アトピー性皮膚炎に悩まされている人の中には、化粧をすると炎症が悪化するのではないか、化粧するとしたらどんな商品がいいのだろうかと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。せっかく化粧しても、炎症がひどくなったりかゆみが増したりするのでは困りますよね。そこで、アトピー肌に優しい化粧品の選び方について紹介してまいります。
アトピー性皮膚炎の人が化粧することで生まれるメリット
アトピー性皮膚炎の人は、皮膚に触れるものによって炎症が悪化してしまうことが多いですので、メイクすることに対しても臆病になりがちです。しかし、近年はアトピー肌にも優しい化粧品が発売されるようになり、アトピーの症状を抱えながらもメイクを楽しむことができるようになってきました。
メイクでアトピー肌の気になる部分をカバーすることで、今まで人前に出ることに消極的だった人も明るく楽しむことができるようになる、自信が出るなどという精神的な変化も得られるようになります。また、アトピー性皮膚炎は、ストレスも炎症を悪化させる要因の一つと考えられており、アトピー肌の負担にならない程度にメイクを楽しむことで、気分転換になる、ストレスを軽減させるというメリットも出てきます。
さらに、アトピー性皮膚炎にとって紫外線は大敵です。紫外線が直接患部に当たったり、患部以外の皮膚に当たったりするだけで、炎症やかゆみが増大することも少なくありません。UV効果のある化粧品を適度に皮膚に塗るなら、アトピー肌を紫外線の刺激から守る効果も期待できるでしょう。
症状による化粧の仕方
無添加のオイルや保湿剤を薄く塗ってからメイクをするのが、アトピー肌のメイクのコツです。化粧品に含まれる化学物質や顔料、その他の刺激を誘発すると考えられる成分が肌に直接当たらないようにするならば、肌への負担も少なくすることができます。また、皮膚の乾燥も、アトピーを悪化させる1つの要因になります。オイルや保湿剤で肌そのものを潤わせることで、アトピーの悪化を防ぎながら、メイクを楽しむことができるのです。
乾燥気味で、比較的軽症の場合
肌はどちらかというと乾燥肌に分類されるものの、アトピーの症状自体は比較的軽い人は、刺激の少ない敏感肌用の化粧品を使ってフルメイクすることが可能です。ただし、メイク落としをきちんと行い、洗顔後はすぐにしっかりと保湿しなければなりません。メイクの成分やメイク成分に含まれた皮脂をしっかりと落とすことで、その後の保湿成分の浸透を高めることができます。保湿成分が肌の深層部にきちんと入ると、乾燥が緩和され、アトピー症状を鎮静することもできるでしょう。
また、アトピー症状がある人ほど、丁寧にベースメイクをすることが勧められます。もちろん、「丁寧にメイクをすること」が大切なのであって、「厚塗りすること」や「濃い化粧をすること」が大切なのではありませんから、お間違えの無いようにしてください。
肌をしっかりと保湿して丁寧に下地やUVカット効果のある乳液等を塗り、その上から丁寧にファンデーションを塗っていきましょう。丁寧に保湿をした土台にファンデーションを塗ることでメイクが崩れにくくなりますので、何度もメイク直しをする必要もなくなります。メイク直しをすると、その度にメイクが厚塗りになり、アトピーの人にとっては症状を悪化させてしまうことになります。ですが、最初から丁寧にメイクをしておくなら、メイク直しをすることも厚塗りになってしまうことも避けられますので、夜も簡単にメイクを落とすことができ、肌にも負担をあまりかけないようになるのです。
顔に少し炎症があり、赤みがある場合
低刺激のパウダリーファンデーションでベースを作り、目の周りに炎症がある場合は、アイメイクを控えめにするようにしましょう。
アトピー体質の人がリキッドファンデーションを絶対に使ってはいけないのではありませんが、リキッドファンデーションはパウダリーファンデーションと比べると肌への密着度が高く、毛穴がふさがってしまいますので、アトピー症状を悪化させる可能性が高いことが分かっています。また、密着している分、パウダリーファンデーションよりもメイク落としが大変になってしまうことや完全に落とし切ろうとするためについ肌に力を入れてこすってしまうことなども、リキッドファンデーションをおすすめできない理由として挙げられます。
