が赤くなりぶつぶつが出る)というのが特徴的な症状ですが、このような症状がハッキリと出ないこともあります。溶連菌特有の症状が出ない場合は、溶連菌感染症だということが分からずに見過ごされてしまうこともあります。

 もし気づかずに治療を受けなかった場合や自然に治ってしまった場合は、その後に何らかの問題が生じることがあるのでしょうか?

溶連菌感染症は自然治癒する?


 溶連菌感染症は、ほとんどの場合において内服薬や注射などをしなくても3日〜5日で自然に治ってしまいます。溶連菌感染症の原因菌は、元々体の中に住んでいるものです。溶連菌は咽頭部に住んでいる「常在菌」であり、3歳〜15歳の健康な子どもの5〜20%くらいの割合で咽頭部から溶連菌が検出されます。

 ただし、咽頭部に溶連菌が住んでいるということと溶連菌に感染して病気を発症することは同じではありません。身体の免疫力が落ちることで常在菌である溶連菌が異常増殖し、高熱や喉の痛み、発疹、イチゴ舌などの様々な症状を引き起こすのです。もちろん症状が重篤になることもありますが、溶連菌感染症そのものが治らずに命を落とす、というようなことはありません。放置していても自然治癒してしまう溶連菌感染症。それにもかかわらず治療を受けることが強く勧められる理由とは、一体何なのでしょうか。

溶連菌が自然治癒するのに治療したほうがいい理由


 溶連菌感染症は自然治癒する疾病ですが、なるべく治療を受けることが勧められるのにはそれ相応の理由があります。

1.辛い症状をいち早く落ち着かせるため

 溶連菌が増えすぎてしまうと、高熱が出たり、咽頭炎、扁桃腺炎を起こして強い痛みを出したりしますので、子どもには耐えがたいほどの苦しい思いをすることが多いです。そのため、溶連菌感染症による症状が重い場合は、早めに治療を受けて、症状を少しでも軽くしてあげることが勧められます。

2.合併症を防ぐため

 溶連菌感染症のために高熱などの重篤な症状が出たにも関わらず、治療を受けずに放置していると、まれに糸球体腎炎やリウマチ熱というような合併症を起こすことがあります。それらの疾病にかかることを防ぐためにも、治療を勧められるのです。

糸球体腎炎とは

 糸球体腎炎とは、糸球体の炎症によって引き起こされる腎炎です。タンパク尿や血尿、むくみ、高血圧などの症状が表れることが多いです。症状が重篤化すると、全身にだるさを感じたり、肺水腫や呼吸困難などの症状に移行したりすることがあります。腎臓の機能が低下し、一時的に透析治療が必要になることもあります。

リウマチ熱とは

 リウマチ熱とは、喉の炎症やレンサ球菌や溶連菌の感染で引き起こされることもある症状です。関節部分に炎症を起こし、強い痛みとなることもあります。関節部に痛みを感じるために「リウマチ」の名前が使われていますが、一般的な関節や関節部分の骨・筋肉などが長期的に痛むリウマチとの関連はありません。

 リウマチ熱も痛みが長期化し、1ヶ月ほどに及ぶこともあります。関節部に痛みが起こるだけでなく、腫れたり水が溜まったりすることもあるので注意が必要です。また、心臓弁膜症などの心臓病を長期間にかけて引き起こすこともあります。その他にも、発疹や紅斑が皮膚に表れることやけいれんが見られることもあります。

3.他人への感染を防ぐため

 溶連菌に対する治療を行ってから24時間ほど経過すると、周囲の人に溶連菌感染症を移すことがなくなると言われています。高熱やその他の重篤な病気を引き起こす可能性がある溶連菌感染症を広げないためにも、早めに治療を受けることが勧められるのです。

溶連菌感染症の治療法


 溶連菌感染症は、抗生剤によって治療することが一般的です。溶連菌は抗生剤に対する抵抗性が弱いため、すぐに効果が現れて、熱や痛み、発疹といった症状がみるみる改善します。抗生剤にもいくつか種類がありますが、溶連菌に対してはペニシリン系を使うことが多いです。

 溶連菌に感染した人がペニシリンに対してアレルギーがある場合には、他の種類の抗生剤が使われます。服用期間は10〜14日間と長めになりますが、症状を抑え、他人への感染を防ぐためにもしっかりと処方された薬を飲み切ることが大事です。

