日本人にはなじみの深い味噌汁ですが、朝食には味噌汁とご飯がなければという人もいる一方で、朝食はパンとスープ、もしくはパンと紅茶やコーヒーだけという人も増えているのも事実です。味噌汁には多くの栄養素が含まれていることがわかっていますので、できれば朝に味噌汁を飲んで豊富な栄養を取り入れたいですね。健康にも美容にも効果があると言われている日本古来の味噌汁の効能についてご説明します。
味噌の栄養成分
大豆が発酵するとビタミン類やアミノ酸が生成されます。味噌は大豆の発酵食品ですので、これらのビタミン類やアミノ酸がそのまま含まれているのです。また、大豆に含まれるタンパク質も味噌の主要な栄養成分です。タンパク質とビタミン類、アミノ酸といった人間の健康に欠かせない成分がバランスよく配合された食品が「味噌」なのです。
(味噌汁に含まれる成分)
- タンパク質
- ビタミンB12
- ビタミンE
- 酵素
- アミノ酸
- イソフラボン
- レシチン
- コリン 他
アミノ酸
人間の体の約20%はアミノ酸で作られています。血管や皮膚、筋肉、内臓などを作るたんぱく質を構成しているのがアミノ酸というわけです。アミノ酸は体内で合成することができませんので、食べ物などで外から摂らなければなりません。味噌は人間が生きていく上で欠かせない必須アミノ酸8種類を含んでおり、肌のバリア機能を促進します。
ビタミンB群
味噌には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミンB群を含んでいます。ビタミンB群は、脂肪や炭水化物をエネルギーに変える働きをします。
フィトケミカル
「第7の栄養素」と言われ、近年話題になっているフィトケミカルも含まれています。フィトケミカルは、抗酸化力、免疫力を高める効果を持ちます。
味噌の種類と成分
栄養成分が豊富に含まれる味噌。日本人の生活に根差した食品ですので、地域によってさまざまな味噌が使われていますよね。代表的な味噌の種類と特徴となる成分について探っていきましょう。
米味噌
日本で売られている味噌のほとんどは「米味噌」です。味噌全体の8割は米味噌とも言われています。原料は大豆と米麹、塩がメインとなります。米麹をたくさん入れると甘くなり、色も白くなります。京都などで味噌汁や魚などの調味に使用する「白みそ」も、米味噌の一種です。
麦味噌
大豆に麦麹、塩を入れて発酵したものが「麦味噌」です。味噌全体の約5%が麦味噌と言われています。中国地方や四国地方、九州地方などの西日本で食べられることが多いです。
豆味噌
大豆に豆麹、塩を入れて発酵したものが「豆味噌」です。麦味噌と同じほどの割合で使用されています。中部地方で食べられることが多く、大豆(豆麹は大豆から作られる)と塩だけでシンプルに作りますので、味がシンプルなこと、甘みが低く塩分を感じやすいことが特徴となります。
調合味噌
麦味噌や米味噌、豆味噌を2種類以上混合したみそを調合味噌と呼びます。また、作る過程で麦麹や米麹、豆麹などの2種類以上の麹を使ったものも調合味噌と呼びます。好みに合わせて風味や甘みを調整できることが特徴と言えるでしょう。
味噌汁を摂ることで期待できる健康効果
味噌汁を飲むことで、タンパク質やアミノ酸、ビタミン類などをバランスよく摂取することができます。具体的には身体にどのような良い効果を期待できるのでしょうか。
味噌汁で血管年齢が10歳若返る!?
