お出かけ先や家庭で、子供を静かにさせておくために甘いお菓子を食べさせる親御さんも多いのではないでしょうか。また、親御さん自身は子供にあまりお菓子を与えない場合でも、おじいちゃんやおばあちゃんなどの頻繁に子供と接する大人が、子供が騒ぐ度にお菓子を与えているということもあります。子供を黙らせるために甘いお菓子を与えることはなぜ危険なのか探っていきましょう。
砂糖は依存性のある食品
砂糖は甘みをつける調味料ですが、依存性があることでも知られています。適度な甘さを味わう分には問題はないのですが、毎日強い甘さのお菓子などを食べていると、徐々に甘い食べ物を食べていないと満足感を得られなくなり、甘いお菓子の摂取量が増えてしまうこともあります。また、一定時間、甘いものを食べない状態でいると、気持ちが落ち着かずにイライラしてしまうこともあるのです。
依存症と禁断症状
アルコール依存症の患者は、アルコールを摂取しないと禁断症状が出てしまいます。イライラしたり手が震えたりすることもあるでしょう。アルコール以外にもタバコ依存症の患者も多いです。また、モノに対する依存症もあります。ギャンブル依存症の患者は、ギャンブルをしないと禁断症状が出て、イライラしたり他人に対して攻撃的になったりすることもあります。
甘いお菓子を食べないだけでイライラしてしまうということは、砂糖に対する「禁断症状」が出ているということです。甘いお菓子を食べれば症状は一時的に収まりますが、少し時間が過ぎれば、また、イライラした気持ちになり、甘いお菓子を食べたくなってしまうのです。
砂糖の依存性の強さはコカイン以上!
依存性のあるものとして、コカインなどの麻薬なども挙げられます。麻薬の依存症患者は、幻覚を見たり激しく身体が震えたり、命の危険を感じるような妄想に支配されたりといった強い禁断症状が現れることがあり、他の依存症と比べても克服することが容易ではないことが知られています。
しかし、ラットを使った実験では、コカインよりも砂糖の方が高い依存性を示すことが分かっています。砂糖はコカインよりも脳を興奮させ、さらに強い刺激を求めるために、何度も繰り返して摂取したいと思わせる効果があるのです。
子供に砂糖の入ったお菓子を与え続けるとどうなる?
子供をおとなしくさせるために、砂糖の入ったお菓子を与え続けるならどうなるでしょうか。子供は、最初のうちはおとなしくなるかもしれませんが、次第に砂糖依存症になっていき、砂糖が入ったお菓子を求めて大声で騒ぎたてる可能性があります。子供をおとなしくさせようとさらに甘いお菓子を与えるなら、子供は騒ぎ立てることの有効性を学び、砂糖に対する禁断症状が出る度に騒ぎ立てるようになるでしょう。
期間が長くなればなるほど砂糖依存症克服が困難になる
依存症克服が困難と言われるコカインよりも、砂糖の依存症克服は困難です。依存症の期間が長引けば長引くほど依存症克服は困難になりますので、親や周囲の大人が「甘いお菓子を食べないように」と注意をしても、子供は隠れてでも甘いお菓子を食べたり、凶暴になったりするなどの症状が出るでしょう。
甘いお菓子と肥満との関係
甘いお菓子の危険性は、依存症だけではありません。大抵の甘いお菓子は砂糖だけでなく脂肪分も多く含まれていますので、砂糖を大量に摂っているつもりが脂肪分も大量に摂ってしまうことにもなるのです。過剰な脂肪分の摂取は、肥満と密接な関係にあります。また、肥満は糖尿病などの生活習慣病とも密接な関係にあります。子供が喜ぶと思って与えている甘いお菓子が、子供の健康や命を蝕んでしまうこともあるのです。
我慢できない子供になる
子供を黙らせるために甘いお菓子を食べさせることは、健康面に悪い影響を与えるだけではありません。子供の人格形成にも、悪い影響を与えてしまう可能性があるのです。
子供が騒ぎたてるとき、親は子供に、静かにすることが大切であることや周囲の人々に配慮しなくてはいけないことを教えなくてはなりません。しかし、とにかく子供を黙らせることだけを優先してお菓子を与えてしまうならどうでしょうか。子供は親からマナーを学ぶことができないだけでなく、「大声を出したいときや欲しいものがあるときは、とにかく騒げばよい」といった間違った考え方を覚えてしまうことになります。
虫歯の増加
1日に何度も甘いものを食べるということは、歯に糖分が触れている時間が長くなるということでもあります。適切な時間だけにお菓子を食べている子供と比べると、当然ながら虫歯になる可能性も高くなるでしょう。
子供をお菓子で黙らせるのは絶対にNG
お菓子は楽しく食べるものです。楽しく食べることで、マナーや楽しむ気持ちも身につきます。しかし、子供を黙らせたいときにお菓子を与えるなら、マナーや楽しむ気持ちは身につきません。しかも、砂糖依存症や虫歯、肥満、生活習慣病などのリスクも高まります。子供をお菓子で黙らせる親にはならないでくださいね。