炭水化物と脂質、タンパク質は三大栄養素とも言われ、人間が生きていく上では欠かせないものです。体に良いと言われる日本食ですが、タンパク質は圧倒的に不足しており、日本食だけを食べているとタンパク質不足に陥ってしまうことがあります。タンパク質の重要性とタンパク質を補う方法についてまとめました。
魚のタンパク質だけでは足りない
日本食は、ご飯と野菜、そして魚が基本の食材です。魚を食べればタンパク質は充分に摂れるはずですが、魚のタンパク質は肉のタンパク質と比べると吸収率が低く、肉と同等のタンパク質を魚から摂取するためには、重量にして4倍もの魚を食べなくてはならないと言われています。魚好きの方でも、今よりも4倍の魚を食べるのは難しいですよね。
大豆のタンパク質でも足りない
日本食で蛋白源となるのは魚だけではありません。大豆を使った食品も多く、「大豆を十分に食べているならタンパク質不足にならないのではないか」と考える人もいるかもしれません。大豆は“畑の牛肉”などと呼ばれることもありますから、大豆だけを食べていても十分なタンパク質を摂取できそうですよね。
しかし、大豆には肉ほどのタンパク質は含まれていません。例えばお豆腐を一食分(100グラム)に含まれるタンパク質はわずか4.9グラムです。牛肉(サーロイン)なら100グラムで17グラムものタンパク質を摂取できますが、お豆腐では同程度のタンパク質を食べるためには大きな豆腐1丁(400グラム)も食べなくてはならないのです。
大豆食品は塩分摂取に気を付けて
「大豆を食べるのは、豆腐だけじゃない。味噌とかしょうゆもあるし・・・」と考える人もいるでしょう。もちろんそうなのですが、味噌やしょうゆを100グラム単位で食べたら、それこそ食塩摂取量が多くなりすぎて、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に罹患するリスクが高まってしまいます。
タンパク質が不足するとどうなる?
日本古来の魚とご飯、野菜だけの食事では、タンパク質は不足しやすくなってしまいます。では、タンパク質が不足すると、何に問題があるのでしょうか。
体力不足と運動能力の低下
タンパク質の摂取量が減ると、体力と運動能力の低下が進むことが分かっています。特に成長期にタンパク質が不足すると、疲れやすくなったり、走る・投げるといった基本的な運動能力が向上しなかったりすることが分かっています。
また、成長期のタンパク質不足は、将来の生活習慣病のリスク増大と骨や筋肉の密度の低下とも関係があります。つまり、成長期にしっかりとタンパク質を摂取しないと、将来の健康も危うくなってしまうのです。
低体重児の増加
低タンパク質の食事が当たり前になってしまうと、妊娠中や授乳中も低タンパク質の食生活を続けてしまうことになります。妊娠中や授乳中にお母さんの体で作られる血液は、赤ちゃんの栄養源でもありますから、必然的に赤ちゃんも低タンパク質状態になりがちになり、低体重で生まれたり栄養不良の様子が見られたりすることになるのです。
中年太りも低タンパク質が一因
筋肉はタンパク質で作られていますから、タンパク質不足になると筋肉量が減ってしまいます。筋肉量が減るということは、基礎代謝量(生きていくうえで消費される必要最低限の消費エネルギー量)が減り、同じだけ食事をしていても太りやすくなってしまうのです。
基礎代謝量は年々衰えます。そのため、若いときと同じような食生活を送っていたら、徐々に体は太っていきます。若いときの体型をキープしたいなら基礎代謝量の衰えに合わせて食事量を減らさなくてはいけません。とはいえ、食事制限をするのは簡単なことではありませんよね。食事を減らさず若々しい体型を保ちたい方は、タンパク質を摂取して運動習慣を身につけ、筋肉量を増やして基礎代謝量を上げていきましょう。
タンパク質はどう補う?
魚や大豆だけで一日に必要なタンパク質量を摂取することは困難です。タンパク質が豊富かつ吸収率が高い肉を食べることで、不足しがちなタンパク質を補っていきましょう。
効率よくタンパク質を摂取できる肉を食生活に取り入れよう
牛肉も豚肉、鶏肉も、また、いずれの部位にも、100グラム当たり20グラム前後のタンパク質が含まれており、効率よくタンパク質を摂取できます。成長期から成人にかけてタンパク質を1日に50~60グラムほど摂取することが推奨されていますので、肉だけで摂取する場合なら、1日に250~300グラムほど食べれば良いことになります。
もちろん、豆類や卵、魚などにもタンパク質は含まれていますから、肉を毎日何百グラムも食べる必要はありません。しかし、豆や魚だけでは肉ほど効率よくはタンパク質が摂取できませんので、食生活に肉を取り入れるのは大切なことなのです。
脂肪を摂りすぎないように注意して
ただ、肉は、部位によっては脂肪が多いこと、そして、油を使った調理法が多いことが気になります。脂身は適量にとどめ、油の少ない調理法を選ぶようにしましょう。
現在の日本食は理想的な食事
日本食というと、ご飯と野菜、魚、そして味噌汁だけのシンプルな食事が思い浮かびますよね。もちろん、そうなのですが、毎日、日本古来の食事だけを食べている人は一体どの程度いるでしょうか。ほとんどの人が、日本食だけでなくお肉もパスタもさまざまな食事を普通に食べているのが現在の日本の食事なのです。
さまざまな国の食事を普段から日常的に食べている国は珍しいといっても良いでしょう。しかし、さまざまな国の料理を取り入れることで、タンパク質不足を解消し、栄養バランスも良くなっているのは事実です。日本古来の食事を続けていた時代と比べると平均寿命も高くなっていますし、体格も良くなってきていることからも、外国料理も積極的に取り入れている現在の日本食が体に良いのは明白です。
日本古来の食事+外国の食事=現在の日本食
もちろん、脂質や塩分の摂り過ぎは避けなくてはいけませんから、薄味に気をつけて、脂肪分は抑えることが望ましいです。日本古来の食事を基本として、1日に1回程度外国の食事を加えるスタイルが、もっともバランスよく栄養を摂取できるパターンと言えるでしょう。
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