縄文時代から食べられていたとも言われる「昆布」。日本人には馴染みの深い食品です。和食の基本でもある出汁(だし)を作る際にも、欠かせない食材の1つでもあります。あまりにも馴染みが深いために、昆布について改めて考えてみるということは少ないかもしれませんが、実は昆布は優れた効能を持つ健康食品でもあるのです。昆布の効能と栄養について探っていきましょう。
植物繊維の宝庫!便秘解消にも
文部科学省の食品成分データベースによりますと、真昆布に含まれる食物繊維は、重量の約27%にも及びます。つまり、昆布を100グラム食べれば、食物繊維を27グラムも食べることができるのです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食物繊維の食事摂取基準は、満18歳~69歳の男性で1日に20グラム以上、満18歳~69歳の女性で1日に18グラム以上とされています。昆布を100グラム食べれば、それだけで1日の食物繊維の目標量をクリアすることができると言えるのです。
参考:文部科学省・食品成分データベース / 厚生労働省・日本人の食事摂取基準(2015年版)
昆布特有の水溶性食物繊維も
昆布に含まれる食物繊維は1種類だけではありません。昆布特有の食物繊維「フコイダン」等の水溶性の食物繊維も含まれますので、腸内で膜状になり、糖質や脂質の吸収を抑え、コレステロール値の上昇も抑える効果が期待できます。便秘解消だけでなく肥満抑制や糖尿病予防の効果も期待できるのが昆布なのです。
ミネラルの宝庫!海の栄養分をたっぷりと
海底に根を張る昆布は、海の栄養分をたっぷりと含んでいることも魅力です。カルシウムやナトリウム、カリウム、鉄分、ヨウ素などのミネラルをたくさん含んでいます。例えば、牛乳と言うとカルシウムが豊富な素材として知られていますが、真昆布100グラムは牛乳100グラムの約7倍ものカルシウムを含んでいます。同じくカルシウムが豊富な素材として知られる小松菜と比べても、約4倍のカルシウムを含んでいるのです。
妊娠中の鉄分補給に
また、鉄分も同様です。真昆布100グラムには、牛乳100グラムの約39倍の鉄分が含まれています。牛乳には脂肪分が含まれますので、飲み過ぎには注意をしなくてはなりませんが、真昆布は低脂肪素材(乾燥重量の約1.2%)ですので、鉄分を積極的に摂取したい妊娠中にも適した素材と言えますね。
うまみ成分の宝庫!過食防止にも
昆布は出汁を取る素材として欠かせない食品ですので、当然のことですがうまみ成分が濃い食材と言えます。うまみ成分であるグルタミン酸は、ただ、「美味しい!」と感じること以外にも、食事による満足感を高め、過食を防ぐという効果もあるのです。
確かに、出汁の効かない食事はいくら食べても満足感を得られませんが、出汁がしっかり効いたお味噌汁などは少量食べるだけでも、「しっかり食べた。美味しかった!」と満足感・満腹感を得ることができますよね。
胃腸の働きを活発にするグルタミン酸
グルタミン酸が過食防止に役立つのは、満足感などの心理的な理由だけではありません。胃腸の働きを活発にする効果もありますので、消化を促進し、便通も活発にする作用もあるのです。美味しく食べてしっかりと排泄したい方には、グルタミン酸はなくてはならない成分だとも言えますね。
成長期に欠かせない成分も豊富
便秘解消やミネラル補給、過食防止成分など、大人に必要な成分がたくさん含まれている昆布ですが、実は、子どもの成長に欠かせない成分も豊富に含まれているのです。
成長を促すヨウ素
昆布に豊富に含まれるヨウ素には、新陳代謝を活発にする働きがありますので、成長期の子どもには不可欠な成分とも言えます。また、ヨウ素には身体を疲れにくくする効果や抵抗力を高め風邪などの感染症にかかりにくくする効果もありますので、受験や部活などに全力を注ぐときにも是非とも積極的に補充したい成分ですね。
骨を作るカルシウム
昆布に豊富に含まれるカルシウムも、成長期の子どもには欠かせない成分です。カルシウムは骨や歯の成分ですので、骨と歯が作られる幼児期・児童期は特にたくさん摂りたいものです。カルシウムには、筋肉や神経を正常に機能させるという効果もあります。身体をいっぱい動かして運動や遊びに邁進する子どもには必須成分だと言えるでしょう。
疲れを残さないビタミンB
昆布にはビタミンB1とビタミンB2が豊富に含まれます。ビタミンB1とB2には疲労回復の効果がありますので、たくさん身体を動かす子どもの原動力ともなるのです。
身体を疲労させるのは運動や遊びといった身体的な動きだけではありません。長時間の集中力を必要とする勉強も、子どもを疲れさせてしまいます。また、疲れてしまうと、集中力が持続せず、勉強の効率も下がってしまいます。ビタミンB群を豊富に含む昆布を使った食事で、子どもの疲労を吹き飛ばしてあげたいものですね。
昆布は日本が誇る万能食材
ユネスコ無形文化遺産にも選ばれた和食。昆布をメインに調理しても美味しいですが、他の食材を活かす裏方としても活用できることが昆布の魅力でもあります。日本が誇る万能食材としての昆布にも注目していきたいですね。