カレーやゼリー、ケチャップなどの加工食品には、「増粘安定剤」と呼ばれる食品添加物が入っていることがあります。増粘安定剤とはどのような食品添加物なのか、また、本当に安心して摂取できる物質なのかについて探っていきましょう。
増粘安定剤とは
食品の食感や安定性を増すために「糊料」が添加されることがあります。糊料と総称することもありますが、食品の粘り気を増大することを目的として添加される添加物を「増粘剤」、食品の粘性を増すことで成分を均一に安定させるために添加される添加物を「安定剤」、食品をゲル化する目的で添加する添加物を「ゲル化剤」という風に、目的別に言い分けることもあります。
尚、厚生労働省では、定期的に食品衛生法に基づく添加物名を公開していますが、平成26年1月30日の改正リストには、添加物の用途として「増粘安定剤」という言葉が使われていました。しかし、平成29年6月23日に発表された添加物使用基準及び保存基準においては、「増粘剤」や「安定剤」といった目的別の名称を用いず、「糊料」と総称した名前で添加物の用途が記されています。
増粘剤や安定剤の種類
増粘剤や安定剤としての使用が厚生労働大臣によって認められている物質には、以下のものがあります。
カラギナン
紅藻類から抽出されて作られる増粘安定剤に、「カラギナン」という物質があります。ガラクトースやアンヒドロガラクトースなどの多糖類が主成分で、ゼリーやプリン、アイスクリームなどのお菓子やドレッシングなどに使われることが多いです。
キサンタンガム
グラム陰性菌の培養液から製造される増粘安定剤に、「キサンタンガム」という物質があります。カラギナンと同様、グルコースやマンノースなどの多糖類が主成分となっており、グァーガムなどの他の粘性成分と同時に使用することで増粘効果をさらに高めることもあります。キサンタンガムは、ドレッシングやたれ、漬物、冷凍食品などの食品や清涼飲料水に使用されることが多いです。
グァーガム
キサンタンガムと併用されることが多いグァーガム。マメ科の植物であるグァーから作られます。主成分はガラクトマンナンという多糖類です。グァーガムは、アイスクリームやソース、インスタントの麺類に使用されることが多いです。
カルボキシメチルセルロースナトリウム
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)は、食物繊維に含まれるセルロースを工業的に水酸化ナトリウムなどで処理することで得られる増粘安定剤です。水溶性なので、アイスクリームやシャーベットなどの水分の多いお菓子に使用されることが多いです。
ペクチン
オレンジなどのかんきつ類の果皮やリンゴの果皮に含まれている成分、ペクチン。マーマレードやジャムなどのフルーツを原料とした加工品に使用されることが多いです。
増粘安定剤の安全性
日本国内で流通している食品に用いられている増粘剤や安定剤は、すべて厚生労働省によって食品添加物として認可された物質です。安全性についての検査も定期的に実施していますので、摂取し続けることで身体に害がないということが分かっている増粘剤や安定剤しか使用を認められていません。つまり、日本で流通している食品に含まれる増粘安定剤は、すべて安全性について確かめられたものばかりということが出来るのです。
海外からの輸入食品も日本の基準が適用されている
また、日本で安全性が認められた食品添加物以外が添加されている食品は、海外で製造された食品であっても、日本に輸入して販売することができません。そのため、海外の食品でも、日本の店舗で正規に販売している食品なら、日本国内の基準を満たしていると言えるのです。
ただし大量に摂取するときは注意が必要
日本で認可されている増粘剤や安定剤は、すべて安全性が確認された食品添加物です。しかし、それは常識的な量を摂取する場合にのみ「安全だ」と言うことができます。例えば、生きていく上で不可欠な「食塩」も、継続的かつ大量に摂取するなら、健康を損ない、高血圧や動脈硬化などの病気を招くことにもなります。
増粘剤や安定剤も同様です。1つ1つの物質は安全でも、継続的かつ大量に摂取するなら、健康を害することもあります。どのような食材や成分も、何か1つの食材や成分を過剰摂取することは決して健康的な食べ方とは言えません。さまざまな種類の食べ物を、適量に食べることが大切だと言えるのです。
増粘安定剤は危険ではないが…
日本で流通している食品に添加されている増粘剤や安定剤は、すべて安全性が確かめられたものばかりです。しかし、どんなに身体に良い食べ物や成分でも、大量に摂取すると毒物に転じることもあります。増粘剤や安定剤を意識的に避ける必要はありませんが、増粘剤や安定剤が入った食品を習慣的かつ大量に摂取することは避けるようにしてください。
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