環境教育学士、環境法学士、国際森の幼稚園運動のリーダー、エリン K.ケニー氏へのインタビュー
お子さんが一日中家の中でテレビを見たり、ビデオゲームで遊んだりしているようなときに、よくケンカをしませんか。私のところでは、そういう時に限って喧嘩をはじめます。子どもたちは不機嫌になったり、簡単にイライラしたり、退屈したりして、最終的にはけんかになります。
でも、子どもたちが一日中、屋外の自然の中で過ごすとき、子どもたちは正反対の表情を見せるでしょう:楽しくて、ワクワクして、おしゃべりして・・・。
だから、私は森の幼稚園の大ファンであり、私の子どもたちも森の幼稚園にとても行きたがるのです。どんな季節でも、どんなお天気でも、大人の監督の元で子どもが森林やその他の自然の中で遊んだり探検したりすることはとてもいいことです。通常の学校では、大人たちは子どもを導くというよりも、むしろ手取り足取り教えてしまいがちです。
森の幼稚園のドイツやデンマークなどでの状況
森の幼稚園はヨーロッパ、特にドイツ、デンマーク、スイスでとても人気があります。ドイツには、現在、1000以上の森の幼稚園があり、他のヨーロッパ諸国でも急速にその人気は高まっています。森の幼稚園に切り替えることで、薬物を使わずにADD(注意欠陥障害)が「治った」子どものニュース記事をたくさん読んできました。また、森の幼稚園に通う子どもたちは、より問題解決能力が高く、高い批判的思考を持ち、より創造的で、忍耐強いと思います。
私たちは森の幼稚園についてたくさんの疑問を持っているので、米国の森の幼稚園運動のリーダーであり創業者でもある、ワシントン州のシダーソング森の幼稚園のエリン・ケニー氏の独占インタビューをすることができました。彼女はまた、過度に心配している保護者の皆さんのために、いくつかのヒントを教えてくれます。
ここに、SafBabyの、エリン・ケニー氏の独占インタビューをご紹介します。
森の幼稚園について少し教えてください。どのように/なぜ森の幼稚園を始めたのですか?
エリン・ケニー、シダーソング森の幼稚園の創始者:
当時、私には、3歳の息子がいたのですが、彼が通える幼稚園はすべて屋内で、私が期待しているようなものではありませんでした。そこで、私は、森の幼稚園を始めることにしたのです。私の息子は屋外にいることが大好きで、また、私は幼い子どもたちが外で遊んでいるときいかに多くのことを学んでいるのかを目の当たりにしてきていたので、私は、完全に屋外で行う幼稚園というものについてのビジョンを持っていました。その一つは、屋内のスペースを持たないことで、自然の中を移動しながら、学びが有機的に発生していきます。私は、子どもたちが、体験を通じて何かを発見したときには、よりその情報をよく記憶する傾向があることを見てきました。そこで、私は、2006年に、2/3以上の時間を屋外で過ごす方針の、自然ベースのプレスクールを開始し、シダーゾングプレスクールと名付けました。2007年には、友人であり私の元生徒でもある、ロビン・ロジャースが、私の持っていた一年中屋外で過ごす幼稚園のビジョンに共感してくれて、その幼稚園の実現を手伝うと申し出てくれました。私たちは、古代の森教育財団の傘下の非営利のシダーソング自然学校を結成し、ドイツのヴァルトキンダーガルテン(ドイツ語で森の幼稚園の意味)モデルに基づく、米国で最初の森の幼稚園を開設しました。
「私たちは自然を恐れる室内文化の中で生活し、幼い子どもたちが学ぶために最も良い方法である遊びの価値を引き下げてしまっているのです。」
子どもたちは、屋外では、教室内で学ぶことができないどのようなスキルを学びますか?
森の幼稚園プログラムにおける、特定の自然科学的学習分野:森林生態系、生物学、植物学、民族植物学、語源学、鳥類学、動物学、数学、物理学、工学
森の幼稚園プログラムで得られるライフスキル:社会開発力、紛争解決力、優しい視点、思いやり、共感、感情のバランス、リスク評価、上半身および下半身の強さ、握力の増強、より良いバランスと柔軟性
森の幼稚園の子どもたちと、通常の幼稚園の子どもたちとの、主な違いは何ですか?
森の幼稚園の子どもたちは、より協調的に遊び、より多くのチームワークを発揮することが示されています。また、彼らは、高い問題解決能力と批判的思考を持っています。さらに、子どもたちは、すべての生き物に強い共感と思いやりを持っている傾向があります。
「森の幼稚園では、なにを答えるかではなく、どのように問題を解決するのかを子どもたちを教えます!」
利点は何ですか?
