アトピー性皮膚炎の人は、少しでも症状を軽くするためには日頃のスキンケアが大切になります。そこで、アトピーの特徴的な症状や日頃から行いたいスキンケアの方法をまとめました。
アトピー性皮膚炎にみられる症状
皮膚のバリア機能の低下
アトピー性皮膚炎の特徴は、強いかゆみと湿疹、そしてかゆみのため慢性化しがちな病気ということです。アトピー肌は、皮膚を守るバリア機能が低下するため、皮膚から水分が蒸発しやすく乾燥しています。乾燥した皮膚は外部からの刺激物質やアレルゲンが侵入しやすく、その刺激がかゆみの原因となります。
また、かゆみが強いため掻いてしまい、さらに炎症を起こし皮膚の状態を悪化させてしまうという悪循環に陥ります。それを繰り返すことで炎症を慢性化させてしまう病気です。
年齢で変わる症状
アトピー性皮膚炎の症状は、年代によって変わってきます。乳児期のアトピーは、初めに頭や顔に症状が表れます。頬や口の周りに赤斑ができ湿疹が出るという症状です。
幼児期から小児期になると、ひじや膝などの内側にじくじくした炎症が起こり、耳切れなどの症状もみられるようになります。この頃になると、乾燥も進み「掻く」ということがクセになり、炎症を悪化させてじくじくした「びらん」もみられ、細菌感染による合併症が表れるのもこの頃からです。
青年期以降の大人になると、上半身に症状が表れることが多く、掻き壊すことが繰り返されるため硬くて厚い皮膚となります。また、「痒疹」と呼ばれるかゆみのある硬いしこりができる症状もみられます。
アトピーの人が心がけたいスキンケア
肌を清潔にする
まず、汗や汚れ、アレルゲン、刺激物質などを除去することから始めましょう。汗をかいたらシャワーを浴び、汚れたら手洗いやシャワーなどで洗い流すことを基本にします。石鹸やシャンプーを使って洗うときは、良く泡立ててから優しく洗いましょう。症状が悪化しているときは、ぬるま湯で流すだけでも大丈夫です。
アトピー肌に必要な2種類の保湿剤
肌を清潔にしたら、炎症のある場合は医療機関で処方された外用薬を塗布し、炎症が治まってきたら保湿剤などで適度な水分を補います。保湿剤を塗るときは、刺激になりにくいように優しく塗ってください。
健康な人の肌は、一番外側にある、外部からの刺激をはね返す働きと水分を逃がさない働きの「皮脂」、角質細胞内部にある、水分を補う「天然保湿因子」、水分を保持する「セラミド」によってバリア機能が正常に働きます。アトピー肌が必要とするのは、それらの働きを補うため、水分の蒸発を防ぐ保湿剤と水分を保持する保湿剤です。いずれも医療機関で処方されているものもあるので、医師に相談してみましょう。
水分の蒸発を防ぐ保湿剤
水分の蒸発を防ぐ保湿剤として代表的なのは白色ワセリンです。さらに精製度が高いプロペトも水分の蒸発を防ぎます。これらは刺激が少なく、油分が皮膚を覆うことで水分の蒸発を防ぐバリアとなり効果的です。ただし、粘度が強くベタベタした使用感が嫌という人もいます。
水分を保持する保湿剤
角質層の水分を保持する保湿剤には、3種類の水分保持の仕方があります。
- セラミドを補う保湿剤…セラミド含有製剤
- 角質層にある水分を集めて保持する保湿剤…ヘパリン類似物質製剤(ヒルドイドなど)、水溶性コラーゲン製剤、ヒアルロン酸製剤
- 角質層内の水分を引き寄せ、皮膚表面を滑らかにする保湿剤…尿素製剤(ケラチナミン、パスタロンなど)
紫外線を防止
アトピー肌に紫外線は大敵です。紫外線は、皮膚を乾燥させ、さらにバリア機能を低下させてしまいます。また、日焼けなどで肌を老化させるという心配もあるため、紫外線対策が大切になります。
刺激物質を避ける
石鹸やシャンプーなどは、界面活性剤などの含まないものを使用することが重要です。また、化粧品も同様に、化学物質の含有が少ない、低刺激で使用感の良いものを選んでください。
スキンケアは肌を清潔にして保湿をすること
アトピー肌は、バリア機能が低下していることから炎症が始まります。そのため、肌を清潔にしたうえで保湿をすることが、炎症を軽減させていくコツになります。スキンケアに使う化粧品や保湿剤は、刺激の少ない優しいものを選ぶことをおすすめします。