アイメイクもファンデーションと同じく、「落としやすさ」で選ぶと良いでしょう。「涙を流しても流れない」「ラインが夜までくっきり!」などという宣伝文句のアイライナーやアイシャドウがありますが、アトピー症状がある人にとってのメイクの基本は「落としやすさ」ですので、なるべくなら落ちにくさをアピールした商品は選ばないようにしてください。
じくじくした炎症がある場合
炎症部分が乾燥しておらず、じくじくとしている場合は、ファンデーションは塗らないことが勧められます。また、アイラインやリップメイクなどの落ちにくい材質の化粧品によるポイントメイクも避ける方が良いでしょう。
ただし、炎症が出ているときでも、低刺激成分で作られた化粧水や乳液を使って保湿をすることは忘れないでください。炎症部分が重篤な場合は、病院で顔用に処方された外用薬を塗ったり、内服薬を忘れずに服用したりするなどの薬物治療が必要になりますが、薬物治療と並行して保湿ケアも続けていきましょう。
アトピー肌に優しい化粧品を選ぶポイント
アトピー肌に優しい化粧品を探すポイントは、以下の2点になります。
- 保湿成分の高い化粧品を選ぶ
- 刺激の少ない化粧品を選ぶ
保湿力が高く肌に優しい成分を含有する化粧品を選択しましょう。セラミドやヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンなどが配合された商品がおすすめです。また、界面活性剤やパラベンなどの刺激が強い成分が含まれていないことも確認してから購入するようにしてください。
自分でできるアレルゲンチェック
保湿成分が入っているからといっても、その化粧品が合うかどうかは個人差がありますので、パッチテストで確認することをおすすめします。自分でできる簡単な方法は以下の通りです。
自分でできるパッチテストの方法
化粧品を絆創膏に沁み込ませ、肌の柔らかい部分(二の腕や太ももなど)に貼ります。48時間後に絆創膏を剥がし皮膚の変化を確認します。変化のない場合は大丈夫ですが、赤くなったりかぶれが生じたりする場合は、アレルゲンが含まれていると考えられます。
アトピー肌におすすめの化粧品
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- ディセンシア つつむ(POLA)
敏感肌専門のブランドが作った化粧品。細胞間脂質にセラミドを補給する成分「セラミド ナノ スフィア」と、角層をふっくらさせる成分「アミノコンプレックス」を含有しています。
公式サイト: https://www.decencia.co.jp/nccp/ts-0003-l.aspx - オー ジュンヌ(Belle Eau)
約90%が霧島の水「スキンケア用弱酸性水」でできた、肌を整える力のある化粧品。顔だけでなく、体全体に使用することができます。
公式サイト: https://shop.belleeau.jp/eaujeune_b - ウィラード・ウォーター(Dr. ウィラード・ウォーター)
赤ちゃんも使える刺激の少ない化粧品。肌に浸透しやすく、直ちに角質を潤わせる効果があります。さらに、保水力もアップさせ、バリア機能を高めてくれる働きを持った化粧品です。
公式サイト: http://www.willard.co.jp/user_data/wpra/lpa/safi.html
- ディセンシア つつむ(POLA)
低刺激の保湿力ある化粧品で、メイクを楽しもう
アトピー肌でもメイクをすることは可能です。メイクでキレイになることで、人前に出ることが楽しくなり、自信を持つことができるという精神的なメリットが出てきます。炎症が重度でないようなら、メイクの前に保湿で肌を保護し、UV化粧品で紫外線をカットすることを忘れないようにしてメイクを楽しんでください。