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アトピー性皮膚炎のかゆみの原因と対処方法

アトピー性皮膚炎のかゆみの原因は、乾燥とアレルギー反応と掻き傷です。

 
 アトピー性皮膚炎の肌は、肌の保湿とバリア機能保持のために必要な角質細胞間脂質のセラミドが作られにくい肌です。そのために肌のバリア機能が壊れ、

  1. 異物が侵入しやすく、アレルギー反応を起こしやすい
  2. 水分が逃げやすく、乾燥している

状態です。

 皮膚から異物が侵入して体がアレルギー反応を起こすと、体内の細胞からさまざまな化学物質(かゆみ物質)が放出されます。代表的なかゆみ物質は「ヒスタミン」ですが、その他にニューロペプチド、β-エンドルフィン、サイトカインなどという物も関係しています。また、乾燥によるかゆみもあります。体が温まり身体の温度が上がることによってもかゆみが増します。アトピー性皮膚炎の人のかゆみは特に夜間布団に入って温まったときに強くなる傾向があります。昼間忙しく過ごしている時には気が紛れていても、夜寝ようとした時かゆみに耐えられなくて眠れなかったり、寝ている間もかゆくて無意識に掻いてしまいがちです。掻くことでさらに皮膚のバリア機能が壊れてかゆみが増すという悪循環を招きます。

アトピー性皮膚炎の症状

 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹がよくなったりひどくなったりしながら慢性的に続く皮膚疾患です。 湿疹には、紅斑(赤い腫れ)丘疹(ぶつぶつした小さなドーム状の盛り上がり)小水疱(小さな水ぶくれ)膿疱(膿の袋)鱗屑(ふけのようなカサカサしたもの)痂疲(かさぶた)びらん(皮膚表面がけずれてジクジクした状態)苔癬化(繰り返し掻くことで、皮膚がごわごわと厚く硬くなった状態)などがあり、病気の時期と場所によって混在します。
 
 年齢によって好発部位や症状が少し違う場合もあります。

  • 乳児の場合、生後2週間くらい~3か月くらいの間に、顔(特に口の周り)に赤みを帯びた湿疹ができ始め、上半身から全身に広がっていく症状から気づくことが多いようです。
    ※乳児期は新陳代謝が活発で、頬や額にできる「新生児にきび」や頭部や額にクリーム色のふけのような湿疹やかさぶたのようなものがはりつく「脂漏性湿疹」など、アトピー性皮膚炎を鑑別しにくい別の疾患も好発します。アトピー性皮膚炎の特徴は、体全体に広がっていくことと繰り返し発症することですが、初期の段階では判断がつきにくいので、皮膚科や小児科で経過を観察してもらいながら、鑑別診断と必要な治療を受けることが大切です。
  • 幼小児の場合、皮膚が全体に乾燥しがちになり、湿疹は肘や膝の裏側にできやすくなります。肘や膝の裏側をかくことにより苔癬化したりびらんができたりします。
  • 思春期・成人の場合、上半身から全身へと湿疹が広がり、顔が赤みを帯びてきます。頸部に色素沈着がみられることもあります。

 ※患者さんの多くはアトピー素因を持つと言われています。

 アトピー素因とは、気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・アトピー性皮膚炎・IgE高値のいくつかを患者さん本人や家族が発症している(したことがある)ことを言います。

アトピー性皮膚炎の対処方法

 何より大切なのは、まず信頼できる医師のもとで診断を受け、適切な治療を続けることです。

 湿疹などの症状があってもアトピー性皮膚炎とは限りません。医師による経過観察・診断と必要な治療を受けます。医師の治療方針によって受けられる治療内容が異なりますので、ご自身の信頼できる病院を選択して、根気よく治療する必要があります。治療方針の違いを大きく分けると、標準治療と脱ステロイド・脱保湿治療です。

