何やら身体に良いと評判の炭酸水。特に身体を温める効果に注目されています。炭酸水で身体を温めるとどのような効果が期待できるのか、また、本当に炭酸水を飲むだけで身体が温まるのか、そして、炭酸水に期待できる他の効果についてまとめました。
炭酸水には身体を温める効果がある?
炭酸水は、冷たく冷やして飲むことが一般的ですよね。温めてしまうと炭酸成分が大気中に抜けてしまうため、特に開栓した炭酸水は、かならず冷蔵庫などの冷たい場所で保管します。冷たい炭酸水を飲むことで身体が冷えるなら納得できますが、反対に身体が温まるということがあるのでしょうか?
炭酸水を飲むと血行が良くなる理由
血液には、酸素を体内の隅々まで送るという役割があります。体内の細胞は酸素を取り入れることで老廃物や不要な炭酸ガスを排出しますので、血管内を血液が流れて充分な酸素を各細胞・各臓器に届ける必要があるのです。
血液中に二酸化炭素が増えると、脳は「酸素不足」と捉え、血行を促進して血流量を増やします。例えば、運動をした後は臓器の機能が活発になりますので、血液中に排出される二酸化炭素量が増え、血流量も増えます。反対に、安静時には、血液中に排出される二酸化炭素量はそこまで多くはなりませんので、血流量が減り、血液の流れも穏やかになります。
炭酸水は、水に二酸化炭素が通常以上に溶け込んだ飲み物です。炭酸水を飲むことで血液中に二酸化炭素が溶け込み、脳は「酸素不足」と誤認して血行が促進されます。血行が促進されると、身体は暖かくなりますよね。そのため、炭酸水を飲むと身体が温まるといわれるのです。
炭酸水で本当に体温が高くなる?
二酸化炭素が血液に溶け込むことで血行が促進されれば、理論通りに進めなら、体温の上昇が期待できますよね。血行不良や冷え性で悩んでいる人には、炭酸水が問題解決の救世主になるかもしれません。実際に、炭酸水を飲むことで、体温上昇を期待できるのでしょうか。
体温低下を抑制する働きは認められている
炭酸水を飲むと血行が促進されるなら、身体が冷えるような涼しい環境にいても、炭酸水さえ飲めば体温低下が抑制されるということになりますよね。炭酸水と体温低下の関係を調査するために、株式会社伊藤園と静岡県立大学は、2012年、共同研究を実施しました。
研究では、20.5~22.4℃の冷涼な環境にいる被検者7人に、炭酸を含まない水と炭酸濃度が低い炭酸水、中程度の炭酸水、高濃度の炭酸水の4種類の水を飲ませ、飲用後の時間経過と体温低下の関係を測定しました。炭酸を含まない水を飲んだ場合は、飲用後40分で手のひらの体温が平均7℃下がりました。一方、中濃度と高濃度の炭酸水を飲んだ場合では、手のひらの体温が4~5℃しか下がらなかったのです。
このことから、炭酸水は通常の水よりも体温低下を抑制する機能があると見ることができます。体が寒いときは、つい暖かな飲み物を飲みたいと思ってしまいますが、血行促進して末端まで体を温めたいなら、炭酸水を飲むという選択肢も検討してみるべきと言えるでしょう。
参考:株式会社伊藤園:「炭酸水による体温低下抑制作用について」 静岡県立大学との共同研究で確認
炭酸水のその他の効果
血行を促進させ、末端まで体を温めてくれる炭酸水。血行不良の人は、ぜひとも生活に炭酸水を取り入れたいですよね。しかし、炭酸水が持つ優れた効果は、身体の温度を低下させにくいことだけではありません。炭酸水には血行促進作用以外にも優れた効果がたくさんあるのです。
ダイエットにも!満腹感を得られる炭酸水
炭酸水に含まれる二酸化炭素が胃の中で広がると、膨満感を得られ、お腹がいっぱいだと感じやすくなります。ダイエット中などで食事量を減らしたい人は、小腹が空いたときに炭酸水を飲むのはいかがでしょうか。空腹がまぎれますよ。
ただし、二酸化炭素はすぐに血液などに吸収され、体外に排出されてしまいます。あくまでも一時しのぎですので、本気でダイエットに取り組むのなら、「キャベツなどの嵩が高いものを食べる」「腸内で水を含んで膨れる不溶性食物繊維が豊富に含まれている食べ物を食べる」「運動をして、気分転換する」などの工夫も取り入れてくださいね。
カロリー消費も期待できる
血行が促進されるということは、活発に酸素が取り込まれ、カロリーが消費されるということです。炭酸濃度が高い炭酸水を飲用するなら、全身運動をしているのと変わらないほどの血流量が見込めますので、カロリー消費の量も増えると期待できますね。
消化促進効果
炭酸成分が胃の中に入ると、胃壁が適度に刺激されます。胃の活動が停滞しているのなら、炭酸の刺激によって活発さを取り戻すこともあるでしょう。胃の働きが活発になると、消化活動も活発になります。胃もたれや消化不良を感じているときにも、炭酸水はおすすめなのです。
疲労回復と体のコリの解消
筋肉中に乳酸が増えると、身体は疲労を感じるようになります。適度に乳酸が排出されれば良いのですが、血行不良になっているときは、乳酸はいつまでも筋肉内に蓄積されてしまいます。また、首や肩がこるのも、血行不良が原因です。血行が悪くなると筋肉が固くなり、身体に痛みを感じるようになるのです。
炭酸水を飲用して血行が促進されると、酸素が体内の各細胞や筋肉に届けられて、乳酸などの老廃物を排出しやすい環境になります。また、筋肉がほぐれて、コリを感じにくくなります。身体がなんとなくだるいと感じるときにも、炭酸水を飲みたいですね。
効果が上がる炭酸水の飲み方とは?
血行促進効果や消化促進効果、肩コリや慢性疲労の解消効果も期待できる炭酸水。気軽に生活に取り入れていきたいですよね。しかし、ただ何となく炭酸水を飲んでいるだけでは、炭酸水の効果を最大限にすることはできません。効果を上げる炭酸水の飲み方を見ていきましょう。
無糖タイプの炭酸水を選ぶ
炭酸水の中には、砂糖が大量に含まれているものもたくさんあります。大量に砂糖を摂取してしまうと、カロリー過多になるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも増やしてしまいます。炭酸水の優れた効果だけを身体に取り入れるためにも、炭酸水は無糖タイプのものを選ぶようにしましょう。
天然の炭酸水がおすすめ
天然に湧き出た炭酸水と人工的に炭酸を加えた炭酸水がありますが、炭酸による効果だけを期待するなら、どちらの炭酸水でも同程度の効果が得られます。しかし、天然の炭酸水にはマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが多く含まれていることがありますので、炭酸成分だけでなくミネラルも補給できます。ミネラル不足が気になる方は、なるべく天然の炭酸水を選ぶようにしましょう。
1回に大量を飲まない
炭酸成分は胃を刺激します。少しの刺激なら消化活動の促進になるのですが、刺激が強すぎると胃の機能自体を損ねてしまい、胃もたれや消化不良、下痢などを引き起こすことがあるのです。炭酸濃度にもよりますが、1回に飲む炭酸水の量は、コップに1杯(150~200ml)程度に留めておきましょう。
炭酸水を飲んで気軽に健康活動
炭酸水には身体によいさまざまな効果があります。コンビニやスーパー、駅の売店など、多くの場所で購入できますので、普段の生活にも気軽に取り入れていきましょう。