こんにちは。物心つく前からアトピーをわずらい、以後、40数年アトピーと戦っている出雲ゆき子です。アトピーって、かゆいんです。しかし、アトピーの嫌なところは、かゆみだけではありません。「お洒落したい」という気持ちすら、根本的に崩されることがあるのです。アトピーがどんなにお洒落心を邪魔するのかまとめてみました。
フケ?いいえ、皮膚の粉です!
アトピーの中でも乾燥が強いタイプの人は、黒い服に対して抵抗感があるかもしれません。かく言う私も極乾燥肌タイプのアトピーですので、特に乾燥が激しくなる冬場は、黒い服を着るのをためらいます。
理由は1つ。乾燥して粉状になった皮膚がフケのように洋服につくんですよ!とりわけ乾燥がひどい首回りや袖周り。真っ白い粉が飛び散っています。顔周りにも粉は吹いていますから、肩回りに白い粉が飛び散るだけでなく、髪の毛にもつきます。自分でも「これ、フケ?」って間違うことも多々あります。きっと、周りの人も「うわあ、あの人、フケ多すぎ!汚い」って思っているんでしょうね。
タイツの裏側が白いのもお約束
色の濃いタイツを履くと・・・。もう、大体わかりますよね。脱いだときに裏側にびっしりと白い粉がついています。私の大切な皮膚がポロポロと剥がれて、タイツの裏についているのです。乾燥タイプアトピーの人にとっては、どんなに急いでいる場合でも、選択の時にタイツを裏返すのは必須です。
白シャツに血痕が!日常茶飯事ですから
夜中にアトピーでかゆくなると、知らない間に患部をひっかいてしまいます。もちろん、ひっかくと血が出ます。アトピーの人にとっては、パジャマや布団に血痕がついているのは日常のことです。
日中もかゆみが尋常なく強くなることがあります。そんなときは、「掻かないでおこう」と決意していても、いつの間にか掻いてしまっているんですよね。もちろん、洋服には血痕が。特に白いシャツを着ているときは目立ちます。白シャツを着る人も多いと思いますが、制服で白シャツを着るようにと指定されている学校もありますよね。悲惨です。アトピーが深刻なときは、毎日、流血しながら学校に通わなくてはならないのです。
セーターって痒いよね
白シャツも黒い服も、できれば避けたいアトピー女子。特に乾燥と流血がひどくなる冬場は、着るものに苦労します。冬場に着たい服といえば、毛足の長いふんわりとしたセーター。だぼっと萌え袖で着れば、華奢さが強調されて、可愛さ5割増し間違いなしです。
しかし、毛足の長いセーターは、アトピーの人にとっては非常に難易度が高いアイテムなんです。繊維の先が皮膚を刺激し、かゆみが強まるんですよね。オーガニックコットン100%のセーターも試してみたんですが、細かな繊維が皮膚を刺激してかゆみが強まるのは同じでした。ウールのものよりも若干ましな気もしましたが、やはり繊維の刺激は、かゆみを増上させてしまうのです。
マフラーも痒いよね
毛足が長い衣類は、基本的にはアトピーの人にとって難易度が高いです。冬場に不可欠なマフラーも、もこもこしている可愛らしいものは鬼門です。「どうせ私が巻いても痒くなるだけでしょ?」ということが長年の経験で分かっていますから、最近ではもこもこしたマフラーを見るだけでも痒くなります。
タイトな服も着られない
タイトな服と言っても、身体にぴったりとくっつくようなタイトな服ではないですよ。普通のパンツやスカートなど、腰回りが体に沿うタイプの服です。そんな普通のパンツやスカートも、アトピーが深刻なときにはかゆみの原因になってしまうのです。腰回りに帯状疱疹のようなものが現れ、我慢できないくらいかゆくなるんですよね。そんなこんなで、一年のほとんどをウエストが分からないワンピースを着て過ごしています。
メイクが乗りません!
アトピー女子が悩むのは、着る服だけではありません。メイクも悩みどころです。最近では、アトピーの人のためのスキンケアも出てきましたので、化粧水や乳液などの基礎化粧品で困ることは減ってきました。しかし、問題はメイクアップです。アトピーで皮膚が極端に乾燥していると、メイクが全然乗らないのです。
ファンデーションを塗るとしわが目立つ
しっかりと基礎化粧品で保湿をしてから、メイクアップ下地を塗り、ファンデーションを重ねます。ちゃんと手順を踏んでいますし、もちろん、化粧品だってある程度高価なものを使っています。
なのに、ですよ?ファンデーションを塗ると、途端にしわが目立つのです。ファンデーションを塗らないときには見えなかったしわが、ファンデーションを塗るとくっきりと目立つようになるのです。乾燥しすぎている部分にファンデーションが入り込み、しわの深さを強調してしまうんですね。どうですか?メイクをする気持ちも失せますよね!
ノーファンデで外出したいけど難しい
できればファンデーションをしたくないですよ。ファンデーションを塗るとしわが目立って、すっぴん+10歳になってしまうんですから!
しかし、ファンデーションをしないといけない機会って意外に多いんですよね。保護者会とか子供のお稽古の付き添いとか、周りがノーファンデ・ノーライフのお母さまばかりなので、メイクをしていかないという選択肢がないんですよ。一度、ノーファンデで行ったところ、何人ものお母さまから「今日はお忙しかったの?無理をしないでくださいね。私が代わりにお子さんのお迎えに行きますから」と同情(?)の言葉をいただきました。
きっと他のお母さま方の頭の中では「化粧をしない=化粧ができないほど忙しい」という方程式しか浮かばないのでしょう。それ以来、老けることは分かっていながらも、ファンデーションを塗って行くようにしています。
リップは手ではがせます
ファンデーションだけ塗って、リップを塗らないというわけにはいきません。血色の悪さには定評がある私ですので、ファンデーションだけ塗った状態でいると、老けているというのを超えて、あの世に行っているような顔になってしまうのですから。
しかし、唇って乾燥しやすいパーツですよね。特別に乾燥肌というわけではない人も、特に冬場は唇が乾燥してしまいます。アトピーかつ超乾燥肌の私も、常に唇は乾燥しています。こまめにリップクリームを塗っていますが、それでも油断をすると唇に亀裂が入っています。
そんな乾燥した唇に口紅を塗ると、口紅の刺激でさらに乾燥が進んでしまいます。2、3時間絶つと唇がパリパリに割れてきて、ポロポロと唇の皮膚が剥がれてきます。なんか違和感がすると思って唇をティッシュペーパーで吹くと、ティッシュペーパーには口紅の色がついた皮膚の破片がたくさんついてきます。夜まで口紅が唇に残っていたことなんて今まで一度もありません。口紅は、すべて皮膚の破片として闇の彼方へ消えていくのです。
お洒落したいという気持ちすら希薄に
私も中学生~大学生の頃は、「お洒落をしたい」という気持ちが強くありました。しかし、アトピーが私の前に立ちはだかったために、「痒くないか」「血痕がつかないか」「皮膚の粉が目立たないか」の3つのポイントでしか洋服やメイクを選べないようになってしまったのです。アトピー生活が40年も続くと、「お洒落をしたい」という気持ちすら希薄になってしまう・・・。悲しいものですね。