身体面: 健康な身体、強い免疫システム、など
感情面: 感情面のより良い回復力と感情の状態の管理、など
精神面: 高い認知機能、よりリラックスした/ストレスの少ない状態、など
なぜ森の幼稚園で学ぶスキルは、子どもの将来のためにとても重要なのですか?
森の幼稚園モデルは、その興味主導の学習計画を通じて、質問型の指導スタイルと、社会的、情緒的発達の重視により、生涯役に立つスキルを教えており、次のように、幼稚園における発達上のレディネスの準備をしています:うまく問題解決ができるようになります;批判的思考を高めます;学ぶ楽しみを促し、学ぶ意欲を持つことができます;子どもたちに、何を答えるかではなく、どのように問題を解決するのか教えます;創造性を広げます;リスクを負うことを恐れない気持ちを培います;そして、それにより、仲間とのより良いコミュニケーション能力や感情面での回復力を持ち、欲求不満が少なく、忍耐強く、クラスメートとより協同的に作業ができる子どもに育ちます。
森の幼稚園で子どもたちは一日中、何をしていますか?
彼らが好きなこと;それは子ども主体の興味主導の流れ学習です。子どもたちは、走り、登り、掘り、棒切れを運び、物を投げ、泥の水たまりで遊び、想像力豊かな遊びを作り出し、音楽を作り、ダンスをし、叫びます。屋外で本格的な遊びに取り組んでいるときに、子どもたちがやっているのを見かけるであろう、”通常”の活動のすべてです。
子どもたちは全くのおもちゃなしで退屈しないのですか?
そんなことは決してありません。彼らはどこでも”おもちゃ”を見つけます。棒切れは馬、ほうき、ドリル(穴開け機)、キツツキや、他のいくつものものになるのです。
森の幼稚園は、デンマーク、ドイツ、スイスや他のヨーロッパ諸国では非常に人気があるのに、なぜ米国ではこんなに数が少ないのですか?
残念ながら、私たちは自然を恐れる室内文化の中に住んでいると、幼い子どもたちが学ぶために最も良い方法である『遊び』の価値を過小評価してしまいます。森の幼稚園の数は増えているでしょうか?はい、確実に増えています。私はメリーランド州の第二回自然プレスクール会議で基調講演を行いましたが、聴衆は満員になりました。
私たちは、多少なりとも森の幼稚園に入れることに抵抗がある両親の家族は登録を拒否することもあります!子どもと親の両方がプログラムを完全に受け入れているのかを毎回確認しています。私は誰も説得しようとはしません。私は、なぜ、森の幼稚園モデルが就学前の子どものために重要であるのかを、すでに理解している保護者や教育者を支援し、奨励し、鼓舞しようとしているだけなのです。
森の幼稚園は常に屋外で開催されているのですか?
シダーソング森の幼稚園は、天候や季節に関係なく、100%自然の中で行われることになっています。
森の幼稚園の子どもたちは、通常の保育園/幼稚園に通っている同年齢の他の子どもたちよりも賢いですか?
必ずしも「賢く」はありません。ただ、学ぶことの楽しさと同様に、問題解決力や批判的な思考スキルが影響を受けないままに残っているので、彼らは学習の際に、よりリラックスした状態であり、また、初期のアカデミックプログラムにおける子どもたちのテストの点数が良い傾向があるというだけのことなのです。(ドイツの研究によります)。また、森の幼稚園の子どもたちは、社交スキル、感情での回復力、より強い忍耐力を持ち、フラストレーションが少ない傾向があります。
私は、森の幼稚園の子どもたちが、危険なものに対処する方法を学ぶために、すでに2歳でナイフを手にしていると聞きました。
ドイツの森の幼稚園では本当のことです。しかし、私自身が、ナイフはあまりにも危険なものとみなす文化的な考え方に縛られているので、私たちの森の幼稚園の子どもたちにナイフを与えることはありません。
今日、保護者は、自分の子どもが傷つくことを恐れて、あまりにも慎重になっているのではないでしょうか?
その通りです。ヘリコプターペアレント(過保護・過干渉な親)たちは、困難な仕事をやり遂げることによる誇りを学ぶ子どものチャンスを奪い取っています。私が子どもだったときには、大人たちは、私たちをとても高い木に登らせようとしたものです。
子どもたちが早い段階で危険を体験することは、なぜ重要なのでしょうか?
