酒粕と言うと、粕汁の材料くらいにしか使い道が思いつかない人も多いのではないでしょうか。日本酒を搾ったときの搾りかすである酒粕。実は、栄養が豊富な優れた食品でもあるのです。酒粕の意外な効能と美味しい食べ方を紹介します。
酒粕の効能
酒粕にはどのような効能があるのでしょうか。酒粕に豊富に含まれる成分から探っていきましょう。
便秘を改善する
酒粕100グラム当たり食物繊維は5.2グラム含まれています。これは白米のご飯の約17倍、食物繊維が豊富と言われる玄米ご飯の約3.5倍もの量です。食物繊維は便秘が気になる方が積極的に摂りたい成分ですから、酒粕は便秘症状を改善するには適した食材だと言えるのです。
また、酒粕にはレジスタントプロテインと呼ばれるタンパク質が含まれています。このレジスタントプロテインは食物繊維と同じように消化されにくいという特徴がありますので、消化されないまま小腸に運ばれ、小腸に溜まった脂質を分解・吸着して体外に排出することが期待できます。つまり、食物繊維とレジスタントプロテインのダブルのパワーで便秘に働きかけるのが、酒粕だと言えるのです。
美肌効果
酒粕にはビタミンB2が白米の26倍、ビタミンB6が白米の47倍も含まれています。特にビタミンB2には細胞の再生を促す効能がありますので、美肌には欠かせない成分として知られています。
ビタミンB2が豊富に含まれているだけでも酒粕は美肌効果の高い食品だと言えますが、シミやシワの予防に欠かせない成分であるナイアシンも白米の約10倍含まれている点も注目に値します。
また、酒粕の原料でもある麹に豊富に含まれるコウジ酸には炎症を抑える作用がありますので、ニキビを鎮静化させたりニキビ跡を改善したり効果が期待できます。メラニン色素の働きを抑制する効果もありますので、日焼け予防や美白効果も期待できるのです。
ガン抑制効果
酒粕にはα-ハイドロオキシ酸が含まれますが、このα-ハイドロオキシ酸はガンの発生や増殖を抑えるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる働きがあることが明らかになっています。
アレルギー体質の改善
酒粕にはペプチド物質が含まれています。ペプチド物質には、アトピー性皮膚炎や花粉症等のアレルギーを引き起こす元になるカテプシンB の働きを阻害する効果がありますので、ペプチド物質を含む酒粕を食べることでアレルギー体質を改善することが期待できます。
肥満抑制・糖尿病予防効果
食べ物に含まれるデンプン質は、アミラーゼと呼ばれる消化酵素でブドウ糖に変換されます。血液中のブドウ糖が脂肪細胞に取り込まれないまま尿として排泄されると、食事は摂取してもエネルギー源が確保できない状態(糖尿病)になってしまいます。
血液中のブドウ糖過多を防ぐにはデンプンの分解を抑制する必要がありますが、酒粕にはデンプンの分解を抑制する効果がありますので、ブドウ糖の生成速度が遅くなり、血糖値の上昇も抑えることができます。また、ブドウ糖の生成速度が遅くなりますので、脂肪細胞への吸収も抑え、肥満を予防することにもつながります。つまり、酒粕には、肥満抑制や糖尿病予防の効果もあると言えるのです。
骨粗鬆症の予防効果
年齢が高くなると、骨密度が低くなり、骨自体が弱くなっていきます。これはカテプシンLという酵素が体内から分泌され、骨の分解を促進させていることも一因となっています。つまり、カテプシンLの働きを抑制することができれば、骨粗鬆症の予防にも役立つということが言えるのです。
酒粕の原料である麹の中にも、もちろん酒粕の中にも、カテプシンLの働きを阻害する物質が含まれています。骨粗鬆症を予防するためにも、酒粕を食事に取り入れていくことが出来るのでしょう。
酒粕の食べ方
豊富な効能を持つ酒粕ですが、粕汁以外の料理法はあまり知られていません。手軽に美味しく食べられる料理法を紹介します。
簡単甘酒
寒い日には甘酒でほんわかとあたたまりたいですね。甘酒は酒粕で簡単に作ることができます。
材料
酒粕100グラム、水600グラム(酒粕が板状のとき。酒粕が液状のときの水は400~500グラム)、砂糖50グラム、すりおろし生姜1センチ(チューブで)
作り方
- 酒粕が板状のときは小さく手でちぎり、水で一晩ふやかせます。液状のときは、そのまま水で薄めます。
- 中火にかけ、酒粕を完全に溶かします。アルコール分を飛ばしたい方は、一度、沸騰させます。
- 砂糖を加えて溶かします。溶けたのを確認してから、火を止め、すりおろし生姜を混ぜてできあがりです。
酒粕ディップ
クラッカーや薄切りのバゲットに良く合います。
材料
酒粕30グラム、クリームチーズ25グラム、グラニュー糖5~10グラム
作り方
材料をすべてしっかりと混ぜ合わせます。グラニュー糖のざらつきがなくなれば出来上がりです。
酒粕で心も身体も温まろう
酒粕にはさまざまな効果がありますが、食べたり飲んだりすることでほっこりと温まることも大きな魅力ですよね。ゆったりした気分で酒粕を楽しんでくださいね。