こんにちは。物心つく前からアトピーをわずらい、以後、40数年アトピーと戦っている出雲ゆき子です。諸事情から韓国・ソウルで暮らすことになったのですが、人生において最悪ともいえる症状が出てしまうことになりました。さまざまな原因が考えられますが、もっとも大きいものは空気の乾燥と思われます。
とにかく乾燥するソウルの生活
京都の湿った空気に慣れ親しんだわたしにとって、東京も乾燥が強く、生活しづらい土地といわざるを得ませんでした。アトピーを長く患っている方ならうなずいてくださると思いますが、乾燥はアトピー症状を悪化させるので、特に秋冬が近づくとかゆみが増すんですよね。
しかし、東京の乾いた空気なんて、ソウルに比べればかわいいものです。ソウルでは例えば濡れたタオルを室内に置いておくと、置いた形のまま固まるんですよ!乾燥して!しかも、冬だけでなく春も秋も乾燥していますので、食器を乾かさずに食器棚に入れる人も多いんです。食器棚に入れると数時間後には完璧に乾燥していますから、食器を拭く必要性がないのです。
痒い!切れる!
そんな乾燥した空気のソウル。アトピーはいきなり悪化しました。乾燥して肌荒れし、荒れた部分から亀裂が入って皮膚が裂けます。かゆみで眠れないことも1度や2度ではありませんでした。
日本から持ってきたマイザー軟膏がなくなりそうになったある日。知り合いやインターネットで情報を集め、とにかくアトピー治療を専門に実施している病院に行くことにしました。
基本は薬物治療
まずは家から近い、アトピー治療で名高い江南区の皮膚科に通うことにしました。病院の内部は日本の平均的なクリニックと同じで、入り口で受付を済ませ、担当医がいる診療室の前で名前が呼ばれるのを待ちます。簡単な問診をしてから患部を観察し、処方箋を書いてもらいます。
薬を受け取るシステムも日本と同じで、クリニックから受け取った処方箋を持って、近くの薬局に提出します。薬局では薬剤師に説明を受け、薬物を受け取り、保険適用後の薬代を支払います。初めに通ったクリニック(約1年通いました)では、いつも飲み薬1種と軟膏2種(顔用とからだ用)が処方されていました。
セレブ気分で通院
そういえば、いつも薬局で「ゆき子ヤン」と名前を呼ばれていました。○○さんの意味で「シ」(例:ゆき子シ)を使うことは多いのですが、「ヤン」と呼ばれたことはないのでどのような意味なのか気になり、知り合いに尋ねてみたところ、漢字で「嬢」と書き、「お嬢さま」というニュアンスで使うのだそうです。なんとなくそれを知ってからは気分よくクリニックと薬局に通うことができました。
飲み薬の正体は?
軟膏は、日本でも使用していたキンダーベートとマイザーでしたので、安心して使用できました。一方、飲み薬はアトピー治療用のものではなく、睡眠導入剤でした。わたしが診療中に「かゆくて眠れない」ということを訴えたため、すぐに眠れるように副作用がほとんどない軽い睡眠導入剤を処方したとのことでした。
漢方治療院にも行ってみた
1年通ったのですが、皮膚状態は一進一退であまり劇的な治療効果は得られませんでした。そこで、次は漢方(韓国では韓方(ハンバン))治療院に行ってみることにしました。治療院と言っても、普通の漢方薬局に簡単な椅子が置いてあるだけの構造で、漢方医師が問診によりその場で漢方を調合してくれます。
問診では「いつが特に痒いのか」「夜はよく眠れるのか」「夜にトイレに行きたくなるか」「食事はどのようなものを好むか」といった風に、アトピーに関係あることよりもライフスタイルについての質問が多かったです。問診後、漢方を調合してくれ、毎日何度でも煎じて飲むようにと言われました。
においが強烈!にがみも強い
処方してもらった漢方はぱっと見た感じは、5~7割が柿の葉でできているようでした。あとは棗やクコの実のような物質も入っているようでした。言われたとおりに水にかけ、水が半量になるまで煮詰めて、毎日数回に分けて飲むことにしたのです。
とにかくにおいが強烈で、煎じている間に家中が不快なにおいで充満してしまい悲しくなりました。味も非常にパンチのあるにがさでした。「これを毎日飲むのか・・・」と目の前が真っ暗になる思いがしましたが、アトピー症状が改善させるはずだと自分に言い聞かせ、数ヶ月続けて飲みました。
わたしには漢方は合わないの?
化学的な医薬品よりもはるかにナチュラルな漢方。しかし、漢方を飲むようになってから、手足の末端が熱くなり、かゆみも強くなっていきました。どうやら私には漢方は合わなかったようです。においにも味にも耐えたのに・・・と思うと悔しい気持ちがしましたが、かゆみには引き換えられません。3ヶ月で漢方治療を止め、最初に通った皮膚科クリニックに再度通うことにしたのです。