家庭での注意点

 溶連菌感染症と診断されても、学校保健安全法では何日学校を休まなくてはならないなどの規定は決められていません。医師が感染しないと判断すればいつでも学校に行くことができますので、感染力が低下する抗生剤治療開始から24時間後が目安になります。もちろん、抗生剤治療開始から24時間が経過しても、本人がつらそうにしているときは、学校を休ませる方が良いでしょう。高熱で想像以上に体力を消耗していることもありますので、配慮してあげなくてはいけません。

 喉の痛みや熱のために、食欲が極端に落ちてしまうこともあるでしょう。抗生剤を服薬するとすぐに症状が良くなりますので、痛みがあるうちは無理に食べさせる必要はありません。痛みが引いてきたら、喉に負担をかけないやわらかい食事を少量食べさせることが勧められます。

 どうしても食べられないときは、水分補給だけ注意してあげるようにしましょう。発熱によって身体の水分は激しく奪われています。脱水症状を起こさないためにも、こまめに水や麦茶などを飲ませるようにしてください。

溶連菌の治療中、勝手に薬を中止しない!

 抗生剤による治療法の注意点として、「自己判断で勝手に飲むのをやめない」ということを挙げることができます。抗生剤の効果はてきめんであることが多く、「良くなったからもういいだろう」と服薬を止めたいと考えてしまう気持ちは分からないでもありません。

 ですが、処方された回数と処方された個数を飲み切らずに勝手に止めてしまうと、溶連菌感染症が再発して高熱や発疹といった症状が表れたり、時間をおいて糸急性腎炎やリウマチ熱という合併症を起こしたりする危険性もないとは言えません。かならず医師の指示に従い、最後まで飲むようにしましょう。

 ただし、処方された薬を飲み始めてすぐのタイミングで、全身に発疹が出ることがあります。この場合は溶連菌感染症の症状が悪化したのではなく、薬に対するアレルギー反応(薬疹)である可能性がありますので、一旦服用を中止し、すぐに担当医師に連絡するようにしましょう。

溶連菌が風邪程度の軽い症状なら治療をしなくて良いことも


 風邪のような軽微な症状しか表れない溶連菌感染症もあります。風邪だと思って病院を受診し、たまたま受けた溶連菌感染症の検査が陽性になったとしても、溶連菌感染症のために陽性が出たのではなく溶連菌の保菌者であるために引っかかってしまった可能性が考えられます。また、本当に溶連菌感染症にかかっていたとしても、微熱や軽い痛みなどの軽微な症状しか出ていない程度であれば自然治癒することが多いでしょう。

 そのため、高熱が出ているときや喉をひどく痛がるとき、首のリンパ節が大きく腫れているとき、発疹が全身に見られるとき等、通常の風邪と考えるには重篤すぎる症状が見られる場合に、医療機関を受診することをお勧めします。

溶連菌感染症にならないための予防法


 溶連菌感染症は感染力が強いため、うつりやすい病気の1つとして挙げることができます。ですが、予防ワクチンなどはありませんので、感染している人との接触を極力避けることやマスクをすること、外から帰ったら手洗いをすること、うがいを欠かさないこと、感染者とタオルや食器、カトラリーなどを共有しないことなどの方法を取ることが予防対策となります。

 また、他の病気と同じく、溶連菌感染症も免疫力が落ちているときは感染しやすくなります。普段から疲れをためないようにすることや睡眠を充分にとること、バランスのとれた食事をすること、適度に運動をすることなどの健康習慣を続けることも大事です。

 合わせてこちらもお読みください→<溶連菌感染症の発疹の特徴と間違われやすい病気>

まとめ

 溶連菌感染症は過剰に恐れる必要のない疾患です。風邪をひいて溶連菌の検査をしても、幼児や児童の5~20%は元々保菌者なのですから、ほぼ毎回陽性の結果が出てしまうことでしょう。そのような場合、溶連菌検査が陽性だからという理由で診断される度に抗生剤を服用するなら、抗生剤を飲みすぎることによる耐性菌の出現などの弊害が出てきしまいます。

 溶連菌感染症は早めに病院に行って抗生剤をきっちりと飲むことが治療となりますが、本当に感染しているのか、単に保菌者(常在菌保菌者)なのではないか、親御さんがしっかりと見極める必要があると言えるのです。単なる風邪ではなさそうな重い症状があるのか、過去に溶連菌と診断されたことが何回あるのか等、観察記録をつけ、医師に正確に伝えるようにしましょう。

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