標準治療:
ステロイド軟膏・プロトピック軟膏で炎症を抑えながら保湿剤を用いてスキンケアする治療方針。日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」の「薬物療法」と「スキンケア」を中心とした治療で、多くの皮膚科で取り入れられています。
脱ステロイド・脱保湿治療:
ステロイド軟膏・プロトピック軟膏・保湿剤を用いないで肌本来の回復力を高めるスキンケアで自然治癒させる方針。この治療をしている病院は少ないので、『アトピーにステロイドを使わない治療が可能な病院』をインターネットなどでさがし、「ステロイド軟膏を使わない治療を希望します」ということを最初の受診時からはっきりとお医者さんに伝える必要があります。

 病院では、かゆみ止めの内服として「抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬」を処方されることもあります。標準治療では、炎症を抑えるステロイド軟膏・プロトピック軟膏と乾燥を防ぐ保湿剤を使用することでかゆみも抑えます。

 ※アトピー商法といわれる、高額な商品を売りつける商法も多数あるので、注意が必要です。

かゆみ刺激を起こさない生活の心がけ:皮膚の乾燥を避け、炎症を起こすもとになる物理的刺激を与えないことです。

 例えば、

  • 衣類や装身具などによる刺激を避ける。
    (化繊やウールのチクチクした刺激、Tシャツなどのタグによる刺激など。)
  • 皮膚の保清と乾燥防止。洗いすぎない。
    (湯温はぬるめ。石鹸やシャンプーの使用は1日1回まで。石鹸・シャンプーはできるだけ低刺激な物を選ぶ。無添加・無着色の浴用石鹸も薬局などで市販されています。石鹸・シャンプーは不要というお医者さんもいます。主治医に相談しましょう。)
  • 空気の乾燥に配慮する。
    (バリア機能の弱い皮膚は、空気の乾燥によっててきめんに皮膚が乾燥してしまいます。室内の暖房や加湿にも配慮するとよいでしょう。寝る前の暖房設定温度は低めに設定する。※加湿器を使う場合は、貯水タンクの水を清潔に保つため水替えも必要です。)
  • 精神的ストレスを少なくする。
    (ストレスもかゆみを起こします。かゆみが少なくてもストレスを感じた時、ストレスを解消する時に掻破が習慣になってしまうこともあります。)
  • 掻き傷を作らない。
    (かゆくて掻くことにより皮膚に傷を作り、さらに乾燥してバリア機能の壊れた肌になりかゆみが増します。また傷口から細菌感染を起こして悪化することがあります。)爪はきれいに切って、やすりなどで先を丸くし、清潔にしておきましょう。ただし、「掻かないように」子どもに言うと子どもにはストレスになります。子どもが遊びに集中する時間をつくるなど、かゆみから子どもの気をそらし、元気にすごせるように配慮しましょう。

 何より大切なのは、まず信頼できる医師のもとで診断を受け、適切な治療を続けることです。湿疹などの症状があってもアトピー性皮膚炎とは限りません。医師による経過観察を受けながら乳幼児に多い乳児湿疹・脂漏性湿疹などの疾患と鑑別診断鑑してもらい、必要な治療を受けます。(標準治療:ステロイド軟膏・プロトピック軟膏で炎症を抑えながら保湿剤を用いてスキンケアする治療方針の医師、脱ステロイド・脱保湿治療:ステロイド軟膏・プロトピック軟膏・保湿剤を用いないで肌本来の回復力を高めるスキンケアで自然治癒させる方針の医師 で大きく方針が違います。ご自身に合った方法を選択して根気よく治療する必要があります。)

 病院では、かゆみ止めの内服として「抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬」を処方されることもあります。標準治療では、炎症を抑えるステロイド軟膏・プロトピック軟膏と乾燥を防ぐ保湿剤を使用することでかゆみも抑えます。

 かゆい時の応急処置として、アイスノンや保冷剤などで、かゆい部分を冷やすと、かゆみがやわらぎます。冷やしすぎると冷やすのをやめたときのかゆみが増すので、冷たすぎないように清潔なガーゼやハンカチなどで包み、長時間冷やしすぎないよう、かゆみがやわらいで気持ちがいい程度に冷やすといいでしょう。

 ※かゆみに対する対処方法もお医者さんによっても違う場合があるので、治療を受けているお医者さんに相談してみてください。

著者情報

ママモル編集部

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン『ママモル』の編集部です。

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