こんにちは。物心つく前からアトピーをわずらい、以後、40数年アトピーと戦っている出雲ゆき子です。幼稚園から高校まで、主にリンデロンVとキンダーベートによる軟膏治療だけを続けてきた私。状況は一進一退で、総体的に秋冬は悪化するものの、春夏はなんとなく調子が良くなり、外用薬を塗れば一応は症状が収まるという状態が18年続いていました。
東京は乾燥している!アトピーにはつらすぎる地域
しかし、大学入学を機に人生初の引っ越しを経験すると、事態は一変します。関西の中でも湿度の高い京都市内に暮らしていたのですが、東京という乾燥地帯に引っ越したことでアトピーは一気に悪化し、毎日の通院治療(注射とクリーム塗布)が必要な体になってしまったのです。
まさに東京砂漠。「こんなに乾燥した土地と知っていたなら、絶対に東京の大学なんか受験しなかったのに!」と思うことも何度もありました。今までは京都特有の湿度の高いべたつく感触が嫌いでしたが、すべての関節の皮膚が切れ、深刻なかゆみと戦う日々が続くと、あのべたつきが懐かしく思われました。
ステロイド成分を体から抜く治療を開始する
東京で初めて通った皮膚科クリニックは、下北沢の自宅からすぐのステロイド治療を実施しない医院でした。毎日、注射(どのような効果があるのかについては、尋ねていなかったため、よくわかりませんでした)を打ち、クリニックのオリジナルクリームを処方してもらって、かゆみが強い場所に塗りこんでいました。
このオリジナルクリームは、おそらく保湿剤のような役割だったと思われます。かゆみが強いときに塗っても、まったくかゆみが収まらず、皮膚炎の状態もまったく変化がありませんでした。しかし、医師には毎日「今まで長い間ステロイドを使ってきたから、ステロイドを体から抜くのに時間がかかっている。1年ほど続ければ、ステロイドを塗らなくてもアトピーのかゆみが収まるようになる」と言われ、「そういうものかな」と信じて通っていました。
やっぱりステロイドは必要?人生初の入院へ
日曜日以外は毎日通ったのですが、依然、アトピーの強いかゆみに悩まされる日々が続いていました。あまりにもかゆくて、夜眠れないという状況が何日も続き、体もいつもだるく、学校にも行きづらくなっていました。
アトピーは体温が高くなるとかゆみが強くなるんですよね。そのため、昼間よりは就寝前、ベッドに入ったタイミングでかゆみが強まり、かゆみに耐えていると眠気が飛んでしまうという悪循環の繰り返しになってしまうんです。
「現在のクリニックが私には合っていないんじゃないか?」と思い、学校内の診療所(学生用の医務室)に通うことにしました。そこに行くなり、「ひどいですね。ちゃんとステロイドのお薬、塗っていますか?」と担当医に尋ねられ、「塗っていない」と答えると、「本格的に薬を塗った方が良いですね。大学病院に入院してください」と、あれよあれよという間に入院手続きをすることになりました。
本当に薬を塗るだけの治療が始まる
「本格的に薬を塗る」ということしか説明されずに、いよいよ入院の日を迎えました。大学病院に行き、パジャマに着替えると、すぐに看護師さんが「シャワーをしてください」と呼びに来ました。なぜいきなりシャワー?と疑問に思いつつシャワーを浴びると、看護師さんが脱衣室に待っていて、「では、今から薬を塗りますね」とアトピー症状が出ている部分すべてにステロイドの軟膏(マイザー軟膏。ステロイドの強度はベリーストロングで、4段階中2番目に強い)を手早く塗ってくれました。
入院はほぼ2週間だったのですが、治療はシャワーを浴びてステロイド軟膏を塗るだけの繰り返して、毎日、朝晩、シャワーとステロイドが続きました。週に1度のみ医師が皮膚状態をチェックしてくれました。2週間が過ぎて、「だいぶ良くなりましたね。背中の湿疹もほぼ完治していますので、あとはご自分で薬を塗ってくださいね」と言われ、退院が決まりました。
本当に外用薬を塗るだけのための入院。アトピー以外はこれといって悪いところがない私でしたので、人生初の入院となりました。入院中はかゆさに悩まされることがなく、快適に過ごすことができ、良い経験ができたと思います。
食事は普通食!納豆のにおいにやられる
入院前にアレルギー検査を受けたのですが、食品アレルギーはまったくないという結果が出ていましたので、入院中の食事は普通食でした。関西生まれの私は今まで納豆を見たことがなかったのですが、毎朝、納豆が出て、そのにおいの強さに閉口しました。入院前は「一人で食事はさびしいから、テレビルームで食べよう」と思っていたのですが、みんなが納豆をかきまぜるときの強烈なにおいで早々とノックアウトされ、個室で納豆抜きのご飯を食べることを選ばざるを得ませんでした。