こんにちは。物心つく前からアトピーをわずらい、以後、40数年アトピーと戦っている出雲ゆき子です。40年以上もアトピーが治らないというと、「適切な治療を受けてこなかったんじゃ?」と思われるかもしれませんが、そんなことはないんです!さまざまなアトピーに効くといわれる治療法を試してきました。今までに試してきた治療法を時系列で紹介します。
とにかくステロイド!軟膏時代
幼稚園に入園する前からの生粋のアトピーっ子ですが、幼稚園~中学ごろ(1970年代~80年代)は、とりあえずいつも総合病院の皮膚科で軟膏を処方してもらっていました。体にはリンデロンV(ステロイド強度はストロング。4段階中3番目に強い)、顔にはキンダーベート(ステロイド強度はミディアム。4段階中もっとも弱い)の軟膏を処方されることが多かったです。
2000年を超えてからは、軟膏を塗っても良くならないときは、同じステロイド強度の薬から別の種類の外用薬を選んで処方されることが多くなりました。これは、ステロイド強度は同じでも、外用薬の種類によって効き方が異なるため、合わないときは別の薬品を処方するのが一般的な対処法となっているからなのですが、1970~80年代は、「この薬を塗っても、あまりよくならない気がしますが・・・」と訴えても、「十分な強さのお薬ですから、こまめに塗ってくださいね」と言われるだけで、別の医薬品に変えてくれることは滅多にありませんでした。
顔に体用の軟膏を塗る
アトピーの症状がひどくなったときは、顔にキンダーベートを塗ってもまったく効果はありません。軟膏特有のべたべた感が気持ち悪いだけで、かゆみが返って強まるような気持ちになりました。そこで、医師からは「体の薬を絶対に顔に塗らないように」と念を押されていたにも関わらず、勝手にリンデロンVを顔に塗り、かゆみの鎮静化を図っていました。現在の治療法では、期間を限定すれば顔に強いステロイドを塗るのもアリなのですが、70年代、80年代では「短期間なら体用の薬を顔に塗っても良い」と指導してくれる医師はいなかったように記憶しています。
保湿も日焼け止めも何もしなかった中高時代
軟膏だけの治療を続けた児童期。相変わらずアトピー症状は深刻で、秋冬になると耳や口が切れ、手足の関節部分(内側)がガサガサになり、常にどこかしら出血しているのが自分にとって普通のことでした。
また、乾燥肌もさらに深刻になり、周りの友人たちはニキビに悩まされていても、ニキビどころか常に粉が吹く(アトピーの人に多い症状。秋冬になると肌が乾燥しすぎてポロポロとめくれ、粉が吹いたような状態になる。毎日、洗顔・入浴しても粉が吹くので、決して不潔にしているわけではない)状態で、カサカサとした皮膚にかゆみを潜ませて生活していました。
無知って怖い!スキンケアをまったくせずに大人になる
ところで、現在では、アトピー性皮膚炎の人には、「乾燥肌を改善することでアトピーの症状が緩和する」ことや「紫外線も皮膚への刺激になり、アトピー症状を悪化させる要因になる」ことは一般的に認知されています。そのため、ステロイド入りの軟膏を塗るだけではなく、普段から、保湿剤や日焼け止めを使ってスキンケアをするのが常識となっています。しかし、80年代~90年代にはそのような知識は一般的ではなく、反対に「病院で処方してもらったもの以外を皮膚に塗って、さらに症状が悪化したら困る」と考え、保湿クリームも日焼け止めクリームも一切塗らないで生きていました。
美容の観点からはもちろん、アトピー治療の観点からも、最悪な状況ですよね!その後、大学へと進むタイミングでさらにアトピー症状が悪化するのですが、まったくスキンケアをしていないから、ある意味、当然と言えます。皆さんはこのようなことがないよう、しっかりと保湿ケアと紫外線対策をしてくださいね。
関東は乾燥している!アトピーの人生最大の悪化
かゆみと軟膏塗布を繰り返し、高校を卒業しました。大学進学のために、関西から関東へと引っ越しをしたのですが、ここで人生最悪の皮膚状態になってしまったのです。
東京って、乾燥していますよね?東京近郊で生まれた方は気づかないと思われますが、関西の中でも湿度が高い京都市内で生まれ育った者にとっては、東京駅に着いたとたん、湿度の違いを肌で感じました。乾燥するとアトピーは悪化します。親戚の家から歩いてすぐの下北沢のマンションを借りたのですが、大学に行くよりも前にとりあえず親戚に評判の皮膚科を教えてもらい、毎日、治療を受けることにしました。
そのクリニックはアトピー治療に通う患者でいつでも混んでおり、なんとなく安心したのを覚えています。「ステロイド薬は排除しなくてはいけない」という治療方針のもと、毎日、注射を打ち、オリジナルのクリーム(保湿剤程度のアトピー治療効果が薄いもの)を塗って日々を過ごしました。