大豆の主原料となる大豆の有効成分は、血中コレステロールの上昇を抑え、高血圧を予防する働きがあります。味噌汁の塩分を心配する人もいますが、味噌汁の塩分は0.5%くらいが一般的ですので、ちょっと大きめのお椀(200ml)で飲んだとしても実際の塩分量は1グラム前後と言われています。厚生労働省の基準では、塩分摂取量は18歳以上の男性は1日8グラム以下、女性は1日7グラム以下が望ましいとされていますので、味噌汁一杯を飲んだからと言って塩分の過剰摂取になることはありません。病院で塩分に注意するように言われている人は、他の食事で塩分を控えたり、味噌汁の味噌量を減らしたり、減塩味噌などを利用したりするようにしてください。
また、共立女子大学の上原誉志夫教授によると、味噌汁から摂取した塩分の30%は血圧の上昇に関与しないということです。日本高血圧学会総会からは、毎日1杯程度味噌汁を摂る人は10歳程度改善させるという結果も発表されています。塩分を気にすることも大切ですが、味噌自体が持つ栄養効果を見過ごしてしまうことはもったいないです。10歳の若返り効果を期待して、味噌汁を気軽に生活に取り入れていくのはいかがでしょうか。
味噌汁でがんの予防
味噌汁を摂取する人は発生率が、味噌汁を摂取しない人より低いという研究結果も発表されています。厚生労働省の発表では、毎日3杯以上の味噌汁を摂ることで乳がんの発生率が、なんと40%も低下するとのことです。もちろん、乳がんの発生は遺伝的な要因や生活環境、生活習慣なども関わって来ますが、味噌汁の発がん抑制効果を見過ごすのはもったいないですよね。
ほかにも、みその塩分は胃がんを促進しないとの調査結果が、広島大学の渡邊敦光名誉教授によって発表されています。塩分が気になっている方も、他の食事で塩分を調整しながら、生活に味噌汁を取り入れていくことができるでしょう。
味噌汁で生活習慣病の予防
山形大学医学部附属病院の調査では、1日3杯以上味噌汁を摂る人は、空腹時の血糖値が低くなり、血圧に差が出にくいとのことです。つまり、糖尿病を予防する効果が期待できるということになります。
さらに、県立姫路工業大学の辻啓介教授によりますと、コレステロールを抑制する効果もあるとのこと。味噌汁に含まれるリノール酸や大豆レシチンが血中コレステロールの上昇を抑えるためだと考えられています。
喫煙者に朗報!
味噌に含まれる豊富なアミノ酸が、タバコのニコチンによる害を減少させる、また、肝臓の解毒作用を促進させる働きがあるので、喫煙者が毎日味噌汁を摂ることで死亡率が低下することも分かっています。もちろん健康のためにはタバコを止めることが一番ですが、何度禁煙にチャレンジしてもすぐにタバコに手が伸びてしまう人や、タバコは止めたものの今まで長く喫煙してきた影響が気になる人も、今から味噌汁習慣を始めてみることができるのではないでしょうか。
味噌汁には美容効果も期待!
先述しましたが、味噌汁には抗酸化作用や血管を若返らせる効果が期待できることがわかっています。さらに、味噌汁に含まれるビタミンEが体の酸化を抑え、血行を促進させる効果もあり、アンチエイジングが期待できます。抗酸化作用や老化防止作用は、味噌に含まれるイソフラボンやコリン、メラノイジンにもあり、アンチエイジングに一役買っています。
また、味噌に含まれる遊離リノール酸は、メラニンの生成を抑制しする働きがあり、シミを薄くする効果やメラニンを減少させる効果が認められています。つまり、美白効果も期待できるということですね。いつまでも若々しい皮膚を保ちたい、内面から若々しくいたい、そして透明感のある皮膚をキープしたいと思う方は、味噌汁を生活に取り入れていくのも良いのではないでしょうか。
日本の伝統食品「味噌」を見直してみよう
和食は体にいいと欧米でも食べられるようになりましたが、味噌汁にはこんなに健康にいい要素が揃っているのですね。せっかく身近に味噌があるのですから、健康の面でも美容の面でも積極的に摂取したいものです。味噌汁の具に、野菜やお豆腐、海藻類などさまざまな食品をプラスして、さらに栄養豊富な食品として食べる習慣をつけてみませんか。