「添加物」という言葉を聞くと、無条件で「身体に悪い」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。添加物とは実際のところ何を指しているのか、また、安全性に問題がないのかについて探っていきましょう。
添加物とは
添加物とは、文字通り、何かに添加するものを指しています。添加物というと、とりわけ「食品添加物」のことを指すことが多いのですが、特定の目的を期待して食品に添加するもの全体を「食品添加物」と呼んでいます。
日本では、原則として、厚生労働大臣の指定を受けた添加物だけを食品添加物として使用することができます。しかし、長い食事の歴史の中で広く一般的に使われていた添加物と天然香料、一般的に飲食しているものを添加物として使用することは、厚生労働大臣の指定を受けた添加物でなくても食品添加物として使用することができます。尚、厚生労働大臣の指定を受けた食品添加物は、大きく次の11の種類に分けることができます。
保存料、酸化防止剤
食品を長持ちさせるために添加する食品添加物を「保存料」と言います。酸化を防ぐものを特に「酸化防止剤」と呼ぶこともあります。食品内に雑菌が繁殖するのを抑える効果もあります。
着色料
食品を美味しそうな色に保つために添加される食品添加物を「着色料」と言います。着色料は、さらに「天然着色料」と「人工着色料」の2種類に分けられます。天然着色料はベニバナやカラメルなどの食品由来の着色料とカイガラムシなどの動物由来の着色料を指し、人工着色料は食用タール色素などの化学的に合成された着色料を指します。
増粘剤、ゲル化剤、安定剤
食品の粘り気を出すために添加する食品添加物を「増粘剤」、食品をゲル状に固めるために添加する添加物を「ゲル化剤」、食品の形状や状態を安定させるために添加する添加物を「安定剤」と言います。いずれも食品を食べやすくするだけでなく、美味しい食感を保つためにも不可欠な添加物です。
香料
食品に美味しそうな香りを添加するために「香料」が入れられることもあります。バニラの香りのバニリンやオレンジの香りのオレンジ香料などが、よく知られています。
発色剤
色を鮮やかにするために入れる添加物を「発色剤」と呼びます。代表的なものとして、ソーセージやハムなどの肉加工品に添加する亜硝酸ナトリウムなどがあります。
乳化剤
水と油のようにそのままの状態では混ざらない物質を均一に混ぜるために添加する添加物を「乳化剤」と言います。グリセリン脂肪酸エステルや植物レシチンなどが、一般的に乳化剤として用いられます。
光沢剤
食品にツヤ感を与えて美味しそうに見せるために添加する添加物を「光沢剤」と呼びます。チョコレートに添加されることも多いシェラックや化粧品にも入れられることがあるミツロウなどが、光沢剤としてよく知られています。
凝固剤
豆乳を固めて豆腐を作るときなど、食品を固形にするために添加する添加物を「凝固剤」と言います。豆腐には塩化マグネシウム(にがり)が、凝固剤として用いられることが多いです。
膨張剤
ケーキやパンなどをふっくらと膨らませるために添加する添加物を「膨張剤」と言います。お菓子類には炭酸水素ナトリウム(膨らし粉やベーキングパウダーとも呼ばれます)を添加することが多いです。
栄養強化剤
鉄分やビタミンCなどの特定の栄養素を添加することもあります。このように栄養を強化するために添加する添加物を「栄養強化剤」と呼びます。
その他
食品のpHを調節したり、特定の風味や苦味を出したりするために、添加物を添加することもあります。調理上の目的や味覚上の目的、栄養上の目的などのために添加される物質は、総じて食品添加物と呼ばれます。
添加物は本当に安全か?
日本では、厚生労働大臣が指定した物質や特定の物質しか、食品に添加することは認められていません。また、日本の基準を満たさない食品は、海外で製造されたものであっても輸入して販売することができません。つまり、日本で流通している食品に添加されている添加物は、すべて公的に安全性が証明された物質であると言えますので、安心して摂取することができるのです。
海外で購入する食品は注意!
食品添加物に対する基準は、それぞれの国で決めています。そのため、日本では禁止されている食品添加物が、ある国では認可されて普通のスーパーなどで販売されている食品に入っていることもあるのです。例えば、日本では発がん性が指摘されて禁止されている甘味料「サッカリン」が、合法的に使用されている国もあります。海外で食品を購入するときは、日本で認められている添加物が入っていないかチェックするようにしてください。
食品添加物が危険なわけではない
例えば保存料が入っていない加工品は、雑菌が繁殖しやすく、食中毒を招く恐れがあります。食品添加物は一概に悪者だと決めつけてしまうと、正しい目的のために添加された添加物も避けてしまうことになります。食品添加物は危険だと思いこむのではなく、正しい知識を身に付けるようにしてください。