アトピー性皮膚炎の薬による治療にはステロイド外用薬を使うことが多いですが、ずっと塗り続けていて大丈夫だろうか、副作用はないのだろうかなどと心配されている方もいるかと思います。ステロイド外用薬は、医師の指示に従って正しく使えば、効果的で安心な薬です。ステロイド外用薬の正しい使い方をご紹介します。
「ステロイド外用薬」とは
「ステロイド外用薬」は、アトピー性皮膚炎の治療に使われる抗炎症作用のある塗り薬です。つまり、湿疹などの皮膚の炎症を抑える効果があります。
ステロイド剤というのは、人間の体で作られるステロイドホルモンを人工的に作った薬になります。人間のステロイドには、抗炎症作用と免疫抑制作用の働きがあります。そのうちの免疫抑制作用がもたらす、正常な免疫反応についても抑制してしまう点について、90年代当時、ステロイドの副作用として懸念する人が多くいました。
「ステロイドを使うと体に蓄積する」、「皮膚が黒くなる、あるいは硬くなる」などと心配する声を、今でも耳にします。使用量や使い方を間違わなければ、このような副作用は起こりません。むしろ、短期間に炎症を抑えてくれるので、効果的な治療に結び付きます。特に、外用薬の場合は局所的に塗るので、使用期間を守らない、大量に塗るなどの間違った使い方をしなければ、ほぼ副作用はないといえるでしょう。
「ステロイド外用薬」を正しく使おう
「ステロイド外用薬」の効果的な使い方
いまだに、ステロイド外用薬を使うのを怖がる人もいますが、炎症を抑え、皮膚のバリア機能を回復させるためにはステロイド外用薬が効果的です。医師の指導のもとに、まず、皮膚をきれいに回復させ、徐々に薬を減らしていくという流れで治療は行われます。
最初は、1日に2~3回程度ステロイド外用薬を塗ります。炎症が治まってきたらステロイド外用薬の塗布回数を徐々に減らしていきます。ただし、炎症が治まったようだからと、すぐにステロイド外用薬の使用を止めるようなことはしないでください。ステロイド外用薬と保湿剤を交互に使い、徐々にステロイド外用薬の使用回数を減らしていきます。さらに、保湿剤のみの期間を少しずつ増やしていきましょう。あくまでも徐々に行うことが大切です。きれいになったからとすぐに薬の塗布を止めると、炎症をぶり返してしまいます。一見きれいに見えても、皮膚の下には炎症が残っているので、完治するまでステロイド外用薬を止めないでください。
「ステロイド外用薬」は適切な強さの薬を適切に使うこと!
アトピー性皮膚炎の症状や、症状の出ている箇所、症状の強さ、さらに、年齢などによって、ステロイド外用薬は5段階に分けられています。
- Ⅰ群 ストロンゲスト(最強)
デルモベート、ダイアコート、ジフラールなど - Ⅱ群 ベリーストロング(より強い)
アンテベート、マイザー、フルメタ、リンデロンDPなど - Ⅲ群 ストロング(強い)
リンデロンV、ボアラ、ザルックス、フルコートなど - Ⅳ群 マイルド(穏やか)
リドメックス、ロコイド、レダコートなど - Ⅴ群 ウィーク(弱い)
プレドニゾロン、グリメサゾン軟膏など
通常、子どもの顔にはⅣ群の薬を用い、顔以外の場所にはⅢ群の薬を使います。使う箇所によって薬の吸収率が違うため、使い分けることが必要になります。ストロングという表記に怖がり弱い薬を使ってしまうと、効果がみられず悪化させてしまうこともあります。「その患部に適した、適切な強さのステロイド外用薬を適切な期間」用いることがとても重要なことになります。
「ステロイド外用薬」を塗るタイミングと塗り方
清潔な状態の肌に塗るのがベストなので、お風呂上りが効果的です。タオルなどで肌をゴシゴシ擦るのは、炎症のある患部を刺激することになるので注意してください。患部は軽く水分を取る程度にします。
アトピー性皮膚炎は肌のバリア機能が崩れているので、薬を塗布するとき、適量を患部に軽くのばすだけで吸収されます。逆に、強く塗り込んだりすると、皮膚を傷めることになります。
「ステロイド外用薬」を使うときの注意点
ステロイド外用薬は、適量を使用しましょう。また、医師に指示された患部以外に使用しないようにしてください。例えば、手足の炎症用に処方されたステロイド外用薬を、顔などに使用することは避けてください。炎症のある箇所によって強さの違う薬が処方されますから、医師に相談して、適切な薬を使用するようにしましょう。
医師の指導のもと、適切なステロイド外用薬を、適切な量、適切な期間に使用することが、安全にアトピー性皮膚炎を治す方法になります。