早春から店頭に出回る“びわ”。甘くやわらかい香りが特徴のフルーツです。そのままびわの実を食べても美味しいのですが、味だけでなく健康に及ぼす効果にも注目してみてはいかがでしょうか。びわの葉の驚くべき特質と使い道について見ていきましょう。
びわの葉も“食品”
厚生労働省の生鮮食品表では、びわの実とは別にびわの葉も食品として扱われております。びわの実は「びわ」に分類されますが、びわの葉とびわの樹皮は「その他の野菜」と分類されています。スーパーやデパートのフルーツコーナーでびわの葉を見かけることはありませんが、びわの葉も食品の1つだと言えるのです。
仏教経典や中国古代の医学書にも記載されている“びわの葉”
中国では、古来びわは万能の果物・樹木として認識されていました。果実がおいしいだけでなく、発芽が早く育てやすいこと、葉がほぼ年中生い茂って木陰を作ってくれること、乾燥させると枝や幹が硬くなり杖にも最適であることなどの優れた点が多くあり、仏教経典には“大葉薬樹”として紹介されています。
また、古代中国の医学書にも、びわの実や葉の有用性について記されていることが少なくありません。特に葉は、体内の不要な水分を排出する作用や鼻づまりの解消、咳を鎮静化する作用、胃を丈夫にする作用など、数多くの優れた作用がある物質として知られています。
びわの葉は漢方薬の1つ
現在でも、びわの葉は漢方薬の1つとして使用されています。胃が弱い人や咳・鼻づまりなどの症状に悩まされている人、むくみがちな人には、びわの葉が処方されることがあります。
民間療法にもびわの葉
びわの葉は、民間療法にも使われることがあります。例えば、びわの葉を煎じた成分を布に含ませてあせもなどの皮膚炎がある場所に湿布をすることや、お風呂に入れて全身に成分を浸透させることがあります。
びわの葉には本当に効果があるの?
漢方や民間療法の世界では、びわの葉は有用な植物です。しかし、本当に、びわの葉に有用な効果を期待できるのでしょうか?びわの葉に含まれる成分と期待できる効果について探っていきましょう。
皮膚や粘膜の健康維持効果
びわの葉には、ビタミンAに変換されるβカロテンが豊富に含まれています。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない成分ですので、びわの葉を皮膚炎解消に用いるのは根拠があることだと言えるでしょう。
生活習慣病予防効果
また、びわの葉には、ポリフェノールも豊富に含まれています。ポリフェノールには動脈硬化をもたらす酸化LDL(悪玉コレステロールとも呼ばれます)の生成を抑制する効果がありますので、ポリフェノールを豊富に含むびわの葉を摂取することで、動脈硬化や動脈硬化が招く生活習慣病を予防することも期待できるのです。
びわの種の粉末は危険!食べないように注意して
びわの葉と樹皮、びわの実は、厚生労働省も認める“食品”です。しかし、びわの種は危険な物質として指定されていますので、決して食べないようにしてください。びわの種や熟していないびわの実には、アミグダリンなどのシアン化合物が含まれていますが、シアン化合物とは青酸カリに代表されるように有害物質ですので、安全性が認められている一定量以上を摂取すると健康被害が起こることもあるのです。
注意すべきバラ科の種と熟していない果実
びわの種や熟していないびわの実以外にも、びわと同じくバラ科植物の種や未熟な果実にはシアン化合物が含まれています。例えば、アンズやさくらんぼ、モモ、スモモ、ウメなどの種や未熟な果実には、シアン化合物が含まれていますので、できれば避けることが望ましいでしょう。
とは言っても、1個や2個バラ科の種を食べたからといって中毒症状が起こることはありません。また、しっかりと熟したバラ科の果実には、シアン化合物はごくわずかしか含まれていませんので、常識的な範囲内で食する分には健康被害を気にする必要もありません。
種子を粉末にするとシアン化合物を大量摂取する可能性が!
びわの種やその他のバラ科の植物の種を大量に食べることは、現実的にはあまり考えられません。また、未熟な果実を、シアン化合物の中毒症状が出るほどに大量に食べることもあまりないでしょう。しかし、種を粉末にして食品とすると話は別です。一度に大量に食べることも可能ですし、誤って健康に被害を与える程度に摂取してしまう可能性もあります。びわの種などのバラ科の食物の種子の粉末は、避けるようにしてください。
びわの葉で健康維持を目指そう
びわの葉を摂取することで、動脈硬化や動脈硬化から引き起こされる生活習慣病の予防を期待することができます。もちろん、生活習慣病の予防には、バランスの良い食生活や適度な運動などの健康的な習慣が基本であることは言うまでもありません。健康的な習慣を続けつつ、びわの葉や健康に良いと言われる成分を積極的に摂取することで、より一層の健康維持を目指していきましょう。
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