リウマチ熱とは、関節や皮膚、神経系などに起こる炎症のことです。リウマチ熱はどのようなときに起きるのか、また、どのような症状が見られるのか、リウマチ熱が起こったときはどのように対処することができるのか解説します。
リウマチ熱は溶連菌感染症の合併症
リウマチ熱は、溶連菌感染症の合併症として知られる病気です。溶連菌感染症の合併症としては、リウマチ熱以外にも急性糸球体腎炎などが知られています。
リウマチ熱の症状
溶連菌感染症による発熱が治まると、一見、感染症自体が完治したかのように思えます。ですが、体内の溶連菌が完全に死滅していないと、2~4週間後に再度発熱することがあるのです。また、発熱だけでなく腹痛や発疹、関節痛、けいれんなども起こります。このように溶連菌が死滅せずに起こる症状をリウマチ熱と呼びます。
とりわけ特徴的なのは、手足に輪をかけたように見える「輪状発疹」です。体幹部分に輪状発疹が生じることもあり、全身が熱を持ってだるく感じます。
リウマチ熱の炎症が心臓に広がることもある
リウマチ熱の炎症が、心臓にまで広がることもあります。これは特に珍しいことではなく、溶連菌感染症からリウマチ熱が発症した人の約半数に見られる状態です。心臓に炎症が起こると、心臓肥大や頻脈、心雑音などが観察されることもあります。何度もリウマチ熱の再発を繰り返すと、その度に関節や心臓が蝕まれていき、場合によっては心臓弁膜症などの重度の心臓病を引き起こすこともあるので注意が必要です。
溶連菌を根治しておくことでリウマチ熱は予防できる
溶連菌に感染したときに根治しておけば、リウマチ熱にかかることもほとんどなく、心臓弁膜症などの深刻な合併症を引き起こすこともありません。つまり、リウマチ熱を予防するためには、溶連菌感染症の根治が不可欠と言えるのです。
発熱と喉の痛みがあるときはすぐ病院へ
溶連菌に感染すると、38度以上の高熱や喉の痛み、手足の発疹(1つ1つが細かく、赤いことが多い)、舌に小さなブツブツが大量に発生して赤みをおびる「イチゴ舌」、頭痛、腹痛、リンパ腺の腫れなどが見られます。幼児の場合は熱が出ないこともありますが、喉の痛みや発疹などの症状が見られたら、なるべくすぐに病院に行って検査を受けるようにしてください。
溶連菌感染症であることが診断されると「抗菌薬」が処方される
溶連菌に感染しているかどうかは、喉についている細菌を検査すれば簡単に分かります。10分もあれば結果が出ますので、医師の指示に従い病院で待機していましょう。溶連菌に感染していると診断されたら「抗菌薬」を処方してもらいます。喉の痛みや発熱などの症状が深刻な場合は、抗菌薬に加えて解熱剤等の内服薬も処方されます。
この抗菌薬は、溶連菌感染症の根治に必要な医薬品です。服薬中に高熱や喉の痛みなどの不快症状が改善されても、かならず医師が指定した日数、指定した用量で最後まで服用するようにしてください。途中で服用を止めてしまうと溶連菌が死滅せず、リウマチ熱などの合併症を引き起こすことになる可能性があるのです。
もしかしてリウマチ熱?症状が見られるときはどうする?
処方された抗菌薬を最後まで服用しなかったときやそもそも病院で溶連菌感染症の診断を受けていないときは、溶連菌を根治せずに放置してしまうことになります。そのようなときに、関節痛や輪状発疹などのリウマチ熱と思われる症状が見られたなら、どうすることができるでしょうか。
病院で抗菌薬を処方してもらおう!
リウマチ熱を放置しておくと高確率で心臓に炎症が起こりますので、とにかく早く病院で適切な処置を受けるようにして下さい。溶連菌感染症が原因のリウマチ熱であることが診断されると、体内に残っている溶連菌を死滅させるための抗菌薬が処方されます。かならず医師の指示を守り、決められた日数・用量で最後まで飲みきるようにしてください。
発熱や喉の痛みに対応する医薬品が処方されることもある
高熱が出ているときや喉や関節の痛みが深刻なときは、それぞれの症状を緩和させる医薬品が処方されることもあります。こちらも、医師の指示を守って適切に内服するようにしてください。
喉に刺激を与える食べ物は控えよう
喉に痛みがあるときは、熱い食べ物や飲み物、辛いもの、酸っぱいものなど、喉に刺激を与える食べ物は控えるようにして下さい。喉の炎症を抑えようと氷が入った冷たい飲み物を飲むことも、喉にとっては刺激になりますので控えましょう。
溶連菌感染症とリウマチ熱は早めの処置と継続服薬が大切!
溶連菌感染症も、それによって引き起こされるリウマチ熱も、いずれも早めに病院で適切な治療を受けることが治療にとって大切なことです。また、処方された抗菌薬を最後まで服薬し続けることも治療には欠かせないポイントですので、かならず医師の指示を守って最後まで飲みきるようにして下さい。