アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応を起こしやすい体質を持つ人や、アレルギーを持つ人が家族にいる人などが罹りやすい病気と言われています。アトピー性皮膚炎もアレルギーのように検査をしたほうがいいのでしょうか。また、アトピー性皮膚炎はどのような症状があるのでしょうか。それらをまとめてみました。
アトピー性皮膚炎の症状
強いかゆみ
最初に、アトピー性皮膚炎の特徴としてあげられるのは強い「かゆみ」です。かゆみがあるため、炎症部位を掻き壊して悪化させてしまう場合が多くみられます。
悪くなったり良くなったりを繰り返す
アトピー性皮膚炎は、炎症が長引き慢性化する人が多くみられます。良くなってきたかと思うと、また悪くなるという悪循環を繰り返しやすい疾患です。
左右対称に症状が出る
顔、目・口のまわり、耳、首などに症状が出るほか、手足の関節内側にも出やすい病気です。両ひじの内側や両膝の裏側など、左右対称に症状が表れるという特徴があります。
年齢によって変化する
アトピー性皮膚炎は、年齢により症状が変化します。
乳児期(~1歳頃)の症状
乳児期のアトピー性皮膚炎は、まず顔や頭に症状が表れます。次第に全身に表れるようになり、じくじくした湿疹や赤く腫れるなどの症状がみられます。ただし、赤ちゃんにみられる乳児脂漏性湿疹などもあるので、一概にアトピー性皮膚炎とは判断できません。2か月以上湿疹が続くようならアトピー性皮膚炎の可能性が出てきます。
幼児期~小児期(~15歳頃)の症状
この時期になると、はっきりアトピー性皮膚炎と判別できるようになります。体全体が乾燥してカサカサした状態になり、手足の関節の内側に炎症がでてきます。症状は、じくじくした湿疹や赤い発疹、水ぶくれ、ゴワゴワと硬くなった皮膚などです。
また、この時期になるとつい掻いてしまうという人が多く、掻くことでますます炎症を悪化させるという悪循環ができてしまいます。掻き壊した炎症部位には雑菌が増えるため、細菌やウイルスに感染し合併症を引き起こす場合もみられます。とびひや水いぼなどの皮膚感染症、網膜剥離などの目の疾患などになることもあるので注意が必要です。
青年期~成人期(16歳~)の症状
近年は、成人になってもアトピー性皮膚炎に悩む人が少なくありません。この時期になると、さらに皮膚の乾燥やゴワゴワと硬くなる症状が進み、ひどいときはじくじくした「びらん」の症状が表れます。顔や首、胸、背中などの上半身に症状が多く表れるのがこの時期の特徴です。掻くことがクセになっている人も多く、炎症部位の色素沈着もみられます。掻いたり擦ったりするため、皮膚や目の合併症に注意しなければなりません。
アトピー性皮膚炎の検査方法
アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンを知るには、医療機関で受ける検査が必要です。アレルゲンを突き止めることで、対策を立てることができます。ただし、アレルゲンは1種類とは限らず、また、子どもの時期は、成長とともに体質も変わってくるので、あまり限定的に考えるのは避けたいものです。
まず、問診では皮膚の症状や経過を問われます。小さな子どもの場合は、家族が日頃の症状などをきちんと伝えるようにしましょう。「かゆみはいつ頃から始まったか」「どのようなときにかゆくなるか」「家族にアレルギーを持つ人がいるか」などの情報が大切と考えられます。
アトピー性皮膚炎の検査方法は以下のようなものがあります。
血液検査
採血のうえ、アレルゲンを探る検査方法です。好酸球、IgE値、特異的IgE、LDH、TARCなどの数値により診断します。
皮膚検査
スクラッチテスト・比内テスト
アレルゲンと思われる物質を、スクラッチテストは専用の針で小さく傷つけた皮膚に垂らし、比内テストは専用の針で皮膚内に入れ、いずれもそのまま15分置きます。湿疹ができた場合、それがアレルゲンと診断されます。
パッチテスト
アレルゲンと思われる物質を皮膚に貼り付け、2~3日後の反応をみる検査です。湿疹ができた場合、それがアレルゲンと診断されます。
負荷試験
アレルギーの原因と疑われる食物を特定する検査です。原因と思われる食物を摂取することで、症状が出るかどうかを検査します。検査対象が原因物質である場合、体に負担が大きくなることが考えられるので、入院により検査する場合があります。
検査結果に神経質にならない
子どもは成長とともに体質も変化します。検査によりアトピーの原因を探るのも必要なことですが、原因はひとつではないことが多く、体質の変化によりアレルゲンが変わる可能性もあります。あまり検査結果に神経質にならないように注意してください。