こんにちは。物心つく前からアトピーをわずらい、以後、40数年アトピーと戦っている出雲ゆき子です。アトピー症状がひどくなって皮膚科に行くと、塗り薬を処方されるのが一般的ですよね。乾燥がひどい場合は、塗り薬と一緒に保湿剤も処方されることがあります。
しかし、病院ではなく民間治療で治そうとすると、それこそ星の数ほど治療法があります。卵や小麦粉といったアレルギーを引き起こすことがある食べ物を避けたり、海水に何度も体を浸したり、化学繊維が入った衣類を避けたりと、さまざまなアプローチでアトピーの症状を緩和しようとします。中でも、食べ物からアトピー症状の改善を目指す方法は多いですよね。アトピーの子供のためのお菓子も、自然食のお店や大きめのスーパーマーケットで売られています。これらのお菓子は本当においしいのか探ってみました。
アトピーっ子用のお菓子ってどんなお菓子?
近年、さまざまなメーカーからアトピー患者用のお菓子が売られています。しかし、アトピーの根本的な治療法がいまだ確立していないこともあり、アトピー患者用のお菓子と一口に言っても、特に基準があるわけではありません。
小麦粉が入っていないお菓子が多い
「アトピー患者向け」という風に売られているお菓子は、小麦粉が入っていないことが多いですね。小麦粉の代わりに米粉が使われていることが一般的です。
小麦粉を食べるとアトピーの症状が悪化するというデータはありませんが、小麦粉に含まれるグルテンを摂取するとかゆみや頭痛、疲労感、便秘などの不快な症状が表れる「グルテン不耐性」の人は多いです。そのため、アトピー患者だけでなく、身体がかゆくなりやすい人も、小麦粉を避けて症状を緩和しようという動きがあります。
卵が入っていないお菓子も多い
卵も、アトピー患者には特に良くない食べ物というわけではありません。しかし、卵に対してアレルギー症状を感じる人もいますし、特に小さなお子さんは卵を食べて不調を感じることが多いです。卵を使わないクッキーやケーキもありますので、卵アレルギーのお子さんには卵不使用のアトピー患者用のお菓子を与えてもよいですね。
乳製品不使用のお菓子
小さなお子さんは、卵アレルギーのことも多いですが、牛乳や乳製品に対してアレルギー症状がおこることも多いです。ちょっとした刺激物でも刺激に感じることがあるアトピー患者には、アレルゲンとなることが多い牛乳や乳製品が入っていない食べ物が良いのかもしれませんね。
アトピー患者用と記されたお菓子は、牛乳や乳製品が不使用になっていることが多いです。牛乳に対してアレルギー症状を感じていない人も、牛乳や乳製品が含まれていない食品を食べると調子が良くなるかもしれません。何に対して不調を感じているのかわからない人も、卵や小麦粉、乳製品などのアレルゲンとなりうる食べ物が入っていないお菓子を選んでみてはいかがでしょうか。
化学調味料や保存料などの人工的な成分を使わないお菓子
化学調味料や保存料などの人工的な成分を一切使わないお菓子も、アトピー患者用として売られていることがあります。アトピーの患者さんはさまざまな刺激に敏感なことが多いので、化学的に合成された成分を体内に取り入れると、かゆみや肌荒れなどの不快な症状が出てしまいやすくなるのです。
アトピー患者の方はもちろん、自然食を目指したい人にも、化学調味料や保存料を使わないお菓子はおすすめです。ただし、保存料を添加していないため賞味期限が短くなってしまいますので、その点はご注意くださいね。
おいしいものはあるが・・・
結論から言うと、アトピー患者用のお菓子はおいしくないわけではありません。お菓子とはもともと楽しみのために食べるものですから、食事のように「食べないと生命を維持できないもの、食べなくてはならないもの」ではありませんよね。だから、ある程度おいしくなくては、わざわざ買って食べる人がいなくなるでしょう。そのため、どのアトピー患者用のお菓子も、ある程度はおいしい、言い換えれば「まずくはない」のは事実です。
しかし、他のお菓子もあるという状況で、わざわざアトピー患者用のお菓子を選びたくなるほどにはおいしいわけではありません。「アレルゲン不使用って信じられないほどおいしい」とパッケージに書かれているお菓子であっても、「このお菓子を何度も食べたい」と思わせるほどに美味しいお菓子に私は出会ったことはありません。
小麦粉や乳製品、卵のおいしさを知っているから?
もちろん、どのお菓子メーカーやお菓子屋さんも、少しでもおいしいお菓子を作ろうと努力しているわけですから、おいしくないはずはないのです。それでも私が「あまりおいしくない」と感じてしまうのは、小麦粉をふんだんに使ったお菓子のおいしさ、卵や牛乳、乳製品を使ったお菓子のおいしさを知っているからだと思います。
小さなころから小麦や卵、乳製品を避けてきた人なら純粋にアトピー患者用のお菓子を食べて「おいしい」と思えるかもしれませんが、小さなころから好き嫌いなくなんでも食べてきた私には「何か物足りない味」になってしまいます。卵でしか出せないコクや乳製品でしか出せないまろやかさは、卵や乳製品の代替物ではどうしても表現できないのです。
代替物以外のお菓子にも注目してみよう
小麦粉や卵、乳製品の代替物は、所詮、代替物です。代替物は元となるものを超えることはほぼ不可能ですので、どうしても「卵には似ているけれども卵の効果や味には及ばない」のです。
しかし、代替物ではないお菓子なら、アトピー患者用のお菓子であってもおいしいものはたくさんあります。例えばサツマイモは濃厚な甘さが特徴の食べ物ですが、卵や乳製品などのアレルギーを引き起こす食べ物に過敏に感応する人でも食べられます。代替物ばかりで作られたお菓子を食べるよりは、代替物を使わないオリジナルの食べ物を食べる方がおいしいですよね。サツマイモやクリ、カボチャなど、天然の甘味があり、なおかつアレルギー症状を引き起こしにくい食べ物をお菓子として選んでみてはいかがでしょうか。
アトピーの子供のお菓子選び
アトピーや食べ物アレルギーがある子供には、つい、食べ物を選びに選んで与えてしまいますので、子供の食生活が偏ってしまうおそれがあります。アレルギー症状が出なさそうな食品だけを選ぶと、いつも似たり寄ったりの食材で作った代わり映えのしないメニューになってしまうでしょう。
しかし、偏食しすぎると、栄養バランスが悪くなり、かえって体の健康を損ないます。偏食しすぎないようにどのようにお菓子を選べばよいのでしょうか。
アトピー=食べ物アレルギーではない
アトピーの人の中には特定の食べ物に対してアレルギーを抱えている人もいます。しかし、すべてのアトピー患者が食べ物に対してアレルギーを持っているわけではありません。アレルギー症状が出ることが分かっていない限り、さまざまな食べ物をまんべんなく食べるようにしてくださいね。
おいしさを求めるなら代替品よりオリジナルを
特定の食べ物に対してアレルギーがあるのなら、その食べ物を使用しないお菓子を食べるのは良いことです。しかし、さまざまな味を知っている人がアトピー患者用のお菓子を食べてもおいしいとは感じにくいですし、時折アトピー患者用のお菓子を食べるだけでは何の効果も得られません。おいしさとアレルギー回避を両立したいなら、代替品ではなくオリジナルの食べ物を食べるようにしてくださいね。