子どもたちには、自分の限界がどのくらいであるのかを学ぶ機会が必要です。子どもたちは、すべてのリスクから保護されているかどうかを、知ることはできません。屋内の環境は危険でいっぱいですが、残念ながら、屋内は遮断されており、屋外に比べて安全であると見なされています。どこからか『落ちる』時の適切な方法は、屋外で過ごす子どもたちはほとんどが知っていることですが、大半の時間を屋内で過ごす子どもたちは落下の仕方を学んでいないので、屋外で遊ぶときに怪我をする可能性が高いのです。
私は、森の幼稚園では、通常に比べてADD(注意欠陥障害)の子どもがはるかに少ないと聞いたことがあります。特にADDと診断された子どもを持つ親は、森の幼稚園を試してみるべきでしょうか?
あまりにも多くの時間を屋内で過ごすことで、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状は現れます。したがって、私のモットーは「私たちが壁を取り除けば、子どもたちは壁に跳ね返されることはありません」です。森の幼稚園では、ADHDの子どもたちがエネルギーを発散できる機会がたくさんあるので、ADHDの症状は現れません。森の幼稚園は、ADHDと診断された子どものための最高の幼児教育モデルです。このような子どもたちに関して、自然に浸る時間のメリットを証明した研究がいくつもあり、私たちはそれを何度も見返しています。
子どもたちを自分で遊ばせることをあまりにも怖がっている、過度に心配性親のためのヒントは何かありますか?
あなた自身の遊びの思い出を思い出してみてください(もし、40歳以上なら)。監督者なしで子どもたちを遊ばせることを恐れる文化となったのはいつからでしょう?60年代に私が子どもだった頃は、誰もが監督者なしで遊んでおり、大人たちは私たちがどんなに高くまで登ったのか知ることはありませんでした。‐大人たちは私たちを信頼していたのです。あなたの子供と一緒に遊ぶことは、家族として結びつきを強めるために、もっともよい方法なのです。
森の幼稚園の教師になるには、どのようなタイプの学位や訓練を取得する必要がありますか?
森の幼稚園の先生は、幼児プログラムにおけるいくつかの学位を持っている必要があります。しかし、それ以上に重要なものは、天候に関する知識、博物学者としての知識、そして自己、他者、自然に対する優しさや敬意を形成する能力についての心構えです。森の幼稚園の先生は、興味主導のプログラミングを受け入れることができ、自我を保ち、および/またはクラスを統制し監督する必要があります。
あなたの森の幼稚園のプログラムの費用はどのくらいですか?どのような年齢層の子ども向けですか?教師に対する生徒の割合はどのくらいですか?
シダーソング森の幼稚園は、週3時間のクラスで月に120ドルです。
私たちのプログラムは、2-6歳児のためのものです。私はドイツのヴァルトキンダーガルテン(ドイツ語で森の幼稚園の意味)モデルに従っていることを示すために、「森の幼稚園」という用語を使っています。ヨーロッパでは、「プレスクール」という言葉は使いません; 6、7歳で公式の教育を受けるまで、子どもたちは「保育」されます。この国(アメリカ)のように、公立学校の初年度としての「プレスクール」はないのです。アメリカにはプレスクールの制度があるため、私たちの森の幼稚園は、2-6歳児のためのプログラムであり、すべてのクラスは、この年齢範囲に入っています。
教師に対する生徒の割合はどのくらいでしょうか?常に4:1です。
自分たちの居住地域でこの活動を始めたりするといったように、誰かがこのプログラムを進めるための取り組みをするには、そのために何をたらよいでしょうか?
シダーソング森の幼稚園教員養成プログラムに参加するか、近日中に出版される私の本「森の幼稚園:シダーソングウェイ」を購入するのが良いでしょう。(八月中旬にはハードコピーまたは電子ブックなどで利用可能です。)(訳注:すでに出版されているようです。http://www.amazon.com/Forest-Kindergartens-The-Cedarsong-Way/dp/0615849202)
両親はどのように、その地域の森の幼稚園を探せばよいですか?また、米国では、森の幼稚園に対する政府の承認の制度はありますか?
私は、いつも両親に、地元の公園地区、オーデュボン協会(訳注:アメリカの環境保護団体の名前)、土地信託や自然保護区の団体を尋ねるようにアドバイスします。森の幼稚園は、まだ、数が少なく、お互いに間隔も離れていますが、ますます多くの自然ベースのプレスクールや森の幼稚園が設立されるでしょう。
いいえ、政府の承認制度はありません。
エリンさん、有難う御座いました。