酸化した油を使用することは健康に悪いと言われていますが、実際にはどのような仕組みで健康を害するのでしょうか。また、健康に良い油の選び方、見分け方についても解説します。
酸化した油が体に良くないと言われる理由
油が酸化すると“過酸化脂質”と呼ばれる物質に変化します。過酸化脂質はDNAを損傷する恐れがある“スーパーオキシドアニオン”を発生することがあるため、酸化した油は健康に良くないと言われています。しかし、酸化した油を摂っても健康を損なうことがないという実験もあり、酸化した油を摂取したからといって、即、健康被害に結び付くるとは限らないとも言われています。
酸化した油は本当に健康を損なうのかについては、今後もさらなる研究が必要ですので、現時点では正解を断定することはできません。しかし、少しでも体に悪いと思われることや体への害を極力避けたい人は、「酸化した油を避ける」という選択肢について真剣に考慮してみてはいかがでしょうか。
油が酸化する理由
ただ単に放置するだけでは、油が酸化することは滅多にありません。次の3つのいずれかの状況になった場合、油が急速に酸化してしまうことがあるのです。
高温で加熱したとき
油を高温で加熱すると、酸化してしまいます。加熱調理すると油はすぐに温度が高くなってしまいますので、特に高温で加熱したつもりでなくても酸化してしまうことがあります。
日の当たる場所に放置したとき
日光に当たることでも油は酸化してしまいます。未開封であっても酸化は進みますので、かならず油は開封・未開封にかかわらず暗所に保管するようにしてください。
不純物が混ざったとき
食べ物などの油以外の物質が油の中に入ると、油が酸化する原因となってしまうことがあります。一度使用した油を保管するときは、網で濾して不純物を取り除いてから保管容器に入れましょう。
酸化した油の見分け方
酸化した油を使い続けることがないように、「油が酸化しているかどうか」を厳しく見極める必要があります。次の5つのポイントをチェックし、油が酸化しているかどうか確認してください。
色でチェック
油は酸化すると黒っぽい色になります。購入したての同種の油と比べて黒っぽいときは、酸化したと疑うことができます。
においでチェック
ほとんどの油は無臭あるいはかすかな香りですが、酸化すると嫌なにおいを発するようになります。通常とは違うにおいがあるときも、油は酸化していると考えられます。
粘り気でチェック
油は酸化すると粘り気が強くなります。濾し器で濾したときに糸を引くような粘り気を感じるならば、油の酸化を疑ってみることができます。
泡の消えにくさでチェック
油を使って調理をすると、細かな気泡が立ちます。通常はすぐに泡が消えてしまいますが、油が酸化していると泡が消えるまでの時間が長引くようになります。調理中に油がブクブクと泡立っているときは、油が酸化している可能性が高いと見ることができるでしょう。
煙が出るかどうかでチェック
酸化していない油を熱しても煙は出ませんが、油が酸化していると170~180℃程度の低温で調理しているときでも煙が立ちます。煙が出たときは、油を新しく換えるようにしましょう。
健康以外にも気になる酸化油のデメリット
酸化した油が健康に良くないかどうかはさておき、酸化油にデメリットがあるのは事実です。酸化した油を使う前に、次の3つのポイントを考慮してみてください。
味が落ちる
酸化した油には嫌なにおいがつきますので、どうしても食事の味が落ちてしまいます。また、においだけでなく色も濃くなってしまうため、食事がおいしく見えないというデメリットもあります。
油を大量に摂取してしまう
酸化した油は粘り気が強いため、食べ物に絡みやすくなります。つまり、同じものを同じ調理法で作っても、酸化した油で作る方が大量の油を含んでしまうのです。油の使用を控えたいなら、酸化した油は使わない方が良いでしょう。
胃もたれや消化不良の原因になる
大量の油が体内に入ると、胃もたれなどの不快な症状や消化不良が起こることもあります。胃の不快感の原因が酸化した油ということも珍しくありませんので、胃腸の弱い方やもたれやすい方は特に酸化油を避ける方が良いでしょう。
酸化した油には新しい油を継ぎ足さない
酸化した油に新しい油を注ぐと、酸化していない油も酸化しやすくなってしまいます。油が酸化したと判断したら、すべての酸化した油を捨て、新しい油に交換するようにしてください。
油をしっかりとチェックしよう
酸化した油が即健康を害するとは限りませんが、酸化した油を使うことで食事の味が落ちたり胃腸の不快症状が出ることは事実です。おいしく快適に食事を楽しむためにも、油の状況をしっかりとチェックするようにしてください。
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