かき氷のシロップの鮮やかな緑や青、赤い色。夏らしいわくわくした気持ちにさせる色ですが、鮮やか過ぎて健康に害はないのかと気になる人も多いのではないでしょうか。かき氷のシロップに使われる合成着色料の危険性について探っていきましょう。
着色料とは
食品の自然な色は、時間が経過することで褪せてしまいます。美味しそうな見た目が損なわれ、食欲も購買意欲も失わせてしまいます。食品の美味しそうな見た目を維持するために添加される物質が、着色料です。着色料を配合することで、食品が美味しそうに見えるだけでなく、鮮度が高いようにも見えるのです。
天然の動植物を由来とする天然着色料
着色料には、化学的に生成される「合成着色料」と天然由来の「天然着色料」の2つの種類があります。天然着色料は古来利用されてきたものも多く、例えば、赤や黄色い色を付けるためのベニバナ(サフラン)やターメリック(ウコン)、赤茶色を加えるためのカラメル(砂糖などを加熱処理して生成)などは日本だけでなく海外でも使用されて来ました。
その他にも、コチニール色素などの動物由来の天然着色料もあります。コチニール色素はpHを調整することでオレンジ色や赤紫色、深紅などのさまざまな色を出すことができますので、清涼飲料水や菓子類、食肉製品、魚肉加工品などに使用されています。
化学的に大量生産される合成着色料
一方、合成着色料は、天然植物や動物から作られるのではありません。合成着色料にもいくつもの種類がありますが、食用として使用されることが多いのが「タール系色素」と呼ばれる合成着色料です。タール系色素は石油を精製する際に生産されるナフサを原料としていることが多く、食用以外にも化粧品や医薬品などにも使われることがあります。
タール系色素は色の種類が多い
タール系色素の特徴として、色の種類の豊富さを挙げることができます。赤や青や緑など数多い色があるだけでなく、組み合わせればさらに複雑かつ多様な色を作り出すことも可能です。また、タール系色素には、長時間鮮やかな発色が続くという特徴もあります。天然由来の色素の中には時間経過と共に変色するものもありますが、タール系色素は鮮やかな色が長持ちしますので、時間が経っても着色料添加時と同じ色合いをキープすることができるのです。
着色料を添加してはいけない食品もある
食欲を増進させ、見た目の美しさも演出する着色料。厚生労働省が認可した着色料はすべて食品に添加しても問題がないと判断されたものですが、どんな食品に添加しても良いというわけではないのです。
生鮮食品には着色料を添加できない
生鮮食品に着色料が添加されていたらどうなるでしょうか。わたしたちは目で食品の新鮮さや状態を判断することができませんし、誤って腐った食品を購入する可能性もあります。
そのようなトラブルを回避するためにも、厚生労働省では、鮮魚や野菜、食肉などの生鮮食品に着色料や保存料を添加することを禁じています。生鮮食品には着色料などの人工的なものは一切含まれていませんので、消費者各自が自分の目で商品を判断するようにしましょう。
かき氷のシロップに使われる合成着色料
かき氷のシロップには、長時間保存しても色あせない合成着色料「タール系色素」が使用されていることが一般的です。タール系色素は、どのような種類があるのでしょうか。
食用に指定されている12種類のタール系色素
タール系色素は種類が多いことも特徴ですが、食品に使用できるタール系色素は12種類しかありません。いずれも安全性が確認されていますので、安心して摂取することが可能です。
生鮮食品以外にも添加が禁止されている食品もある
着色料は、大原則として、生鮮食品に添加することが認められていません。しかし、タール系色素に限れば、生鮮食品以外にも添加が禁止されていない食品が多数あります。かき氷のシロップや菓子、野菜の漬物、食肉加工品、魚肉加工品には使用できますが、以下に示す特定の食品にはタール系色素を添加することができません。
茶、海苔類、豆類、味噌、麺類、わかめ類、こんぶ類、醤油、食肉漬物、魚肉漬物、カステラ、スポンジケーキ、きな粉 等
タール系色素の中には発がん性があるものも!
タール系色素の中には、発がん性が指摘されたものもいくつかあります。しかし、研究によって発がん性が証明されたものは食用のタール系色素から除外されていますので、12種のタール系色素に発がん性があるわけではありません。
タール系色素全部が危ないわけではない
タール系色素の一部に発がん性があることは事実ですが、食用として認可されているタール系色素は、他の添加物と比べて有意に発がん性が高いことは証明されていません。ただし、海外の食品には、日本で認可されている12種以外のタール系色素が使用されている可能性がありますので、かならず食品表示をチェックしてから食べるようにしてください。