すべての人にとって健康的な食事というものはありません。大人にとって健康的な食事であっても、子供にも健康的だとは限らないのです。また、反対に、子供にとって健康的な食事は、大人にとっては不健康な食事になる可能性があります。子供にとって健康的な食事とは何なのか、家族の食事を作るときには何に注意すれば良いのかについて解説します。
発育段階に合わせて量が違う
子供と大人では、食べる量が異なります。大人にとって十分な量は、幼児や小学生には多すぎる量となりますし、食べ盛りの中高生には少なすぎる量になるでしょう。子供の発育段階に合わせて量を変える必要があるのです。
幼児期で大人の半量が目安
3~5歳くらいの幼児期で、大人の半量ほどが目安です。必要なタンパク質量も大人の半分以下ですので、ご飯だけでなくおかずも半量ほどにしておきましょう。もちろん、個人差がありますので、運動量が多い活発な子供には、たくさん食べさせてください。
中高生は大人よりも少し多めで
例えば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によりますと、成人に推奨されているタンパク質の量は、男性で1日60グラム、女性で1日50グラムです。しかし、男の子が15~17歳の時期と女の子が12~17歳の時期は、成人の推奨量よりも1日に5グラム多い量を摂取することが推奨され、男性で1日65グラム、女性で1日55グラムのタンパク質摂取が望まれます。
また、タンパク質に限らず熱量(カロリー)も、中高生の時期は成人期よりも若干多くなります。中高生のお子さんがいるご家庭では、子供の食事は大人よりも若干多めにしておきましょう。ただし、子供の運動量が少ないときや元々小食のときは、無理に食べさせることがないようにしてください。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」
脂肪を極端に控えるのはNG!
太りすぎや生活習慣病の予防が気になる方は、食事から脂肪分を極力減らそうとするかもしれません。しかし、脂肪は絶対に体に悪いというわけではありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」でも、1歳以上の子供と成人は、1日の総カロリー数の20~30%を脂肪から摂取することを推奨しており、年齢に関わらず脂肪を摂取することは大切なことだと言えるのです。
脂肪を大人が控えている場合は子供には普通食を
しかし、健康上の理由や美容上の理由で、極力、脂肪を控えている人も多いですよね。大人が低脂肪食を食べているご家庭では、子供には、低脂肪食ではなく普通食を食べさせるようにしてください。成長期の子供にとっては、脂肪も大切な栄養素の一つです。健やかに成長するためにも、特定の栄養素を極端に減らすことはやめ、栄養バランスの良い食事を食べさせましょう。
味付けは薄めで統一しよう
生活習慣病を予防するためにも、小さなときから薄味に慣れ、塩分の少ない食事に慣れておく必要があります。もちろん、薄味にすることは、子供にとってだけでなく大人にとっても大切なことです。家族みんなで薄味の食事をいただきましょう。
赤ちゃんの離乳食には食塩は加えない
赤ちゃんは臓器が未成熟なため、大量の食塩を適切に処理することができません。食材に含まれているナトリウムの量で充分だと考えられますので、離乳食には食塩やしょうゆ、合わせ調味料などで味をつけないようにしてください。
食塩摂取量は、5ヶ月以下の赤ちゃんなら1日に0.3グラム、6ヶ月以上11ヶ月未満の赤ちゃんは1.5グラム未満が適量とされています。大量の食塩を一度に摂取すると「食塩中毒」を起こし、場合によっては命の危険に曝されることもありますので、極力食塩を使わないでくださいね。
みんなで美味しく食べる方法
年齢や健康状態、運動量によって、食事の量やバランスが異なります。家族みんなで美味しく食べる方法をいくつか紹介しますので、食を通して健康家族を目指しましょう。
食が進まない子供には達成感を与えよう
食が細く、食べ物を食べる量が少ない子供に対しては、大皿料理は不向きです。大皿料理として出してしまうと、自分が食べた量を把握しづらいため、ほとんど食べていないのに、「もうお腹いっぱい。ご馳走さま」となってしまうこともあるでしょう。
食が細い子供には、プレートで子供が食べられる量をとりわけ、一人分として食卓に出すようにしてください。完食することで達成感を得やすくなりますので、子供にしっかり食べることの楽しさを教えることができます。
最初は、少量でもかまいません。全部残さず食べたら「えらいね。大きくなるね」と声をかけ、子供にやる気を起こさせます。少しずつ量を増やしていけば、いつの間にか、普通の量が食べられるようになるかもしれませんよ。
食べ過ぎる子供には大皿料理で
反対に食べ過ぎて肥満がちな子供には、大皿料理として出し、みんなで分けることの大切さを覚えさせましょう。大皿料理として出す場合も、最初の1回で家族みんなが分け切れる程度の量にしてください。お代わりできるほどの量を出すと、急いで食べてお代わりをしてしまうかもしれません。
見た目も大切
みんなで楽しく食べるためには、食事の見た目も大切です。おいしそうな見た目なら、家族みんなで食事を楽しめます。もちろん、食事を毎度毎度作るのは簡単なことではありません。しかし、少しでも子供が「おいしそう」と感じられるように、見た目や彩りにも工夫するようにしてくださいね。
色彩豊かな食事は、栄養バランスが取れていることが多いです。カラフルな食卓に慣れ親しんでいると、大人になってからも自然と食事の色合いにこだわるようになり、栄養バランスの取れた食生活をするようになります。生活習慣病を予防するためにも、彩りある食事を作りたいものですね。
成長段階に注意しながらみんなで食事を楽しもう
成長段階や体調によって、必要とする食事量は異なります。場合によっては、塩分や脂肪分などの成分も、個人個人異なることがあるかもしれません。しかし、みんなで食卓を囲むことは、家族が楽しく暮らす基本です。個人の状態に配慮しつつも、同じ食事を食べる楽しみを味わうようにしてくださいね。