妊娠中は、自分が食べたものが自分だけでなく赤ちゃんの栄養にもなりますので、普段以上に食生活に気をつけます。いつもは好き勝手にコーヒーやお酒を飲んでいる人も、妊娠しているときは、「本当に飲んでも大丈夫なのかな?」「赤ちゃんに悪影響はないのかしら?」と不安になるかもしれません。
妊娠中に控えるべき食品はあるのか、また、あるとするならばどのような食品なのか、そして、カフェインやアルコールは胎児に影響を与えないのかについて探っていきましょう。
ビタミンAの過剰摂取は控える
食品安全委員会では、妊娠中、特に妊娠1か月~3か月の間は、ビタミンAの過剰摂取は避けるように注意を喚起しています。ビタミンAは成長促進や粘膜の保持、視覚や聴覚等の機能維持に欠かせない成分ですが、過剰に摂取すると腹痛や嘔吐を催すこともありますので、腸に急激な痛みや変化を与えたくない妊娠中には避けたい成分と言えるでしょう。
また、過剰摂取が慢性化すると、催奇形性や骨粗しょう症につながることもあります。一日の摂取量が600マイクログラムRE(レチノール相当分)を超えないように注意して下さい。特に鶏レバーや豚レバー、うなぎは少量でもビタミンAが大量に含まれますので、妊娠中は常食しないようにしたいものです。
参考:食品安全委員会「ビタミンAの過剰摂取による影響ついて」
大豆の過剰摂取は控える
大豆自体は植物性たんぱく質を豊富に含む優れた食品です。ですが、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きを示す成分ですので、大量に摂取すると胎児への影響がないとは言い切れないことが分かっています。食品安全委員会では、大豆イソフラボンによって胎児にMLL遺伝子関与の白血病に罹患するリスクがあると報告しています。
食事などで大豆を摂取する分には問題はありませんが、サプリメント等の高濃度機能性食品によって大豆イソフラボンを摂取することは、妊娠期は控えておく方が良いでしょう。
参考:食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」
大型魚等に含まれるメチル水銀
食物連鎖の頂点にある魚は、他の魚の体内にあるメチル水銀を摂りこむことになりますので、自然と体内のメチル水銀濃度が高くなります。このメチル水銀は代謝されにくいために身体に蓄積し、有害成分として催奇形性を発揮することがありますので、ぜひとも避けたい成分の1つです。
クロマグロやキンメダイ、メカジキ、メバチマグロなどはメチル水銀濃度が高いと予想されますので、1回に80グラムを食べるとするならば週に1回までと推奨されています。また、クロマグロ等ほどはメチル水銀濃度が高くはないとされるクロムツ、マカジキ、ミナミマグロ、ヨシキリザメも、1回に80グラムを食べるとするならば週に2回までに控えるべきとされています。
良性のタンパク質を含む魚は、妊娠中にも積極的に食べたい食材ですが、メチル水銀が大量に含まれると考えられる大型魚や回遊魚はなるべく避け、近海で採れる小型の魚などを偏らずに食べるようにしましょう。
アルコールも妊娠中は避けておくべき
妊娠中にアルコールを摂取すると、体内の赤ちゃんの発育が不良になったり、中枢神経に障害が生じることで記憶力やコミュニケーション能力に問題を持つようになったりすることがあります。また、目が小さくなったり唇が薄くなったり等、得意的な風貌になることもあります。これを「胎児性アルコール症候群」と呼びます。
どのくらいのアルコールを飲めば胎児性アルコール症候群に罹患するリスクが高くなるのか、また、妊娠中のどの時期にアルコールを摂取すれば胎児が胎児性アルコール症候群になるリスクが高くなるのかについては、個人差がありますので一概に言うことはできません。胎児に悪影響を及ぼすことを避けるためにも、妊娠が分かったら出産するまでアルコールの摂取は避けるようにしたいものですね。
参考:食品安全委員会「妊婦のアルコール飲料の摂取による胎児への影響」
カフェインもできれば避けよう
カフェインを大量に摂取すると、低体重児になる恐れや早産のリスクも高まります。カフェインもアルコールと同様、人によって許容量が異なり、どのくらい摂取すれば胎児に影響を与えるのか、また、どの程度の頻度なら胎児に影響がないのかは一概に言うことができません。
コーヒーが好きな人はデカフェに切り替えたり、紅茶や緑茶が好きな人は麦茶やルイボスティーなどに切り替えたりすることができるでしょう。また、甘いものが欲しいときはココアやホットミルクなどで一息つくこともできますよね。赤ちゃんの未来のためにも、身体に良くないとされる食品はできるだけ避けていきましょう。
コツを覚えれば簡単!
「あれも避けなくてはいけない」「これも食べちゃいけない」と思うと、なんとなく大変に思うかもしれませんが、すぐに妊婦さんの食生活に慣れます!生まれてくる赤ちゃんと自分のためにも、楽しみながら妊娠期間を過ごしてくださいね。