肉は、そのままの状態では長期保存できません。そのため、ソーセージやハムなどの肉加工品には、長期保存を可能にする添加物が入っていることが多いのです。肉加工品に使用されることが多い添加物とその危険性について探っていきましょう。
ソーセージやハムに使われることが多い添加物一覧
ソーセージやハム、ベーコンなどの肉加工品には、多くの添加物が入っています。スーパーなどで販売されている一般的な肉加工品には、次の添加物が入っていることがあります。
リン酸塩(ナトリウム)
ソーセージやハムなどの瑞々しさを保つために、リン酸塩(ナトリウム)が添加されることがあります。リン酸塩(ナトリウム)は結着補強剤としての効果もありますので、添加することで肉の結着性が高まり、弾力のある歯ごたえを味わうことができるようになります。
ソルビン酸
ソーセージやベーコンに細菌などの微生物が繁殖することを防ぐために、ソルビン酸が添加されることもあります。ソルビン酸などの保存料を添加することで、微生物が繁殖しやすい食肉を腐りにくい食品に加工することができるのです。
ビタミンC
ビタミンCが添加されている食品は多いですが、ほとんどの場合、ビタミンとしての効能よりもビタミンCの持つ強い還元力が目的で添加されています。還元力が強いということは酸化防止力に優れると言うことと同義ですから、ビタミンCを添加した食品は、酸素によって変色したり味や風味が変化したりしにくくなります。
フマル酸
酸性が強くなると、細菌が繁殖しにくくなり保存性が高まります。フマル酸をpH調整剤として添加することで、食品が長持ちするようになるのです。
カゼイン(ナトリウム)
赤み部分と脂肪部分が分離しないために、カゼイン(ナトリウム)などの乳化剤を添加することがあります。また、カゼイン(ナトリウム)を添加することで、工場生産時に発生しやすい気泡の生成の抑制も可能になります。
コチニール色素
加工肉の見た目のおいしさは、色によって大きく左右されます。コチニール色素で赤みをつけることで、ハムやソーセージがより美味しそうに見えます。なお、コチニール色素とは、コチニールカイガラムシやラックカイガラムシと呼ばれる赤い色素を持つ生物から抽出した色素です。pHを調整すると赤みが変化し、オレンジ色から深紅、赤紫などの幅広い色合いを出すことができます。
危険性が高い亜硝酸塩(ナトリウム)
保存性や見た目の美味しさを高めるために、ハムやソーセージなどの加工肉食品には添加物がたくさん注入しています。もちろん、日本で流通している商品に添加されている添加物は、いずれもが厚生労働省で認められた成分ですし、なおかつ使用基準を満たして添加されています。
しかし、厚生労働省で安全性が認められた成分が使用基準を満たして注入されていたとしても、特定の添加物が入った食品を大量に摂取してしまうならどうなってしまうでしょうか。使用基準量以上の添加物を身体に摂り入れることになり、健康に良くない影響を与える可能性があります。ハムやソーセージに添加されることが多い添加物の中でも、大量摂取による健康被害が懸念されている「亜硝酸塩(ナトリウム)」とはどのような添加物なのか探っていきましょう。
亜硝酸塩(ナトリウム)とは
亜硝酸イオンを持つ物質を「亜硝酸塩」と呼びます。ナトリウムイオンと結合し、亜硝酸ナトリウムの形で食品添加物として使用されることが多いです。
亜硝酸塩(ナトリウム)の効果
亜硝酸ナトリウムは、ハムやソーセージの色を鮮やかにする発色剤として添加されることが多いです。しかも、食肉中の細菌繁殖を抑制する効果もありますので、腐敗防止も期待できます。
亜硝酸塩(ナトリウム)の危険性
発色剤や防腐剤として添加される亜硝酸ナトリウムですが、食肉中に含まれるアミンと結合して発がん性物質を形成する可能性があり、健康への被害も懸念されています。しかし、厚生労働省では、硝酸塩の摂取量の大半はハムやソーセージではなく野菜由来であり、野菜を大量に摂取することによって硝酸塩由来の健康被害は起こり得ないという見解を示しています。
また、厚生労働省では、亜硝酸塩の摂取と健康被害の関係も明らかではないとしています。そのため、亜硝酸塩や含まれる食品に対して、特別な注意を国民に喚起していません。
情報に踊らされないようにしよう!
「発がん性物質」と聞くだけで、「絶対に避けなくてはいけない」「健康を著しく損なう」と頭から思いこんでしまう人はたくさんいます。しかし、本当に発がん性物質なのか、また、摂取しない状態と比較して有意に高い発がん性を示しているのかといった科学的な根拠がない場合も少なくありません。厚生労働省の発表などをこまめにチェックし、マスコミの情報に踊らされることがないようにしたいものです。
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